eスポーツについてはアイデアよもやま話 No.4015 世界が熱狂、eスポーツ!などでご紹介してきました。
そうした中、7月19日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で 中国におけるeスポーツ急成長の裏側について取り上げていたのでご紹介します。
オリンピックの新しい種目になれるのか注目を集めている競技がe−スポーツです。
スポーツと言ってもプレイヤーは飛んだり走ったりすることはありません。
ゲーム場で競い合うのです。
世界的に人気が高まっており、今や競技人口は1億人以上で野球の3倍にのぼるとも言われています。
番組では、このeスポーツ市場が急成長している中国で、そのブームの理由を取材しました。
6月30日、浙江省杭州のゲーム大会で熱い声援の先にいるのはゲームの対戦で生計を立てる、いわゆるプロのゲーマーたちです。
2つのチームが対戦型のコンピューターゲームで勝敗を競い、ゲームの模様はスクリーンに映し出されます。
こうしたゲームの対戦を単なる遊びではなく競技と捉えたのがeスポーツです。
中国ではこのeスポーツの試合観戦の人気が高まっています。
この日の勝者はプロチーム「LGD」の5人、メンバーの年齢は18歳〜24歳、年俸制でチームと契約しています。
24歳のメンバー、陳博さんはプロゲーマー歴7年で年俸4000万円です。
チームを運営するのはeスポーツ専用の企業、LGDゲーミングで有望な選手を獲得し、育成しています。
会場の外では公式グッズを販売、売り上げは好調だといいます。
LGDゲーミングの李軒CSOは、eスポーツが利益を生む大きな仕掛けがあるといいます。
案内された先にあったのは本格的な放送スタジオ、大会の様子はインターネットで世界中に生中継していて、視聴者は2000万人を超えるといいます。
その際のネット上の広告収入が最大の収益の柱です。
こうした中国のeスポーツ市場はこの3年間で毎年20%ずつ増えるという急成長、今年は1兆5000億円規模に達すると見込まれています。
この会場も約5億円を投じて自社で建設、建設費用はオープンから1年で回収出来る見込みです。
eスポーツの伸びを見込んで、更に大型の会場も建設中です。
客席の数は最大800と現在の会場の1.5倍、更に大きな大会を呼び込んでチームの収益につなげる狙いです。
建設費用は8億円かかっていますが、その半分を地元政府が補助しました。
実は、中国はeスポーツを新たな産業として推進・育成する政策を掲げています。
国内のレジャー消費を拡大する他、今後eスポーツの業界で世界をリードしようという思惑です。
李軒CSOは次のようにおっしゃっています。
「政府の資金援助は、チームの経営にとって大変重要で魅力です。」
「政府のサポートによって、中国のeスポーツ業界は更に速く発展していけます。」
一方、7月16日、上海市内にあるeスポーツ専門の七煌原初学院で学生がモニターを見ながら学んでいるのはeスポーツの実況解説です。
昨年開校したプロの実況者育成コースです。
この学校では、他にeスポーツの運営やゲームソフトの開発を学ぶコースなども開講、こうした学校にも政府が資金を補助しています。
学生たちはeスポーツ業界の今後の成長を期待しているのです。
応舜潔校長は次のようにおっしゃっています。
「雨後の竹の子のように今全国各地に学校ができています。」
「今年はまさにeスポーツの教育元年と言えるでしょう。」
国を挙げて育成する中国のeスポーツ市場、今後増々熱を帯びそうです。
このようにeスポーツ人気は増々加熱する中、駅も空港もない農村部に作られたeスポーツ専用の巨大なスタジアムがあります。
地元政府が250億円以上投じたプロジェクトの一部だといい、国策に後押しされてブームが行き過ぎてきているのではないかと指摘する声も出始めているといいます。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
番組を通して、まず感じることは中国における新ビジネスに対する国を挙げての対応の速さです。
eスポーツもその一つで、将来性を賭けているわけです。
そして、eスポーツ専門の学校まで出来ているのには驚きです。
一方、日本の動きですが、10月20日(土)放送の「マツコ懐疑」(日本テレビ)でもeスポーツについて取り上げていたのでその一部を以下にご紹介します。
小学校5年生でプロ契約する天才ゲーマーやプロゲーマー集団、芸能事務所所属の美女ゲーマーが取り上げられていました。
小学生の天才ゲーマーは、ライブ動画配信サイトで自分のプレーを自宅から世界に配信しています。
さて、気になるeスポーツ大会の賞金ですが、日本のeスポーツ史上最高額となる優勝賞金1億円の大会が12月開催されるといいます。
また5対5で対戦するDota2という世界大会の賞金総額は23億円で1位は10億円といいます。
ですから、優勝すれば一人2億円の取り分になります。
ちなみに、番組に登場した格闘技「鉄拳」のプロゲーマーとして活躍しているたぬかなという名前の女性には男性込みの公式世界大会で準優勝しました。
月収は軽の新車が買えるくらいといいます。
こうした背景には、小さな子どもまで含めたゲーマー人口の増加、ゲームの進化、およびeスポーツの将来性に賭けるスポンサーの存在があります。
ですから、一部には「なんでゲームであるeスポーツがスポーツなの」という疑問が残ると思いますが、今後ともeスポーツは世界的にかなり普及していくと思われます。
それにしても今やeスポーツの競技人口は1億人以上で野球の3倍にのぼるとも言われていることには驚きです。
でも考えてみれば、身近なところでも3歳くらいの幼児がテレビやスマホでゲームを楽しむ時代なのですから、近い将来小学生の1億円eスポーツ・プレイヤーが誕生してもおかしくありません。
さて、成長著しいeスポーツですが、このeスポーツの状況を冷静に見ると、AIやロボットの普及で働く場が奪われると言われる一方で、デジタルゲームという新しいゲームの形態は新たな産業を生み出していると実感出来ます。