6月1日(金)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)である“寝たきり社長”の活躍について取り上げていたのでご紹介します。
株式会社仙拓(愛知県東海市)の創業者で寝たきり状態の障害者社長、佐藤 仙務さんは、働くことの意味を人一倍考えてきました。
一人では日常生活が送れず、母親が着替えや食事などを手伝っています。
病気が分かったのは、生後10ヵ月の時、進行性の病気、脊髄性筋萎縮症で身体は徐々に動かなくなってきました。
特別支援学校を卒業した18歳の時、就職を希望しましたが、雇ってくれる企業は見つかりませんでした。
佐藤さんは次のようにおっしゃっています。
「落ち込むこともあるし、絶望することもないっていうとウソになると思うんですけど、お蔭でどれだけ絶望して落ち込んでもいいと思っていて、・・・」
それでも働きたかった佐藤さんは、19歳の時に同じ病気の友人とホームページや名刺をデザインする会社を立ち上げました。
会社のために自分の能力を最大限に生かしたい、自分の意思で動かすことが出来る目の動きを感知する特別なパソコンでカーソルを動かします。
そしてわずかに動かすことの出来る左の親指でクリックします。
会社の営業のための資料やメールは全て自分で作っています。
障害があっても、自分の持てる力を発揮すれば出来ないことはないと知ったといいます。
佐藤さんは次のようにおっしゃっています。
「人より出来ないことは多いけど、逆に僕は自分が何が出来るかっていうことは自分の中で分かっているつもりで、だからそこで勝負すればいいのかなって。」
佐藤さんの会社が制作したホームページはおよそ30件、評判を呼び注文は徐々に増えています。
ある日、ビジネスで提携したいIT企業、S.S.T-C
株式会社の社長、山石 明宏さんが佐藤さんを訪ねてきました。
横浜で同じようなビジネスを展開する山石さんは、佐藤さんのエネルギーにいつも圧倒されるといいます。
山石さんは次のようにおっしゃっています。
「スピードがむしろ速いです。」
「レスポンスがすごい速いです。」
「何の違和感もなく、普通の会社とやっている仕事と同じようにやっています。」
そして迎えた愛知県内の大学での初めての授業、佐藤さんは自分にとって働くことの意味を学生に伝えました。
「自分のために働いているということだけではなくて、“周りの人を楽しませよう”とか、“喜ばせよう”とか、そういう気持ちを持って働くと、とてつもなく仕事が楽しくなるのかなと。」
「仕事を通して自分に関わってくれた人が喜んでくれるっていうのは、すごい僕は幸せを感じるんです。」
聴講した女子学生の中の二人は、次のような感想を述べています。
「働くっていうことの気持ち、モチベーションがすごく変わりました。」
「私たちも仕事頑張って、何か社会に貢献していきたい。」
以上、番組の内容、およびそれを補足するネット関連情報をご紹介してきました。
“寝たきり社長”、佐藤さんの活動を通して、あらためてネット社会が“寝たきり状態”の人など誰にでもビジネスに取り組むチャンスを提供していると思いました。
今や、身体の不自由さの制約よりもいかに優れたアイデアを持っているかの方がはるかに重要な社会なのです。
更に、ネット社会では、資金のかかるリアル店舗は必ずしも必要ではなく、リアル店舗に比べて格段に資金のかからないネット上のバーチャル店舗でビジネスを展開することが出来るのです。
実際に、佐藤さんは不自由な身体ながら、ご自分で自社のホームページを作成したといいます。
そして、今やパートナー企業による評判も上々で、注文も徐々に増えているといいます。
ということで、“寝たきり社長”の佐藤さんは、多くの身体の不自由な方のみならず、資金力はなくてもアイデア力のある若い人たちにとっても大きなパワーを与えてくれる存在だと思います。
同時に佐藤さんは、“働くことの意味”というとても大切なことを学生に伝えています。
時間に比較的余裕のある学生の皆さんには、是非“なぜ働くのか”という意義についてじっくり考え、自分なりの考えをしっかりと持っていただきたいと思います。
どのような職業に就いても、自分なりに“働くことの意味”をしっかりと持っていることによって、与えられた業務に自分なりのやりがいを感じ、より大きな成果につながると思います。
更に、ネット社会においては、素晴らしいアイデアを閃いた人は自ら起業し、多くの人たちに豊かさを提供出来ることを国内外のベンチャー企業は既に示してくれているのです。