2018年07月09日
アイデアよもやま話 No.4063 AIの活用事例 (6) その1 AIが最適時に外貨自動購入!

これまでAI(人工知能)関連の動向について何度かお伝えしてきましたが、その第6弾として今回は4回にわたってご紹介します。

1回目は、3月12日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)を通してのAIによる最適時の外貨自動購入についてです。 

 

今年に入ってからのドル円の動きですが、1月は1ドル110円台だったのが、上げ下げを繰り返していって、3月に入ると105円台になるなど、円高傾向が続いています。

個人投資家にとっては、常に為替に目を光らせておかなければいけないという苦労がありますが、それを手助けするAIを使った新たなサービスが始まっています。

 

3月10日(土)、都内で開かれた「投資戦略フェア EXPO2018」では、どこのブースも個人投資家で黒山の人だかりでした。

個人投資家にとっては変動があった方が利益が出易いため、今の状況は歓迎しているといいます。

みずほ銀行によると、個人投資家によるFX(外国為替証拠金取引)での外貨の買越額は1月末時点で1兆9860億円となり、昨年12月末から4倍以上に増えています。

こうした中、ネット銀行のじぶん銀行が始めたのがAIを活用した外貨の自動積立サービスです。

じぶん銀行の榊原 一弥執行役員は次のようにおっしゃっています。

「購入するタイミングをAIが判断して、より有利なタイミングで積み立てを行っていただけるようにするという新しいサービスを提供しております。」

 

選べる外貨はドルやユーロなど5種類で、あらかじめ外貨の種類と日本円で毎月いくら積み立てるかを設定します。

AIが1ヵ月の間で「より安値で購入出来る」と判断した日に自動で購入する仕組みです。

1月の実験では、ユーロを最安値で買うことが出来たといいます。

じぶん銀行は、昨年AIによる外貨予測サービスを開始、お客に好評だったためAIを更に進化させ、自動購入のサービスに発展させました。

榊原さんは次のようにおっしゃっています。

「ディープラーニング(深層学習)というAIの技術を使って分析をするんですけども、今回は外国為替の情報だけではなくて、株式情報ですとか、そういった指数の情報を取り入れて総合的・複合的に計算して判断していると。」

 

勿論、うまくいかない月もあります。

2月のドルの場合、AIが購入した後に為替トレンドが変化したため、安値で買うことは出来ませんでした。

AIの購入判断が良かったかどうかはアイコンの表情で判断出来る仕組みです。

榊原さんは次のようにおっしゃっています。

「やはり外貨預金の表面金利が一時よりも下がっていますので、1銭でも2銭でも安値で外貨を購入していただいて、トータルの運用期間の利回りを高めていただきたい。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今後とも今回ご紹介したFX投資以外にも株取引などあらゆる投資分野でAIの活用が見込まれます。

また、AIもより投資効果を向上させるために、どんどん進化していきます。

そうなると、投資の世界はほとんどがAIに依存していくと思われます。

そうした場合、これまでの投資の世界とは全く別な次元になり、AIによる売買が主流になり、何かをきっかけに暴騰や暴落が起こり得るのではないかと懸念されます。

こうしたことの起きないように、ディープラーニングを活用して様々な局面を想定したトレーニングをしていただきたいと思います。

 

同時に感じることは、株投資に着目すると、本来の狙いとAIによる投資とのかい離です。

株投資の本来の目的は、株の売買を通じて将来見込みのある企業や優良企業の成長を資金面で支援することにあると思います。

しかし、AIによる投資はデイトレーダー同様に、単純に少しでも多くの利益を得るために短期間のうちに売買を繰り返すという、“優良企業への資金的支援”よりも“短期的な利益の獲得”というスタンスです。

AIの活用により、株の売買が“短期的な利益の獲得”が主流になってしまっては、株式市場は“利益獲得ゲーム”の場になってしまいます。

しかも、投資する側の機関、あるいは個人投資家は資金の運用をAIに任せて、その判断の理由はよく分からないという世界ですから、健全な投資の世界と言えるのかどうか甚だ疑問に感じてしまいます。


 
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