2018年07月21日
プロジェクト管理と日常生活 No.550 『 道交法違反を”見える化”!』

3月29日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で道交法(道路交通法)違反の”見える化”サービスについて取り上げていたのでご紹介します。

 

今、営業車を中心にドライブレコーダーの普及が進んでいます。

このドライブレコーダーを使った、事故につながる運転を“見える化”する技術を番組で取材しました。

 

新横浜(横浜市港北区)に構えるベンチャー企業、Genext(ジェネクスト)株式会社は、安全運転につながるあるサービスを行って、注目を集めています。

ジェネクストの笠原 一社長が次のようにおっしゃっています。

「私どもは、道路交通法違反を“見える化”いたしました。」

「ドライブレコーダーのmicroSDカードの中にGPSのデータが入っております。」

 

ドライブレコーダーは一般的にこうしたメモリーカードに映像とGPSデータを記録しています。

このGPSデータを独自のアプリケーションで解析するのです。

結果は一覧表となって出てきます。

そこには制限速度の超過、右左折禁止違反、更に指定場所一時停止違反、これに踏み切り不停止と進入禁止を加えた主要な違反5項目がGPSデータを使って自動で検出されます。

ジェネクストは2016年からこのサービスを事業者向けに展開、メモリーカード1枚3000円から提供しています。

 

ジェネクストの分析サービスを導入している逗子菊池タクシー(神奈川県逗子市)では、毎月ドライバーの違反チェックに取り入れ、1年経ちました。

違反の分析によって、数字のうえでも良い効果が出ているといいます。

逗子菊池タクシーは、JR逗子駅を中心に約40台の営業車を運行するタクシー会社です。

トラック運転手から転身して3年というドライバーの鈴木さん(仮名)は、抜き打ち検査である1日の運転記録がジェネクストの解析に回っており、自分の違反記録を見ることになりました。

どれだけ違反があったかはレポートにまとめられます。

鈴木さんの違反はなんと1日で44回、映像を見て振り返ることになりました。

住宅街の走行中、「一時停止の止まれ」が見えてきました。

しかし、減速はしたものの完全に止まることなく通過してしまいました。

これは、指定場所一時停止違反で取り締まりにあっていたら7000円の反則金が課せられます。

一方、時速30km制限の道路では坂道ということもあり、どんどん加速して時速52kmも出ていました。

20kmオーバーは反則金1万5000円の違反です。

こうした違反が一つひとつ積み重なっていくと、36万円となっています。

このデータについて、ジェネクストの笠原一社長が次のようにおっしゃっています。

「特別我々からすると、大きい数字ではないです。」

 

細かい違反を全て洗い出していくので、このくらいはよくある結果だといいます。

逗子菊池タクシー・運行管理部の重野 康恭課長は次のようにおっしゃっています。

「ドライバーの安全意識の向上にもつながっていますし、大きな事故が減ってきたので、支払う保険金や修理費が大分削減は出来ていると思います。」

 

ドライバーの意識向上によって事故が減り、自動車保険料などのコストを前年より3割も削減することが出来ました。

ジェネクストの笠原一社長は次のようにおっしゃっています。

「こうした指導をされている意識のタクシー会社様ってそうないんです。」

「我々営業に行くと、「道路交通法なんて守っていたら商売になるか!」と怒られる会社様が多いんですよ。」

 

さて、ジェネクストは自動車リースの国内最大手、オリックス自動車(東京都港区)のリース先事業者の違反分析にも携わっていました。

既に大きな成果が出ているといいます。

オリックス自動車リスクコンサルティング部の吉岡 英樹上級コンサルタントは次のようにおっしゃっています。

「数千台規模のお客様で、1億円、2億円という保険料が1年間で下がったお客様も実際にありますので・・・」

 

なんと億単位のコスト削減が出来るこの「道路交通法違反 自動判定サービス」、タクシー会社の他に運送会社や大手企業にも普及し始めています。

 

そんなジェネクストが次なる展開に打って出ていました。

それは、メモリーカードを介さなくてもGPSデータを送信出来る小型端末、GPSロガー(記録計)です。

使い方は簡単で、シガーソケットを電源にクルマの中に置いておくだけです。

これがあれば、ドライブレコーダーがなくても自動でGPSデータから違反を検出出来るのです。

更に、位置情報を高精度に測位出来る日本の人工衛星「みちびき((準天頂衛星システム)」のサブメーター級のチップを使っているので、これまで10mあった誤差が1m以下に縮まるGPSデータを使用し、小さい誤差で正確な位置情報を取得出来るといいます。

なので、より高精度な違反の検出が可能になります。

この端末を取り入れたサ−ビスは4月1日からサービス開始予定といいます。

この売り込みに奔走している営業担当の水野 晶充取締役は次のようにおっしゃっています。

「将来的には、高齢者や個人向けサービスとして確立していかなければいけないと思っています。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

ドライブレコーダーがなくても自動でGPSデータから違反を検出出来る小型端末、GPSロガーはドライブレコーダー不要なので、とても便利だと思います。

しかも量産化すれば、ドライブレコーダーに比べてパーツが少ないので低価格化が期待出来ます。

更に、多くのクルマに搭載された結果のデータがビッグデータとして蓄積されれば、どの場所で事故が起き易いかなど貴重な情報を入手出来ます。

その結果をGPSロガー搭載のクルマにフィードバックすれば、事故防止につながります。

更に、リアルタイムでこうしたデータを活用すれば、単に情報を事後に提供するだけでなく、リアルタイムで「一時停止して下さい」などの指示も出来るようになります。

更に、将来的にはこうしたデータはそのまま自動運転車においても転用出来るはずです。

 

ということで、完全な自動運転車の実用化に至るまでの過程でも、事故防止のための安全運転サポートサービスは今後とも様々なかたちで登場してくると思われます。

 

プロジェクト管理において、現状の問題や対応策の結果などを数値することにより、数量的な“見える化”を図ることはとても重要です。

クルマ社会においても、様々な“見える化”は、安全運転のサポートを通して事故のリスク対応策や事故発生時の原因分析や再発防止策の検討に大いに役立つと期待出来るのです。


 
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