2018年09月08日
プロジェクト管理と日常生活 No.557 『北海道で巨大地震 その1 被害の現状と影響』

9月6日(木)3時過ぎに、北海道で初めて最大震度7を観測する地震が発生し、北海道全域にわたり大変な被害をもたらしています。

そこで、プロジェク管理の観点から2回にわたって被害の現状と影響、そしてリスク対応策についてご紹介します。

 

1回目は9月6日(木)放送の「北海道で震度7 広がる被害と影響は」をテーマとする「時論公論」(NHK総合テレビ)を通して、被害の現状と影響についてご紹介します。

なお、解説は松本 浩司解説委員と清永 聡解説委員でした。

 

北海道で初めて震度7を観測した地震では広い範囲の土砂崩れで多くの人の安否がわからならくなっているほか、北海道の広い範囲で停電が続くなど、これまでにないような大きな被害が出ています。

また、台風と地震という連続災害で新千歳空港と関西空港という2つの国の基幹空港が閉鎖になるという未曾有の事態に直面しました。

 

【被害 租攤什匈押

(松本)

地震が起きたのは6日未明の午前3時過ぎ。安平町で震度6強が観測されましたが、データが送られてこなかった厚真町では午後になって震度7の揺れだったことがわかりました。

気象庁はこの地震を「平成30年北海道胆振東部地震」と名前をつけました。

被害の大きな特徴のひとつは広範囲の山の斜面崩壊でした。

安否のわからない人が大勢います。

被害はなぜ広がったのでしょうか?

 

(清永)

厚真町の土砂崩れの様子です。

斜面がいたるところで崩れ落ち、山肌がむき出しになっています。

崩壊した斜面の割合はかなり高くなっています。

しかし、地震の前は、山間の地域に緑の木々が生い茂っていました。

 

専門家によると、これだけ広範囲に被害が起きたのは、1つは、この場所は土砂や軽石などが積み重なった地層で、固い地盤ではなかったこと。

さらに厚真町は、8月1ヵ月間では、平年を上回る217ミリの雨量が観測されていたことや、前日の5日も台風21号の接近で12ミリの雨が降ったこと。

そして、地面に多くの水分が含まれた状態で、激しい揺れに見舞われたため、特に傾斜の急な山の斜面が、表面付近から一斉に崩れたとみられます。

地震に伴う土砂災害としては、平成16年(2004年)の新潟県中越地震、そして一昨年の熊本地震でも南阿蘇村で土砂崩れが起きていますが、専門家は「今回は規模が大きい」と指摘しています。

 

厚真町は6日午後になって、実は震度7の揺れを観測していたことが判明しました。これは震度計の電源あるいは通信機能に支障が出て、震度のデータを入電できなかったためとみられるということです。震度5弱以上と推定されるのに、同じように震度のデータが一時的なものを含めてオンラインで長時間入手できなかったのは北海道の17か所に上ります。

今回は特に、震度7の把握まで半日かかりました。震度計の情報は被害を迅速に推測するために欠かせません。強い揺れでもオンラインのデータが途絶えないように、観測機器の整備を進める必要があります。

 

【被害◆噌がる停電の影響】

(松本)

もうひとつ深刻なのは広い範囲で停電が続いていることです。

激しい揺れに見舞われた地域は限られるのに、なぜ北海道の全域で停電したのでしょうか。

 

北海道電力などによりますと震源地に近い苫東厚真発電所が揺れを検知して緊急停止。

この発電所は北海道の需要全体のおよそ半分の電力をまかなっていました。

これが急に失われたことで需給のバランスが大きく崩れました。

バランスが崩れると周波数が変化して、いわば「質の悪い電気」が流れ、発電所の装置が壊れる恐れがあり、残りの発電所も自動停止し、道内全域にあたるおよそ295万戸で停電になったのです。

(注:こうした発送電システム(発電・送電・変電・配電を併せた電力の供給システム)の全系崩壊はブラックアウトと呼ばれています。)

 

その後、苫東厚真発電所の設備が被害を受けて再稼動に時間がかかることがわかりました。

北海道電力はほかの水力や火力の発電所の再稼動を進めていて一部で停電が解消したところもあります。

世耕経済産業大臣は会見で「明日までに290万キロワットの供給力を確保したい」とする一方、「十分な電力の復旧には少なくとも1週間かかる」という見通しを示しました。大きな影響が続くことが避けられない状況です。

