前々回、前回と、自動運転タクシー、および空飛ぶタクシーについてお伝えしてきました。
そうした中、8月23日(木)配信のネットニュース(こちらを参照)で世界的な「ウーバー」規制の動きについて取り上げていたのでご紹介します。
イギリスのロンドン市はこのほど、「ウーバー」に代表される配車サービスの規制を政府に要求しました。
「ブラックキャブ」の愛称で親しまれるロンドン名物の黒塗りタクシーを保護するのが狙いです。
アメリカのニューヨーク市が規制を導入したのに続く動きで、世界の主要都市でタクシー業界と新興の配車サービスの対立が先鋭化しています。
市長の要求の背景には、便利で安いウーバーに客を奪われ苦境に陥ったタクシー業界からの切実な訴えがあります。
ロンドンのタクシー運転手の団体は、運転手1人当たりで年平均約1万ポンド(約140万円)の減収につながったと主張しています。
以上、ネット記事の内容の一部をご紹介してきました。
政府の規制が全くない完全な市場経済社会は、まさに弱肉強食です。
どの業界においても、競争力のある大企業はどんどん成長して大きくなり、その逆に多くの小規模な企業は次々に弱体化して市場から退場していきます。
ですから、これまでもアマゾンなど巨大なネット通販の登場により、新たな需要の掘り起こしの側面もありましたが、リアル店舗業界は大なり小なり痛手を被ってきました。
他の多くの業種においても同様な動きが見られます。
そこで、リアル店舗業界もネット通販を取り入れて生き残りを賭けています。
ここで問題なのは、ネット通販のような新たなビジネスが既存の業界の存続が危ぶまれるほどの大きな影響を与えてしまう場合の対処です。
安全で安い商品やサービスを提供する企業が現れれば、一般消費者は既存のものからそちらに乗り換えるものです。
しかし、そのために多くの企業の売り上げが激減し、社員の収入が激減したり、大量の失業者が発生してしまう事態が起きれば、国として放置しておくわけにはいきません。
ところが、こうした企業が現れても所詮は全ての需要を賄うほどの生産力はありませんから、暫くの猶予期間の間に早急に既存の企業も同様の商品やサービスを提供して事業を立て直すという構図がこれまでの一般的な対応でした。
しかし、ネット社会においては、スマホなどの活用とともにリアル店舗を持たなくても、更に多くの社員を雇わなくてもビジネスを立ち上げることが出来るようになり、しかも「ウーバー」に代表される配車サービスのケースでは一般ドライバーが運転手となるのですから、短期間のうちに既存のタクシー業界を席巻してしまいます。
しかも、ここでいう一般ドライバーは普段本業を持っており、暇な時間だけ運転手をするということも可能です。
更に、近い将来配車サービスは一般ドライバーから自動運転車によるサービスへと移行することが現実のものとして考えられています。
更にその先には、単なる自動運転車から自動運転の空飛ぶクルマへの移行が視野に入りつつあります。
このように見てくると、インターネットをベースとして、AIやロボット、あるいはIoTなど様々なテクノロジーの急速な進歩により、これまで以上にどんどん人手を介さずに済むビジネスへのシフトがここ10年〜20年のうちに進むと思われます。
ですから、今隆盛を誇っている大企業と言えども安泰ではないのです。
まさに“強い企業よりも変化に対応出来る企業が生き残れる”のです。
また、これまでお伝えしてきたように、今後、既存の多くの職種においては明らかに働く場が縮小したり、更には消滅してしまうことは明らかです。
一方で、こうした時代はアイデア次第で新たなビジネスを立ち上げるチャンスがこれまで以上に増えてきます。
ですから、一つの業界ではこれまでのような人的労働力を必要としませんが、沢山の新たなベンチャー企業の登場により、新たな働く場を提供してくれるようになります。
理想のかたちとしては、こうした新たな労働需要に応えられるような人材が育ち、労働需給のバランスが取れるような社会が望ましいのですが、供給過多の状況も考えられます。
そうなると、このような時代に対応出来る国の政策がとても重要になります。
そこで社会の安定化のための一つの対応策として、以前ご紹介したベーシック・インカム(最低限の生活を保障する現金給付)が考えられます。(参照:アイデアよもやま話 No.3401 ”仕事がない世界”がやってくる その3 新たな生活保障制度の必要性!、アイデアよもやま話 No.3933 AIは敵か味方か? その3 富の再配分システムとして期待されるベーシッキンカム!)