2018年06月06日
アイデアよもやま話 No.4035 パナソニックが新たに掲げる”脱・自前主義”!

以前、アイデアよもやま話 No.4018 パナソニックがシリコンバレーに秘密拠点!でパナソニックの事業展開の新たなスタイルをご紹介しました。

そうした中、3月1日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でパナソニックが新たに掲げる”脱・自前主義”について取り上げていたのでご紹介します。

 

今年、創業10周年を迎える家電業界大手のパナソニックが次の100年を占う家電事業の新戦略発表会を3月1日に開きました。

そこで発表されたのはこれまでの自前主義を一新する戦略でした。

パナソニックの本間 哲朗専務執行役員はこの場で次のようにおっしゃっています。

「幅広い領域のパートナーの皆さまと手を組み、イノベーションを加速させていきます。」

 

掲げたのは積極的な異業種とのコラボレーションです。

まずは寝具メーカーの西川産業です。

西川産業が持つ睡眠に関するデータとパナソニックの空調技術などを合わせ、個人に合わせた睡眠サポートの開発を目指します。

ドコモとは、細かい設定をしなくても電源を入れるだけでネットにつながる家電の開発を進めます。

コラボレーション(コラボ)の相手は企業だけに止まりません。

千葉工業大学とのコラボで開発中なのはロボット掃除機です。

これまでと違うのは、この掃除機の上部にはレーザーセンサーが出ていて、リアルタイムで自分の位置情報を把握して地図をつくりながら部屋を掃除してくれます。

突然現れた障害物も地図に反映し、すぐに対応して掃除を続けます。

 

パナソニックは2008年3月期にプラズマや液晶テレビ事業が好調で、過去最高となる2818億円の純利益を計上しました。

しかし、テレビパネルへの過剰投資が響いて業績が低迷、最高益から10年、2018年3月期には純利益が2100億円に回復する見通しです。

自前主義で成長してきたパナソニックですが、次の100年は外部とのコラボで成長を図ります。

本間さんは、番組の取材に対して次のようにおっしゃっています。

「やはりIoTの特徴はモノだけの価値ではなく、モノが集めるデータがコトに変化していく。」

「そのコトを作るパートナーと一緒にお客様に新しい家電のかたちを提案していきたい。」

「だから、一人で考えていてもこれ以上は難しいという危機感は数年前からありました。」

 

当然パナソニックでは現状でもネットにつながる家電は開発して市販化はしていますが、肝心のユーザーがネットにつなげて使ってくれないといいます。

なので魅力的なサービスが提供出来ていないということから、異業種と組んでいかなければならないという問題意識を持ったというのです。

本間さんは次のようにおっしゃっています。

「(これからの100年はコラボ重視の必要性があるのかという問いに対して、)最近の経営学の知見で分かってきたのが、イノベーションを起こすのはなるべく自分の専門分野から遠いところを学ぶというのが効果があることが分かってきた。」

「例えばトヨタの看板方式がありますけども、これ元々はアメリカのスーパーマーケットの流通システムですね。」

「要するに売り上げを見て必要な分だけを仕入れるという仕組みですけども、これを製造業に応用することによってトヨタの看板システムが生まれたとか、元々パナソニックは自前主義と言われていますが、松下幸之助さんが最も大事にしていたことは“衆知を集める経営”ということがあって、今回のこういうコラボは“衆知”の範囲が広がった。」

「自社だけではなく、他社も含めて“衆知”を集めてベストなものを作るということですから、ある意味で原点回帰しているところがあるんじゃないかと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

アイデアは既存の要素の組み合わせであるとこれまで何度となく繰り返しお伝えしてきましたが、考えてみれば個々の企業も経済活動をする上では一つの要素と言えます。

そして、個々の特色を持った企業の協業が新たなビジネスのみならずイノベーションを生み出す可能性を秘めているのです。

特に現在のように目まぐるしくテクノロジーが進歩する時代は、既存のビジネスに軸足を置きがちな大企業に比べて、過去のテクノロジーに囚われないベンチャー企業の方が素早く動けるのが一般的です。

しかし、ベンチャー企業にはヒト・モノ・カネの制約があります。

そこで、基本的な技術力や販売力、経営力のある大企業とベンチャー企業が手を組むことにより、新たなアイデアが生まれる可能性があるのです。

 

ということで、テクノロジーの進歩をはじめビジネス環境の変化の速い状況においては、大企業、ベンチャー企業に限らず、企業の存続を賭けて将来的な事業の発展の可能性を考えれば、自ずと様々な企業間における、お互いを補完し合う協業が今後ともなされていくのです。


 
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