アイデアよもやま話 No.4025 大きな可能性を秘めるブロックチェーン!やプロジェクト管理と日常生活 No.542 『進化するサイバー攻撃とそのリスク対応策!』で仮想通貨の可能性やリスクについてお伝えしてきました。
そうした中、2月28日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)でロシアが世界最大級の“仮想通貨鉱山”になりつつある状況について取り上げていたのでご紹介します。
トラブルも起きていますが、存在感を増す仮想通貨は売買以外の方法で一山当てようという人たちにとっても魅力的な存在だといいます。
仮想通貨の取引は、セキュリティ対策として記録をする必要があります。
そのためには、非常に膨大な計算が必要となっております。
そこに大量のコンピューター作業で貢献する人たちがおります。
彼らの目的は、新たに発行される仮想通貨なのです。
これを計算の対価として得ることが出来るという仕組みになっています。
この作業は、鉱山から金を採掘するイメージから採掘、あるいはマイニングというように呼ばれていて、これが巨額の富を生む可能性を秘めていると考えている投資家も少なくないのです。
このマイニング作業が活発なのが中国ですが、中国は今政府の規制が強まっているために、このマイニング作業が新しい新天地に移転を始めているといいます。
採掘マシンのメーカーも中国での需要の先細りを危惧して動き出しています。
深圳に本社を置くパンダマイナーは2年前に創業したばかりです。
採掘マシンの製造・販売に特化したベンチャー企業です。
こちらの社長は次のようにおっしゃっています。
「我々はこれからスピードを速めて海外の連携パートナーを探し、海外市場を拡大しようと思います。」
「ロシアが政策で採掘を規制しなければ、ロシアは世界で重要な採掘基地になりますよ。」
社長が海外で最も期待を寄せる販売先がロシアですが、そのロシアで今何が起こっているのでしょうか。
モスクワ中心部からクルマで40分ほどの場所に行くと、かつて自動車工場の巨大な建物の中でビットコインが作られております。
ロシアン・マイナー・コインの経営するこの工場の中にはビットコインの採掘用の大量の機械が並んでいます。
ここは4000台の採掘マシンが稼働する、世界最大級の“ビットコイン鉱山”なのです。
工場の担当者は次のようにおっしゃっています。
「今は4000台ですが、今後は2倍の8000台に増やす計画です。」
「ロシアでは仮想通貨の“採掘”は禁止されていないんです。」
今後も投資を拡大するという強気になる一つの理由はロシアの気温です。
冬はマイナス10度以下で、夏も涼しいのです。
一般的に採掘工場では70℃以上の高温になる“採掘マシン”を冷却する必要がありますが、ロシアは気温が低いため、冷却費用がほとんどかからないのです。
他の国より低コストで仮想通貨を“採掘”出来るのです。
世界最大級のビットコイン工場を立ち上げたロシアン・マイナー・コインのドミトリー・マリニチェフ社長は、最近のビットコインの価格急落について次のようにおっしゃっています。
「確かにビットコインの価格は人々の期待や恐怖で乱高下しています。」
「ただ長期的には価格は上がるでしょう。」
「グローバルな価値の交換システムが大きな変革を遂げています。」
「このシステムに加わる人々はこれからも世界で増えるでしょう。」
見通しはあくまで強気です。
ロシア議会では独自の通貨、クリプトルーブルを公的な決済手段とする法案が審議中です。
この冬、モスクワ郊外で開かれた仮想通貨のイベント、クリプトカンファレンスには様々な年代の人々が集まりました。
次のような参加者の声があります。
「仮想通貨の“採掘”は、ロシアで有望なビジネスだよ。」
「システムは完全ではないけれど、実際のお金より仮想通貨の方が盗まれにくいのでは。」
仮想通貨にとって、ロシアは最後の楽園となるのでしょうか。
ロシアで“採掘”が盛んな理由はいくつかありますが、その一つとして、ロシアは自国通貨、ルーブルへの信頼が元々低いので仮想通貨にすがりたがる傾向があるといいます。
それから世界屈指の宇宙開発技術を支えるIT系の人材がロシアは豊富であるということです。
更に、モスクワの巨大“採掘場”には日本の投資家のマネーもかなり流れているといいます。
更に、寒いことがプラスになっているのです。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
仮想通貨については、これまで何度となくお伝えしてきましたが、便利さの反面、投機的なマネーゲームの側面も持ち合わせています。
ですから、借金をしても仮想通貨に投資し、一攫千金を手にした“億り人”がいる一方で、借金で首の回らなくなった人もいるといいます。
いずれにしても、仮想通貨は絶えず新たな投資先を求めてフロンティアを探し続ける資本主義の宿命の一つと言えます。
さて、この仮想通貨が思わぬかたちで、経済的な悩みを抱えているロシアの苦境を救う可能性が出てきました。
それが今回ご紹介した“仮想通貨鉱山”です。
新たな投資先を求める投資家に加えて、マイニングマシンの稼働に適した年間を通じて低い気温、そして世界屈指の宇宙開発技術を支える豊富なIT系の人材、更には自国通貨、ルーブルへの信頼の低さがこうした背景にあると番組では指摘しています。
ということで、“仮想通貨鉱山”の動向次第でロシア経済の復活に貢献出来る可能性が出てきました。
さて、仮想通貨はギャンブル的な要素を持っている反面、確かに様々な利便性があります。
ですから、今後仮想通貨が通貨の主流になるかどうかは分かりませんが、そのカギは各国通貨との変換レートの安定性と安全性だと思います。
いずれにしてもキャッシュレス化の流れは間違いなく加速していくと思います。
ですから、アイデアよもやま話 No.4010 変化の波に乗り遅れそうな銀行業界!でもお伝えしたように、銀行業界をはじめ、あらゆる業界は仮想通貨の動向に注視しつつ、キャッシュレスに向けた対応が求められると思います。