2018年05月30日
アイデアよもやま話 No.4029 AIの活用事例 (5) その3 アマゾンによる”AIレンタルサービス“!

これまでAI(人工知能)関連の動向について何度かお伝えしてきましたが、その第5弾として今回は4回にわたってご紹介します。

3回目は、4月19日(木)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)を通してのアマゾンによる”AIレンタルサービス“についてです。

 

アメリカのネット通販企業、アマゾンが今日本企業の間に別なかたちで入り込んでいます。

インターネット上のAI(人工知能)を企業に貸し出すというビジネスです。

この分野でも世界トップといいます。

アマゾンのAIはいろいろな場所で使われています。

和歌山市のFM局では、原稿を音声に変換してニュースや天気予報を読み上げます。

また、子どもの行事など多数の写真から、自分の子どもの顔だけをAIが選び出すシステムです。

企業が自前でAIを開発したり、維持したりするには莫大なコストがかかります。

しかし、アマゾンがネット上で貸し出しているAIを多くの企業で使えば、コストを大幅に削減出来ます。

 

アマゾンのAIを活用している企業の一つ、福岡市に本社を置くITベンチャー、スカイディスク株式会社が開発を進めているのは、生産設備の異常をスマホで簡単に診断出来るアプリです。

多くの企業は製造装置の異常を熟練工が機械の振動音を頼りに判断しています。

しかし、特に地方では熟練工の減少に悩まされています。

このアプリを使うと製造装置に異常があるかどうかをアマゾンのAIが音で瞬時に判断します。

製造装置に問題がない場合は正常と判断しますが、欠けた歯車を嚙合わせると、AIが異常があると知らせます。

このアプリに関心を持つ企業からの問い合わせは、九州地方を中心に10件寄せられていて、来年春までには実用化したいとしています。

スカイディスクの橋本 司社長は次のようにおっしゃっています。

「九州は工場が沢山ある地域なので、ニーズが更に広げていけるといいんじゃないかなと思います。」

 

今回、来日したアマゾンのAI事業の責任者、アマゾン ウェブサービスのスワミ・シヴァスブラマニアン副社長は、特に地方の中小企業にサービスの浸透を図りたいとしており、次のようにおっしゃっています。

「AIの活用法は無限です。」

「アマゾンはこの分野のリーダーの地位を確立していて、AIシステムは最大の事業分野になると考えています。」

 

これまでAIに手が出せなかった中小企業にとっては朗報かもしれません。

しかし、このようなサービスはクラウドサービスで実現出来たので、このサービスは自社の持っているデータを外のコンピューターに預けるので、セキュリティが生命線になります。

なので、これが確保されているかどうか、アマゾンに対するチェックも欠かせないと番組では指摘しています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

これまで様々な分野でのAIの活用事例についてご紹介してきましたが、一つのアプリとしてのご紹介でした。

ところが今回ご紹介したのは、様々なAIアプリのレンタルサービスです。

以前、アイデアよもやま話 No.3943 ペッパーの新サービス 10の業種で使いやすく!でご紹介したのはソフトバンクの開発したロボット、ペッパーのアプリのレンタルサービスでしたが、アマゾンはAIにおける同様のサービスを提供するものです。

 

そもそもAIもロボットも本体だけではほとんど機能しません。

用途に即したアプリが搭載されてこそ機能を発揮するのです。

しかし、利用企業が単独でアプリを開発するにはそれなりのヒト・モノ・カネを要します。

そこで、AIやロボットとアプリというセットのレンタルサービスがAIやロボットの普及を促進させる方法として適しているのです。

また、安倍政権で進めている“働き方改革”でも生産性向上を図ることは大きなテーマの一つです。

ですから、AIやロボットのレンタルサービスは間違いなく普及していきます。

そのためにはそれぞれの用途に即したアプリが必須となります。

ですから、AIやロボットをハード面で提供する企業、およびソフト面で提供する企業の協業による、より多くの質の高いアプリを低料金で提供する企業にとっては当面ブルーオーシャン(競争のない未開拓市場)状態だと思います。

 

ということで、確かにAIやロボットの普及は労働市場全体としては縮小をもたらしますが、このことこそが全体として労働時間の短縮につながるのです。

一方で、特にアプリ開発の対象は無限に近いですから、データサイエンティスト(参照:アイデアよもやま話 No.2381 新たな職種「データサイエンティスト」の誕生!)やプログラマーなど、膨大な労働市場が誕生します。

ところが、こうした新しい職種はとても不足しています。

ですから、こうした労働市場の需要状況に応じた業種への供給シフトが求められるのです。

そのためには、学校教育も含めた様々な対応が早急に必要なのです。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています