2018年07月13日
アイデアよもやま話 No.4067 髪の毛のもとが人工的に大量に作成可能に!

これまで人工的に髪の毛を作成する技術について何度かお伝えしてきました。

そうした中、6月9日(土)放送の「週刊まるわかりニュース」(NHK総合テレビ)で髪の毛のもとが人工的に大量に作成可能になる技術の最新状況についてを取り上げていたのでご紹介します。

 

日本全国で2500万人以上が悩んでいる薄毛などの脱毛症ですが、あのアメリカのトランプ大統領も悩んでいるのです。

そうした中、髪の毛のもとが人工的に大量に作成出来るようになったと理化学研究所(理研)(神戸市中央区)などの研究グループが6月4日(月)に発表しました。

早ければ、再来年の2020年には実用化するかもしれないということで、薄毛の悩みが解決するかも知れません。

 

この研究グループは、髪の毛を作り出す器官「毛包」を人工的に大量に作る技術を開発しました。

この「毛包」を移植する新たな治療法の開発が期待されます。

理化学研究所の辻 孝チームリーダーは次のようにおっしゃっています。

「「毛包」再生に対して期待をされておられる方が沢山いらっしゃると思います。」

「私たちは科学的エビデンス(根拠)のしっかりした再生医療として、この研究開発を考えております。」

 

ではその具体的な仕組みですが、まず髪の毛のある部分から頭皮を採取して、その頭皮から細胞を採って培養します。

培養していくと、細胞がどんどん増えていき、髪の毛の種になる「毛包」を増やすことが出来るのです。

今までは、この増やすということが出来なかったので、今回の発表が画期的だというのです。

その後、「毛包」を髪の毛のない頭皮に移植していくと、ここから髪の毛が生えていくというわけです。

 

実際にマウスで実験したところ、黒々とした髪の毛が生えてきて、その後は抜けてもまた生えてくるということが確認されました。

 

理研と共同研究をしているベンチャー企業、株式会社オーガンテクノロジーズの研究開発本部長、平峯 靖さんは次のようにおっしゃっています。

「長い年月をかけた試行錯誤の末、毛の幹細胞を増やせる条件を見出しました。」

「細胞を元の量よりもはるかに増やせると。」

「それからもう一度、毛の原基(毛髪の種)を作って移植するところが大きなポイント、技術的に新しいところかなと考えております。」

 

「(この技術で一生生え続けるのかという問いに対して、)はい、(これから)ヒトで確認するんですけども、動物実験の結果とか、原理的に考えて恐らく期待出来るんじゃないかと。」

 

グループが発見したのは、自ら増殖して毛の元となる「幹細胞」を増やす方法なのです。

現在、男性型脱毛症の治療は薬が中心なのですが、治療を止めてしまうと効果がなくなってしまうのですが、今回の技術は再生医療のため、“持続性が期待出来る”ということなのです。

 

では、気になるその安全性についてですが、平峯さんは次のようにおっしゃっています。

「安全性上の懸念は基本的にはない。」

「拒絶(反応)は本人のものなので(ない)。」

「製造工程で毒になるようなものは使いませんのでそれもないと。」

 

治療の対象は男性型脱毛症ですが、他の脱毛症への適用可能性ついて、平峯さんは次のようにおっしゃっています。

「将来的には女性型脱毛症や先天性乏毛症といったところも研究は進めていきたい。」

「その方がその方らしく生きる一助になればなと。」

 

なお、このニュースが流れて以降、この技術開発に心から期待している子どもや女性などから多くのお便りが理研に届いているといいます。

 

薄毛に悩む方、先天的、あるいは病気の治療などによる脱毛で深刻な悩みに苦しんでいる方々にとって、この毛髪の問題はそのままどのように生きるのかという問題となり得ます。

最先端の技術が体の治療のみならず、人の心を潤す技術となるのかどうか、沢山の方が自信を持って笑顔で暮らせるその日に向けて、今回の研究がどのように進んでいくのか注目です。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

性別や年齢を問わず、また国内外を問わず、世界的に薄毛で悩んでいる方々は大勢いらっしゃると思います。

新聞や雑誌などで毎日のように養毛剤や育毛剤、増毛スプレー、かつらなどの広告を目にするからです。

しかし、満足出来るものには中々出会えません。

もし、決定的に効果のあるものが商品化されれば、世界的に話題になるはずだからです。

こうした多くの方々にとって、今回ご紹介した技術はこれまでにない満足感を与えるはずです。

しかし、問題はその料金です。

恐らく保険適用にはならないので、かなりの高額になると思われます。

もう一つの懸念材料は、髪の毛の薄い部分にだけ施術した場合、その他の部分との見た目の違いが出てくると、周りの人たちに違和感を与えてしまうのではないかということです。

あるいは、仮に全ての髪の毛の部分を施術した場合、髪の毛だけ黒々と、そしてふさふさしていると、他の身体の老化とのアンバランスが生じてしまうのではないかということです。

という具合に、いざこの技術を使って施術してもらうことを考えると、一見贅沢な悩みと言えそうな悩みが浮かんでしまいます。

しかし、この技術がどんどん進化していけば、いずれこうした悩みも解消されるはずです。

 

ということで、遅くとも今世紀中にはiPS細胞など他の再生医療技術と相まって、私たちの体の多くの部分は満足出来るレベルで再生出来るようになっていると期待出来ます。

そうなると、新たに“究極の悩み”ともいえる贅沢な悩みが出てきます。

それは、寿命が半永久的にまで伸びてしまうので、自ら死を望むまで死ぬことが出来ないということです。

 

いずれにしても、薄毛で悩んでいる方々にとって、今回ご紹介した技術は大変な朗報と言えます。

一方、薄毛関連ビジネスに取り組んでいる企業にとってはいずれ死活問題となりそうです。


 
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