前回、前々回と再生修復にまつわる技術についてご紹介してきましたが、この技術は人体にも及んでいます。
6月20日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で火傷に有用な人工皮膚について取り上げていたのでご紹介します。
農研機構 生物機能利用研究部門の竹澤 俊明主任研究員は人体の再生分野で注目を集めています。
竹澤さんは、再生医療に有用な人工皮膚の原料となる新素材「コラーゲンビトリゲル」を生み出しました。
「コラーゲンビトリゲル」の材料として使われるのが豚の皮です。
皮を特殊な液体に漬けると、密度の低いコラーゲンが出来上がります。
竹澤さんはこのコラーゲンを気温10℃、湿度40%の状態で2日間かけて乾燥させます。
すると、ちょっと厚みのあるオブラートのような感触の「コラーゲンビトリゲル」になります。
火傷にこのシートを貼ると、跡が分からないほど自然な状態に戻ることが動物実験で確認されています。
この番組の取材後に大きな動きがありました。
薬品メーカーの祐徳薬品工業株式会社がこの研究に参加することになり、2021年に人工皮膚の治験を開始し、2024年には商品化を目指すことが決まったのです。
竹澤さんは次のようにおっしゃっています。
「(火傷の)急患の方が見えてもこの絆創膏型の人工皮膚を備えておけば、かなりどんなお医者さんでも簡単に取り扱えるというようなものを目指している・・・」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
今回ご紹介した人工皮膚となる「コラーゲンビトリゲル」シートは貼るだけで跡が分からないほど自然な状態に戻るといいますから火傷の治療法としてとても画期的だと思います。
ですから、不幸にして跡が残るほどの大きな火傷をされた方もいらっしゃると思いますが、こうした方々にとっては大変な朗報と言えます。
また、2024年には商品化を目指すということですので、世界中から多くの引き合いが期待出来ます。