2018年11月18日
No.4176 ちょっと一休み その673 『今回のアメリカの中間選挙から見えてくること』

これまでNo.3546 ちょっと一休み その568 『アメリカ大統領選の結果から見えてくること』などでトランプ大統領関連についてお伝えしてきました。

今回は先日行われたアメリカの中間選挙から見えてくることについてお伝えします。

 

大統領の信任選挙とも位置付けられるアメリカの中間選挙は、上院は共和党が、そして下院は民主党がそれぞれ過半数を獲得するという結果になりましたが、どちらもそれほど大きな差はありませんでした。

この意味するところは、アメリカ国民の価値観が大きく2分されているということです。

一つは理想主義と現実主義という価値観の相違、そしてもう一つは富める層と富めざる層という2つの観点での国民によるせめぎ合いです。

理想主義サイドは地球温暖化などの環境問題の解決、あるいは健全な国際社会を目指すうえでの自国のリーダーシップの重要性に重きを置きます。

一方、現実主義サイドは何よりも経済優先で、トランプ大統領の“アメリカファースト”政策を支持し、健全な国際社会の実現や他国の経済には無関心でアメリカの富が潤えばそれで良しとする考え方です。

 

こうした価値観の相違とは別に、富める層と富めざる層とのせめぎ合いがあります。

富める層は減税による恩恵を求め、富めざる層は何よりも働き口など日々の暮らしの向上を求めます。

 

トランプ大統領は、ラストベルト(錆びついた工業地帯)に象徴されるように、アメリカの“経済最優先”によりアメリカ国民の半数近くの気持ちをがっちり捉えて政権を維持しているのです。

 

そして注目すべきは、こうしたトランプ大統領の成功事例に影響を受けて、途上国の中にも“ミニトランプ大統領”が続々と登場して来ている状況です。

 

短期的に見れば、“自国ファースト”は生活にゆとりのない国民が多い国では多くの国民の支持を得るうえで、国の指導者が掲げるスローガンとして有効かもしれません。

しかし、長期的に見れば、国同士の利己主義がぶつかり合えば、ギスギスした国際社会になり、結果として弱肉強食で強国による国際支配が強まってしまいます。

こうした状況は、特に弱肉サイドの国民の不満を高め、やがて国際紛争の火種になりかねません。

 

長い目で見ると、現在は自由主義社会も共産主義社会も長い年月を経て成熟してきた状況だと思います。

そして様々な弊害が浮き彫りになってきました。

こうした弊害の打破を目指すべく、アメリカと中国の指導者は取り組んでいるように思えます。

しかし、どちらも他国と“WinWin”の関係を築くよりも“自国ファースト”を強く押し進めているように見えます。

そして、世界の多くの国々から反発の動きが出て来ています。

日本もこうした米中の動きの中でどう対応すべきか模索しているように見えます。

 

一方で、実現間近の火星移住計画や月旅行に象徴されるように今や人類の活動空間は宇宙まで広がろうとしています。

 

ということで、特にアメリカと中国という2大大国の指導者には、“五方良し”(参照:No.4134 ちょっと一休み その666 『これからの時代のキーワード その4 ”五方良し”』)の精神を持って政権運営に取り組んでいただきたいと強く思うのです。


 
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