2018年10月21日
No.4152 ちょっと一休み その669 『日本のスポーツ界の指導者はどうあるべきか!』

アイデアよもやま話 No.4121大坂なおみ選手 今シーズン急成長の3つのヒミツ!でテニスの大坂なおみ選手とコーチのサーシャ・バインさんによる急成長のヒミツついてお伝えしました。

また、最近はスポーツ界でコーチによる選手へのパワハラが話題になっています。

そうした中、このお二人に関連して、9月21日(土)放送の「バイキング」(フジテレビ)で日本のスポーツ界の指導者はどうあるべきかについて取り上げていたのでご紹介します。

 

元プロ野球選手で、現在は東京大学の特任研究員として科学的な指導法を研究している桑田 真澄さんは次のようにおっしゃっています。(「日刊SPA」2018年7月20日配信記事より)

「そもそもコーチの語源は、ハンガリーのコチという村で作られた四輪馬車のことで、「目的地まで大切な人を馬車で送り届ける」という意味なんです。」

「つまり、コーチはプレーヤーの目的達成をサポートする伴走者でなければならないんです。」

 

また、番組コメンテーターの東国原 英夫さんは次のようにおっしゃっています。

「厳密にいうと、イギリスのオックスフォード大学で、チューターっていう家庭教師に対する隠語、スラングがコーチ。」

「なぜコーチかというと、イギリスで昔、枝ぶちで体罰をしてた。」

「それがコーチ、つまり、馬車のむち。」

「だからチューターっていう家庭教師を辞する言葉がコーチだったらしいですよ。」

「それが転じてコーチになったらしいです。」

 

そして、番組コメンテーターでスポーツライターの小林 信也さんは次のような指摘をしています。

「日本では、コーチが選手を導くという「コーチング」ではなく、単に教えるという「ティーチング」に特化してしまっている人が多い。」

 

また、番組では次のようにおっしゃっています。

「日本のスポーツ、どうしても学校の先生と生徒というような関係で、教える人、教えられる人、それがずうっと行くんですね。」

「で、テニスがちょっと違うのはある時期からプロになるので、選手が主役になるんですよ。」

「そうすると、それをどうサポートするかというコーチ、日本ではコーチもティーチャーと同じ意味で使われているんですけど、ある時期からティーチャーからコーチに関係が変わらないといけないのに、今のスポーツは変わらないまま行っちゃうと。」

「ここが問題だと思うんでです。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

この番組を見た後、以前お伝えしたNo.11 『守(しゅ)』『破(は)』『離(り)』のご紹介を思い出しました。

この『守』、『破』、『離』はどんな道を歩むにしても、学ぶ人の立場から、成長を遂げるプロセスはこうあるべきであると説いたものだと思います。

 

この言葉を指導する側のティーチャー、およびコーチと照らし合わせて考えると、大雑把に考えれば、以下のようになると思います。

『守』    :ティーチャー(教えること)

『破』〜『離』:コーチ(目的達成をサポート)

 

ですから、今話題になっているパワハラはまさに小林さんも指摘されているように強制的に教えるティーチャーの域を超えていないことを示しています。

 

今や、ロボットの世界でも指示された通りに単純作業をこなす段階からAI(人工知能)を駆使したディープラーニング(深層学習)によるロボット自身が判断能力を持って作業する段階に移行しつつあります。

 

このAIを搭載したAIロボットと対比することによって、自ずとスポーツ選手を指導する立場の人はどうあるべきかということが見えてきます。

ティーチャーと呼ばれようとも、コーチと呼ばれようとも選手を指導する立場の人は、まず“選手ファースト”で、『守』、『破』、『離』の原則に則り、学ぶ側の成長を支援する立場で指導がされるべきだと思うのです。

 

さて、ここで注意すべきは、『守』、『破』、『離』の原則はワンサイクルで終わるものではないということです。

例え『離』の段階に達したとしても、技術はどんどん進化していくので、継続的な成長を遂げるためには、『守』、『破』、『離』のサイクルを繰り返さなければならないということです。

 

また、現場の指導者と同様に、監督する立場の文部科学省や様々なスポーツ団体の役員レベルの方々にも“選手ファースト”方針が徹底されることが求められるのです。

ですから、特に指導する側の方々は、旧態依然とした意識や体制から脱皮しない限り、永遠にパワハラは無くならないということを肝に銘じるべきなのです。


 
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