2018年10月13日
プロジェクト管理と日常生活 No.562 『南海トラフ巨大地震発生のリスク対応策 その3 広範囲に及ぶ被害!』

9月1日(土)放送の「NHKスペシャル」(NHK総合テレビ)では「MEGAQUAKE「南海トラフ巨大地震 “Xデー”に備えろ」」をテーマに取り上げていました。

そこで、番組を通して、南海トラフ巨大地震発生のリスク対応策について4回にわたってご紹介します。

3回目は広範囲に及ぶ被害についてです。

 

“臨時情報” (巨大地震が発生するかもしれない予兆を捉えて公表する情報)は沿岸部の方だけに関係するものではありません。

南海トラフ巨大地震における、国により最悪の場合に想定される震度分布では、東日本大震災の場合よりも震源地が非常に陸にかぶっていますから、震度7の領域も広範囲に及びます。

中央防災会議による、南海トラフ巨大地震の被害想定は以下の通りです。

死者の総計 約32万人

津波   約23万人

 建物倒壊  約8万人

 火災    約1万人

 

建物が倒壊する危険性も高くて、それによって約8万人もの犠牲者が出ると予想されています。

建物が倒壊し、そこから火が出ることによって延焼火災を起こして、それによって約1万人ということで、約9万人の人が津波以外の理由でお亡くなりになるということが予想されています。

 

では、“臨時情報”が出た時のために具体的にどんな対策が必要かですが、専門家は次のようにおっしゃっています。

(名古屋大学減災連携研究センターの福和 伸夫センター長)

「家を直すというのは中々難しいですけども、一番簡単なことは家具の転倒防止ですね。」

「それからもう一つは、いざ火災が生じてもすぐに消せるような消火器(や防災用品)の準備とかが出来ますね。」

 

(東京大学地震研究所の小原 一成所長)

「後は、どこか外出した場合でも、そこでの避難経路の確認であるとか、そういうことは普段以上に気を付けて行うというふうに言いたいですね。」

 

(福和さん)

「これは中々面倒くさくて出来ないことですね。」

「“臨時情報”が出た時ぐらいは本気になって出来ると思いますから。」

「それから、少し後ろに山があるような郊外、こういったところは土砂災害危険度が高いんです。」

「こういった場所も津波と同様に本当に危険なところはあらかじめ避難しておくことが大切だと思います。」

「(東京でも最大震度5強、高層ビルでは東日本大震災以上の揺れが予想されていますが、)そういった場所も事前に何らかの対策をすることで事業を継続し易くする、地震が起きた後、大変生活に困難を伴うわけですから、地震後の生活に対しての準備も出来るんだと思います。」

「少なくとも突発災害じゃなくて、来るかも知れないよという情報はもらえる可能性がある、不確実ではあったとしても何らかの重要なシグナルであるわけですから、社会全体がこれから変わっていく一つのきっかけになるのかも知れません。」

 

(小原さん)

「東日本大震災では事前に兆候をつかむことが出来なかったということは非常に悔しい科学者としての想いをしたわけですけれども、大地の本当にかすかなうめきにも近いようなことにもちゃんと耳を傾けて一歩一歩研究を積み重ねていくということが科学者として責任があるのではないかと思っています。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

南海トラフ巨大地震における、国により最悪の場合に想定される震度分布では、東日本大震災の場合よりも震源地が非常に陸にかぶっており、震度7の領域も広範囲になるといいます。

そして、中央防災会議による南海トラフ巨大地震の被害想定では死者の総計は約32万人といい、2011年の東日本大震災の死者・行方不明者の総計、約2万人弱に比べて膨大な数に上ります。

また1回目でもお伝えしたように、東京、大阪、名古屋で都市機能がマヒ、経済損失は1410兆円、国の年間予算の10倍を超えます。

ですから、世界最貧国に転落する危険性があると言われています。

また甚大な被害が予想される南海トラフ巨大地震が今後30年間に起きる確率は今年2月には70%から80%に引き上げられました。

ですから、明日起きても不思議ではないのです。

 

こうした状況なのですから、国、自治体、企業、公共施設、地区、一般家庭など、それぞれにおいて、すぐに対応出来ること、今後対応することに分けて対応策の検討が求められます。

また普段の暮らしに沿った避難経路の確認もとても大切です。

そして定期的に年1回は避難訓練もすることが必要となります。

“臨時情報”についても、地震の予知精度を少しでも上げ、適切なタイミングで“臨時情報”を出すことにより犠牲者を最小限に食い止めることが出来るのです。

 

ともかく、南海トラフ巨大地震の甚大な被害により、日本は世界最貧国に転落する危険性があると言われているのですから、こうした状況を国民一人ひとりがしっかりと認識し、国を挙げて被害を最小限に食い止めるように真剣に取り組むことがとても大切なのです。


 
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