2018年05月31日
アイデアよもやま話 No.4030 AIの活用事例 (5) その4 開発が加速するAIを搭載した兵器!

これまでAI(人工知能)関連の動向について何度かお伝えしてきましたが、その第5弾として今回は4回にわたってご紹介します。

4回目は、4月19日(木)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)を通してのAIを搭載した兵器についてです。

 

急速に進化を続けるAIですが、その活用は兵器にまで広がろうとしています。

AIを搭載したターミネーターが次々と人間を抹殺するという、30年以上前の1984年の映画「ターミネーター」の世界が現実のものになろうとしています。

 

今、AIを活用した兵器の開発競争が加速しています。

火薬、そして核兵器に次いで第3の革命と呼ばれるAI兵器は人類の脅威となるのでしょうか。

また、AI兵器の出現は戦争をどのように変えるのでしょうか。

 

アメリカではAIを搭載したドローンなどの無人機、それに地上歩行型の戦闘用ロボットなどの開発が行われていると見られています。

それに対抗意識を燃やしているのが中国だと言われています。

更にロシア、イスラエル、あるいはイギリス、韓国なども開発に取り組んでいると見られています。

 

今後、より開発が進んでいくと実際にはどのような戦いが予想されるのでしょうか。

番組ではAI兵器に詳しい東京理科大学の平塚 三好教授に未来の戦場について取材し、その結果をNHK政治部の西井 健介記者は次のように伝えています。

「こうした戦いでまず最初に展開されるのがサイバー攻撃の応酬です。」

「戦いに使われるのはAIを搭載したパソコン、あるいは人工衛星などです。」

「これらが自ら敵のミサイルの迎撃システムや戦闘機の通信システムなどといった標的の弱い部分を判断して、コンピューターウイルスや電磁波などを使って攻撃していくのです。

「敵の攻撃機能の言わば頭脳となる部分を無力化させるわけです。」

「更に次に考えられるのが、無人機同士が空域で戦闘を行うというものです。」

「こうした戦闘では、人間の司令官は遠く離れた安全な場所で、全体の指揮を執るだけということになります。」

「(そうすると、戦闘で危険な現場には人間の兵士は行かなくなるということなのかという問いに対して、)そうですね。」

「例えば、偵察用ロボットは攻撃される恐れのある場所でも情報収集をすることが出来るロボットです。」

「そして、物資運搬用の馬型ロボットは、戦場で重い武器や弾薬を運ぶことが出来、兵士の負担を減らすことが出来ます。」

「(こうしたAI兵器は人間の肩代わりが出来るということなのかという問いに対して、)そうなんです。」

「実は、日本でも防衛省がこうした利点を防衛装備に転用出来るものはないかということで研究を始めています。」

「元防衛大臣で、現在政策参与を務めている森本 敏さんは、「今後人口が減っていき、自衛隊は現在の半分の隊員で倍のシステムを動かさざるを得なくなる。そうするとAIを用いた省力化は欠かせない。」というふうに話していました。」

「(ただAI兵器が進化し過ぎて、映画の「ターミネーター」のようになりますと怖い気がするという指摘に対して、)確かにそうなんですね。」

「実際に今、国際社会でもAI兵器の進化に対する懸念が高まっているんです。」

 

車から放たれた大量のドローンの群れ、自ら標的の居場所を察知すると。壁を破壊して建物の内部に侵入します。

そして、逃げ惑う人間を追いかけ、攻撃を繰り返します。

この映像はAI兵器の開発に反対する団体が作ったものです。

AI兵器が進化し、殺人に至る判断まで行うようになってしまうと、大量殺りくなど収拾のつかない事態に発展すると警鐘を鳴らしています。

西井記者は以下のようにおっしゃっています。

「今のようにAI兵器が更に進化が進んで人間の判断を一切挟まないという段階まで脱した自立型の兵器は“キラーロボット”と呼ばれています。」

「この“キラーロボット”に対して、世界では規制を求める動きが始まっています。」

「国連では昨年“キラーロボット”の規制について議論する、初めての公式会合が開かれました。」

「ただこの会合では、アメリカやロシアなどが開発前の予防的な規制は拙速だと反対して、議論は平行線となっています。」

「また、日本の国会でも動きがありました。」

「先月、与野党の議員が参加する勉強会が発足しました。」

「“キラーロボット”は倫理的に認められないとう考えのもと、議論を重ねていくことにしていて、参加者議員の中には一定の歯止めをかけるために、日本が国際社会の議論をリードしていくべきだという声もあります。」

「AIというと、生活を一変させる便利な技術というイメージがありますけど、兵器としての開発競争が今後行き過ぎれば、人間がAIに殺されるという時代が来ないとも限りません。」

「そういう危険性があることを忘れずにAIと向き合って行くことが必要だと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今でもサイバー攻撃により、個人情報や仮想通貨などが盗まれています。

そうした中、AIを搭載した兵器もネットでつながっているのでサイバー攻撃の対象になり得ます。

そうすると、サイバー攻撃隊により、コントロール機能を破壊されたり、更にはコントロール機能を奪われて、味方のAI兵器が味方に向かって攻撃をしかけてくるというリスクもあります。

 

また、AI兵器同士での戦争が主流になると、ゲーム感覚になってしまい、まるでゲームをやっているような戦争になり、実際AI兵器同士の戦場にはほとんど生身の兵士は皆無となり、敵味方の区別なく、生身の兵士の負傷した姿や死体を見ることもほとんどなくなります。

ですから、戦争の悲惨さを深く感じることもないままに戦争が続けられます。

やがてAI同士の戦闘に決着がつくと、次にはAI兵器による敵国の生身の人間の殺りくが始まります。

しかし、ここでも直接自分の手による殺りくではないので、罪悪感を感じることはこれまでの戦争に比べてはるかに軽くなります。

ですから、核兵器による大量殺りくとは別な意味で、AI兵器は非人道的な兵器と言えます。

 

ですから、番組でも指摘されているように、“キラーロボット”には何らかの一定の歯止めが求められると思います。

 

なお、番組では触れていませんでしたが、毒ガスや細菌などの化学兵器も非人道的な兵器として対処することが求められます。

 

今後ともテクノロジーの進歩は続き、それに伴い兵器も進化していきます。

ですから、絶えず新しく開発された兵器についてはチェック機能を働かせ、適切に対処するような国際機関が必要なのです。


 
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