2018年07月28日
プロジェクト管理と日常生活 No.551 『西日本を襲った記録的豪雨に思う地球温暖化リスク対応策の必要性』

西日本を襲った記録的豪雨は、広範囲で各地に甚大な被害のみならず、多くの人的被害をももたらしました。

報道記事によると、西日本を中心に各地で集中豪雨につながるような気象条件が偶然重なったことが一因とされていますが、地球温暖化による大量の降水量も一因とされています。

更に、日本各地で記録的な猛暑ももたらしました。

 

テレビ番組で映し出される今回の西日本を襲った記録的豪雨の被害状況を見ていて、その被害のすさまじさは東日本大震災の津波による被害を思い起こしました。

それほど、今回の被害は大きいのです。

しかも、今回の豪雨はこれまで梅雨とはほとんど無縁と思われていた北海道にも被害をもたらしました。

まさに“想定外”です。

この“想定外”の記録的な豪雨が周辺住民の避難を遅れさせ、人的被害を増大させたと見られています。

 

なお、7月12日(木)付け読売新聞の夕刊記事よれば、コアストーンと呼ばれる数メートルの巨岩が山から転がり落ち、住宅地の被害を拡大させた可能性があるという指摘があります。

また、専門家は、山間地の表土が降雨で崩れる「表層崩壊」が引き金となり、コアストーンが住宅地を襲ったと見ています。

 

考えてみれば、大気中の温度が上がれば、その分海面から蒸発する水量は増えます。

そして、その水は大量の雨雲の源となって集中豪雨につながるのです。

また世界規模で地球温暖化対策は進められているものの、地球温暖化の進行を阻止するほどには至っておりません。

ですから今後、地球温暖化の進行に伴い、今回以上の規模の集中豪雨、あるいはスーパー台風がいつ日本列島のどこを襲い、今回以上の被害をもたらすか分からないのです。

 

さて、今回のような記録的豪雨につながる気象条件をコントロールすることは今の技術ではまず無理ですが、人類の活動が主な原因と考えられている地球温暖化は、私たちの取る対応策次第で阻止することが出来るのです。

 

では、記録的な豪雨やスーパー台風の発生における具体的なリスク対応策ですが、これまで何度かお伝えしてきたようにプロジェクト管理の観点から大きく2つの対応策が考えられます。

一つは、記録的な豪雨やスーパー台風の発生が起きないようなリスク対応策、そしてもう一つは起きてしまった場合の対応策、すなわちコンティンジェンシープランです。

 

まず、一つ目の記録的な豪雨やスーパー台風の発生が起きないようなリスク対応策ですが、こちらは世界的に取り組んでいる、地球温暖化の要因とされているCO2排出量の削減対策を出来るだけスピーディに進めるしかありません。

しかし、今考えられている計画ではその効果が現れてくるのは当分先なので、当面ほとんど期待出来ません。

ですから、地球温暖化はまだまた進み、豪雨やスーパー台風の発生は、その規模の大きさを増し、更にはその頻度も増えると考えられます。

しかも、日本列島のどこで発生するかも分からないのです。

 

ということで、2つ目のコンティンジェンシープランについては、日本列島全体で検討し、実際に対応策を早期に実施しなければならないのです。

今回の集中豪雨の被害状況からもコンティンジェンシープランを検討するうえでのヒントが沢山あるはずです。

また、こうしたコンティンジェンシープランを実施するためには、それなりの資金が必要です。

ですから、人命や被害額とコンティンジェンシープランに必要な資金とを考慮しながら、出来るだけお金のかからない方法で最適なコンティンジェンシープランを検討することが求められます。

 

一方で、南海トラフ巨大地震や首都直下型地震の発生も取りざたされています。

ですから、日本の場合は、地震、津波、集中豪雨、あるいはスーパー台風という観点から、個別ではなく総合的なリスク対応策として取り組むことが妥当と考えます。

こうしてみると、日本は“自然災害先進国”とも言えそうです。

ということは、日本が自然災害の優れたリスク対応策を構築し、それを国際的に水平展開することにより、国内外を問わず、世界規模で自然災害による被害を最小限に食い止めることが出来るのです。

日本政府には、是非こうした気概を持って、先頭に立って自然災害対策に取り組んでいただきたいと思います。


 
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