前回、EV充電器の日中規格統一がEV普及の起爆剤になるとお伝えしました。
しかし一方で、EVの普及で電力需給が逼迫するという懸念があります。
今回はこの懸念を払しょくさせる対応策について、私の思うところについてお伝えします。
前回、お伝えしたように、充電時間短縮のために急速充電器の出力アップが2020年を目途に計画されています。
現状のまま、EVの普及と並行してこの計画が進められれば、電力需給の逼迫が懸念されます。
特に夏場の電力需要のピークに高出力電力でのEVの急速充電が広範囲で行われれば、広域停電をもたらすリスクさえ考えられます。
こうしたリスクの一方で、前回お伝えしたようにEVのバッテリーの容量は今後増加傾向にあります。
ですから、夜間の電力需要の少ない時間帯に充電しておけば、300km程度の長距離であれば途中で充電の必要はなくなります。
更に、既に実用化されていますが、「LEAF
TO HOME」のように、電力需要の少ない夜間に一般家庭で日産「LEAF」のバッテリーに充電するだけでなく、昼間の時間帯にそのバッテリーを家庭用電源として使用することも出来ます。
ですから、家が崩壊するほどの大地震でない限り、停電しても3日くらいはEVのバッテリーを電源とすることにより電気に関してはほとんど普段と同様の生活が送れるのです。
更に、EVと「LEAF
TO HOME」のような装置をスマートグリッドにつなげることにより、地域レベル、あるいは国レベルでの電力の需給管理が行えるようになります。
EVのメリットはこのように単に移動手段だけでなく、電源としての役割も果たせるところにあるのです。
このEVのメリットを最大限に生かすことにより、国全体の電力の需要を平準化させることが可能になり、従って真夏の電力需要ピークを下げることにより、古くて発電効率の悪い火力発電所に依存しなくても済むようになるのです。
ということで、EVは私たちの使い方次第で電力需給を逼迫させたり、逆に緩和させる働きがあるのです。
是非、再生可能エネルギーとともに後者の対応策を国内で進め、そのシステム全体を世界各国に水平展開させることにより、地球温暖化防止、あるいは“脱化石燃料”、および“脱原発”を推進していただきたいと思います。