 

特に停電の影響が深刻なのが医療施設や高齢者の施設、また家庭にいて医療機器などを利用している、命を守るために電気が必要な人で、大勢います。

北海道電力は発電所の再稼動を急ぐほか電力会社発電機車を借りて対応するとしていますが、命に直結する施設での電力の確保に最優先で取り組む必要があります。

 

(清永)

北海道全体に及ぶ停電は、市民にも深刻な影響を与えています。

各地で信号も消えたほか、15の市と町で断水しました。

電気も水もないため、夜になって避難所に身を寄せる人も少なくありません。

加えて、北海道は停電のため鉄道もストップし、空の玄関口である新千歳空港もターミナルビルの天井が崩れるなどして全便が欠航しています。

北海道は今、交通機関を使った移動も難しくなっています。

 

【連続災害の教訓】

(松本)

広い北海道ですが孤立しているような印象すら受けます。

 

(清永)

災害取材を長くしてきましたが、台風による大きな被害の翌日に、今度は地震の被害が続くというのは、私も経験がありません。

 

(松本)

同感です。台風21号が近畿地方を縦断し大きな被害を出し、5日に北海道沖を北上して雨を降らせました。

台風と地震という災害が連続するという、異例の危機に直面しています。

6日は関西空港と新千歳空港という日本の北と西の玄関口が同時に閉鎖になるという、かつてない事態になったことが象徴しているように思えます。

 

実は地震と水害が続いて起こるケースは稀にあります。

震度5弱以上の地震と警戒水位を超える洪水が1ヶ月の間に起きた事例が110年の間に20回あったというデータもあります。

気象災害の激甚化や次の南海トラフ地震が近づくことでこうしたケースが増えることが懸念されています。

自治体の中には、大地震で川の堤防が壊れたところに巨大台風が直撃するという複合災害を想定して防災計画を作ったり、訓練を行ったりするところも出始めています。

今回の台風と地震で、国や自治体は災害が連続して起こることも想定しなければならない、このことが突きつけられていると思います。

 

【今後の注意点】 

(松本)

今後の注意点は?

 

(清永)

今回は余震とみられる地震の回数が多いことが特徴です。

6日午後10時現在、体に感じる地震は79回に上っています。

また、北海道は7日から8日にかけて、広い範囲で雨が降ると予想されています。

特に土砂崩れがあった斜面の近くでは、今後の雨や余震によって新たに崩れる危険性があります。

気象庁は「今後1週間程度は激しい揺れに警戒してほしい」としています。

今後の余震への警戒とともに、雨にも十分な注意し、危険な場所には近づかないようにしてください。

 

【まとめ】

(松本)

北海道胆振東部地震による被害は広い範囲に広がっていて広域的な対応が求められています。安否のわからない人の捜索と救出を急ぐ必要があります。

また電力の確保や二次災害防止の対策、被災者への支援に国や自治体、他の電力会社など全力をあげて取り組んでもらいたいと思います。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

今回の北海道巨大地震「平成30年北海道胆振東部地震」を通して、番組以外の情報も含めて被害の現状と影響について以下にまとめてみました。

・台風などによる集中豪雨の後の巨大地震の発生が被害を更に大きくすること(土砂災害、連続災害/複合災害)

・巨大地震の後に水害が続いて起こるケースが稀にあること(連続災害/複合災害)

・ブラックアウトによる広域停電

・ガス、水道の広域での供給停止

・固定電話や携帯電話、スマホの通信障害

・道路事情の悪化による物流サービスの停止

・強い揺れで震度計の電源あるいは通信機能に支障が出て震度のデータを入電出来なくなると、被害を迅速に推測出来ないこと

・停電後の電力復旧時に起きる通電火災(参照:No.1986 ちょっと一休み その306 『災害時に注意すべき通電火災』

・巨大地震ではその後の余震による被害も大きい可能性があること

 

次回は、巨大地震発生に伴う広域停電に焦点を当てたリスク対応策についてお伝えします。


 
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