4月20日(金)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でソーシャルレンディングについて取り上げていたのでご紹介します。
資金を借りたい企業と個人投資家をつなぐソーシャルレンディングの国内市場規模は2014年には143億円、2015年には310億円、そして2016年には533億円だったのが2017年には1316億円へと急拡大しています。(出典:クラウドレポート)
募集開始から数分で数億円が集まるということもあるソーシャルレンディングですが、その人気の理由を番組で取材しました。
今年3月の都内での融資の審査を受けるための会合で再生可能エネルギー関連の事業に取り組む、ある男性が熱心に説明しておりました。
この男性が今回ソーシャルレンディングでの資金調達を選んだのにはある理由がありました。
この借り手の男性は次のようにおっしゃっています。
「今回、(資金調達を)やっていただいている木質バイオマスみたいなものって、なかなか日本での実績事例がないんですよね。」
「でもその一歩をやはり銀行さんが踏み出してくれない。」
「だから、資金を打つタイムングが早いのは(ソーシャルレンディングの)最大のメリットだと思います。」
再生可能エネルギーなど、先行きが見えにくい事業は銀行から多額の融資を受けられないというのが現状だといいます。
しかし、ソーシャルレンディングでは、ネットを通じて素早く多額の融資を集めることも可能なのです。
また、資金を貸す個人投資家にとっては1万円からという小口投資が可能なうえ、高い利回りの商品が多いという魅力もあります。
SBIソーシャルレンディングの織田 貴行社長は次のようにおっしゃっています。
「やはり今非常に低金利で、投資信託とか変動があまりないものを好まれるお客様はやはり我々のソーシャルレンディングと比較した場合に、6〜7%という金利があって投資家の方が集まって来ていただいていると。」
当然、事業が失敗したり市況によって元本が割れたりするリスクがありますが、低金利が続く中、市場規模は急速に拡大しています。
この急拡大の理由について、解説キャスターの滝田 洋一さんは次のようにおっしゃっています。
「ポイントは2点だと思うんです。」
「一つは、インターネット、ネット時代の手軽さ、資金を手軽に運用出来る。」
「もう一つは、低金利時代だということだと思うんです。」
「今ありました通り、一口数万円単位でお金を運用するわけですね。」
「しかもネット・ワンクリックで出来るわけです。」
「ということで、低金利で運用対象に困っている個人投資家の方が大量にここに流れ込んでいるのだと思います。」
「やはり10分で4億5000万円のお金が流れ込むというのは相当なマーケットになると思います。」
「ただ、融資先に対する審査は厳格にやっていかなければいけないという点は留意事項だと思います。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
今回ご紹介したソーシャルレンディングから連想されるのは、やはりネット社会というインフラの凄さです。
インターネットという社会インフラによって、距離や時間の制約がなくなり、世界規模であらゆる情報のやり取りのスピードがリアルタイムで格段に短縮されるようになり、しかも人手を介さずに済むのでかかるコストも格段に削減されるようになったのです。
アマゾンなどのネット通販やネットバンキング、ネット証券、あるいはカーシェアリングなど、成功している業種、および企業は全てこうしたインターネットのメリットを最大限に活用しています。
そして、ソーシャルレンディングもこうしたビジネスモデルの一つと言えます。
そこで、ソーシャルレンディングについて以下のようにまとめてみました。
(現状)
・低金利
・投資先が見つからない多くの個人投資家がいること
(ソーシャルレンディングの機能)
・1万円単位の小口の投資が可能
・人手がかからないので、その分投資家への配当を増やせること
・同様に投資を受けたい企業への資金を増やせること
(投資家にとってのメリット)
・1万円単位の少額投資でハイリターンが期待出来ること
・一方、投資に失敗しても損失を少なく抑えられること
(投資を受ける企業にとってのメリット)
・銀行が相手にしてくれないような新規事業についても、関心の高い不特定多数の多くの個人投資家が投資してくれることにより、短期間で資金調達が出来ること
(経済全体にとってのメリット)
・将来有望と見られるベンチャー企業が資金調達の支援を受けられることにより、より多くのベンチャー企業の活動の可能性が広がり、経済全体の活性化につながること
(課題)
・資金のみならず、事業を進めるうえで必要な技術者などの従業員、あるいはパートナー企業、更には企業経営におけるアドバイザーなどとのマッチング機能を提供すること
・融資先企業への厳格な審査機能
以上、まとめてみましたが、ソーシャルレンディング関連ビジネスはまだまだ発展途上で、今後ともまだまだ発展の余地があると思うのです。
また、インターネットという社会インフラを活用したビジネスは、AIやロボット、IoTなどとの組み合わせによりこれからもいろいろなかたちでこれまでのビジネス方式を塗り替えていくと思われます。
こうして、従来のビジネスが廃れていく一方で、新たなビジネス、あるいは新たな職種が誕生していくのです。