2018年07月06日
アイデアよもやま話 No.4063 飲食店予約アプリで途上国支援!

3月30日(金)放送の「国際報道2018」(NHKBS1)で途上国支援出来る飲食店予約アプリについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

飲み会やレストランの予約にスマホのアプリを使う人も増えてきていますが、お店の予約と同時に発展途上国への支援が出来るアプリがあります。

ある企業で働く営業担当のMさんは、取引先との打ち合わせで飲食店をよく利用します。

お店の予約に欠かせないのがスマホのアプリ、TABLE CROSSです。

このアプリで予約すると、途上国の子どもたちに学校給食が届けられます。

Mさんはこれまで21食分を支援しました。

Mさんは次のようにおっしゃっています。

「予約を通して途上国の子どもたちに支援するという日常の中に溶け込んでいる感じで無理なく使えるのでいいなと思っています。」

 

このアプリを運営するのは、東京にあるベンチャー企業、株式会社テーブルクロス(TABLE CROSS)です。

社長の城宝 薫さんは、東南アジアを旅行した時に見た貧しい子どもたちを救いたいと大学3年生の時にこの会社を立ち上げました。

城宝さんが考えたのは、支援を継続的に行うためのビジネスモデルです。

一人分の予約につき、飲食店が180円をアプリ運営会社に支払います。

そのうち150円が会社の運営費に、残りの30円が途上国の子どもの給食1食分に充てられます。

利用者が増えれば増えるほど支援も拡大していくのです。

城宝さんは次のようにおっしゃっています。

「どういうかたちできちんと利益を生み出しながら社会貢献が出来るのかっていうのを模索してたんですけど、ボランティアじゃなくて継続した仕組みづくりをすること自体に役割があるんだというところに気付いて・・・」

 

このアプリは飲食店側にもメリットがあります。

大手のサイトやアプリの中には予約が成立しなくても月数万円以上の掲載料がかかるものもあります。

しかし、城宝さんの会社のアプリは予約がなければ支払いが発生しないため、広告費を抑えることが出来るといいます。

ある飲食店オーナーはこのアプリのメリットについて次のようにおっしゃっています。

「広告費を払っても(お客が)絶対に来るわけじゃないですか。」

「それと違って、来た人のみでお支払いするっていうシステムなので、飲食店として全くデメリットがないというか、メリットしかないっていう。」

 

運用開始から3年、支援した給食は7ヵ国で10万食を超えました。

これまで食費を稼ぐために働かざるを得なかった子どもたちが学校に通うようになったといいます。

城宝さんは次のようにおっしゃっています。

「やっぱり(子どもの)両親も学校に給食があるんだったら「学校に行っておいで」って一言かけてもらえるので、彼女たち、彼らたちの夢とか目標を応援したいな、夢とか目標を一歩後押し出来るサポートが出来たらいいなって思ったんです。」

 

このアプリのダウンロード数は現在、28万回になり、支援の輪が広がっています。

このアプリ、現在掲載されているのは飲食店だけですが、城宝さんはホテルやヘアサロンなど他の業種の予約にも広げて途上国への支援を拡大していきたいといいます。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

アイデアよもやま話 No.843 近江商人の教え!などで、これまで“三方良し”という近江商人の教えについてご紹介してきましたが、今回ご紹介した飲食店の予約アプリ、TABLE CROSSもまさに“三方良し”のビジネスモデルと言えます。

そのメリットの内訳をまとめると以下の通りです。

(予約するお客様)

・特別に意識しなくても予約を通して途上国の子どもたちを支援出来る

(このアプリで予約を受ける飲食店)

・予約成立時のみ180円をアプリ運営会社に支払えばよいので広告費を抑えられる

(アプリ運営会社であるテーブルクロス

一人分の予約につき、150円を得られる

(途上国の子どもたち)

・一人分の予約につき、30円の学校給食支援を受けられる

 

よくこうしたビジネスモデルはソーシャルビジネスと言われていますが、社会貢献を目的としたビジネスと言えども、事業としての継続性が満たされなければ、いずれ破たんしてしまいます。

そういう意味で、今回ご紹介したアプリ、テーブルクロスは一般的なビジネスモデルと比べても競争力があるので継続性があります。

 

また、このビジネスモデルの基本的な考え方は、飲食店に限らず多くの業種に適用出来ます。

実際に城宝さんはホテルやヘアサロンなど他の業種の予約にも広げる計画をお持ちのようです。

ですから、城宝さんには、是非このビジネスモデルをベースにこうしたアプリの世界展開を進め、日本発のソーシャルビジネスとして世界規模で途上国への支援を拡大していただきたいと思います。


 
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