4月18日(水)放送の「Nスタ」(TBSテレビ)でEV(電気自動車)時代を見越した部品メーカーの生き残り戦略について取り上げていたのでご紹介します。
愛知県豊田市は350以上の工場を抱えるクルマの街です。
愛豊鍛造株式会社の工場で作っている部品は、EVになると必要なくなると危機感を強めています。
会長の竹内 正次さんは次のようにおっしゃっています。
「エンジンがなくなってしまうと大変です。」
「仕事量は半分くらいになってしまうんじゃないかなと思って。」
EVにはエンジンがないため、1万点以上の部品が不要になると言われているのです。
迫りくる危機にどう対応するのか、部品メーカーも必死です。
愛知県小牧市にある日本特殊陶業株式会社ではエンジンの点火プラグなどを製造しており、世界一のシェアを誇りますが、EVでは不要になる部品の一つです。
そこで始めたのが、EVの動力である“次世代バッテリー”の開発です。
1回の充電で走れる距離が今までより飛躍的に伸びるとされている夢のバッテリーです。
まだ試作段階ですが、大きな武器になると期待しています。
更に“人工骨”まで開発しています。
広報部部長の伊藤 康さんは次のようにおっしゃっています。
「(セラミックは)骨とほぼ同じ成分で、むしろ骨とくっ付き易いということで生体に使えると。」
「自動車以外の環境エネルギーや医療分野に対しても研究開発をして将来のリスクに備えたいと思っております。」
怪我などで欠けた骨を補うための“人工骨”で点火プラグにも使われるセラミックが活用されています。
100年に一度の変革期を生き残ることが出来るのか、部品メーカーの戦いは始まっています。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
前回、ベンチャー企業として誕生したナイキの成功についてお伝えしましたが、既存の企業にとっても技術革新の激しい時代は、企業の存続に係わるとても厳しい環境にさらされます。
しかし、一方で、既存の技術で新たな需要に対応することによって、次なる飛躍のチャンスをものにする可能性があるのです。
日本特殊陶業による“次世代バッテリー”の開発はその好例です。
ちなみに、“次世代バッテリー”と言われる全固体バッテリー(電池)については、アイデアよもやま話 No.3597 自動車をめぐる新たな動き その3 次世代バッテリーは長持ちで安全!やプロジェクト管理と日常生活 No.529 『EVの普及に向けて バッテリー容量増加の課題とその対応策!』などでこれまでお伝えしてきました。
日本特殊陶業でも、全固体バッテリーを2020年代前半には市場投入を予定している(こちらを参照)と言いますので、まさに飛躍のチャンスです。
先ほどもお伝えしたように、ガソリン車からEVへのシフト一つ取っても、関連企業にとっては存続に係わる危機です。
こうした危機を飛躍のチャンスにするために、自社の既存技術をEV時代にも生き残れるように、他社との協業も視野に入れて、少しでも多くの中小企業に前向きに取り組んでいただきたいと思います。