2018年05月06日
No.4008 ちょっと一休み その645 『揺らぐ世界 その5 世界的な格差社会化の進行!』

これまで世界の富の集中については、以下のように何度となくお伝えしてきました。

アイデアよもやま話 No.2696 世界の富裕層の上位1%の総資産が全世界の下位半分の資産を占めている!

アイデアよもやま話 No.3614 格差社会アメリカの実態 その2 アメリカは格差社会先進国!?

アイデアよもやま話 No.3616 格差社会アメリカの実態 その4 富裕層への富の集中による弊害!

 

そうした中、1月7日(日)放送の「サンデーモーニング」(TBSテレビ)で「揺らぐ世界 〜この時代の変わり目に〜」をテーマに取り上げていました。

そこで7回にわたってご紹介します。

5回目は世界的な格差社会化の進行についてです。

 

4回目で資本主義経済の矛盾についてお伝えしました。

その矛盾の一つは世界的な格差社会です。

こうして生み出された極端な格差への怒りと不満が世界を揺るがしているというのです。

大きな富を生み続けながら、幾度も壁を乗り越えてきた資本主義の歩み、今直面する行き詰まりを解決する道はあるのでしょうか。

 

番組パネリストの一人、古田 大輔さんは次のようにおっしゃっています。

「原因と結果をちょっと逆に考えたいんですけど、資本主義が行き詰ったから格差や分断が広がるというわけではないと思うんですよね。」

「格差や分断が広がってしまったら、資本主義が行き詰るんじゃないかと思うんですよ。」

「じゃあ、資本主義を他のものに代えますかって、でも他のものってないと思うんですよね。」

「資本主義を他の何かに代えましょうということには中々いかないと思うんですよ、経済活動を考えると。」

「そうすると、格差や分断が進み過ぎないようにしましょうよというのが適切な対処の仕方かなと思います。」

「で、格差に対して一つ指摘したいのは、VTRの中で上位8人が下位50%分の富を持っていると、富が集中してしまっていると。」

「これ自然な流れだと思うんですよね。」

「どういう意味かというと、今、世界がグローバル化して、世界中の人がファイスブックを使うわけですよね。」

「で、世界中の人がアマゾンを使うと。」

「そういう時代がこの10年で訪れた。」

「そうするとアマゾンとか、僕ネットフリックス見ますけど、世界中の人たちが共通サービスを使うようになったら、そこが無茶苦茶儲かるのは当たり前の話なんですよね。」

「これは今後も絶対続いていくわけです。」

「だから、そこに富が集中することは良い悪いではなく、それが時代の必然であると。」

「でその中で、一方で確実に問題はあるんだから、そこをどう手当てしていくか。」

「で、一番最大の問題を発生させてはいけないのは戦争ですよね。」

「戦争の原因ていうのは、これは2500年前から変わらなくて、今、塩野 七生さんの「ギリシア人の物語」って話題になっていますけれども、2500年前のペロポネソス戦争の時に言われたのは、戦争というものは名誉か、恐怖心か、それとも利益を得たいという心から生じるというのは2500年前から変わらないので、そういうものをみんなで意識しながら、そこには行き着かないようにしましょうねと気を付けるしかないのかなと思います。」

 

また、番組パネリストの一人、寺島 実郎さんは次のようにおっしゃっています。

「今アメリカで議論していると“FAGA”っていう言葉がよく使われるんですよ。」

「それはFacebookの“F”とAppleAmazonの“A”とGoogleの“G”を挟んで、これらの企業が世界で浸透し、儲かっているんだから、その創業者が富を得るのは当然じゃないっていってる考え方があるのも事実なんです。」

「でも、実際どうやってこの8人の人たちが富を作ったかと言ったら、これはマネーゲームっていうか、IPO(新規公開株)だとか、その後の株価の値上がりだとか、マネーゲームによるマネーゲームのために肥大化して富を作ったという部分も加わっているっていうわけですよ。」

「ですから、極端な金融資本主義の肥大化っていうものが富を拡大した、富の分散を拡大した、格差を拡大したことは確かなんですよ。」

「で、我々今年について忘れていけないことは、(2008年に起きた)リーマンショックからちょうど10年目だということなんですよ。」

「でリーマンショックの教訓が生きているのか。」

「あの時もまさにマネーゲームの肥大化がもたらした歪みが世界にああいうショックを起こしたんだっていうことだったんだけど、10年経ったけど教訓は全く生きていないどころか、もっと手の込んだ金融資本主義のあざとい、いわゆる変革という名のもとに肥大化が起こっている。」

「例えば、我々21世紀に入って、それまで金融の世界で聞いたこともなかったような言葉を勉強しなきゃいけなかった。」

「ジャックボンドって言っていた、これがいつの間にかハイイールド債って名前を変えて我々の目の前に現れた。」

「それからヘッジファンドの肥大化、これ今、世界で約2兆ドルの規模になっていますね。」

「それから最近フィンテックなんて言葉もよく聞きますよね。」

「それから更に、おっとなるようなビットコインの時代なんて言われ始めている。」

「こうやって手を変え、品を変えして、金融という分野で付加価値を肥大化させていく。」

「我々は今から議論しなきゃいけないことは、健全な資本主義ってのは何なんだと、公正な分配っていうのは何なんだと。」

「あざとい資本主義に「しょうがないよね」って言っている場合じゃないっていうのがこの段階で僕が言いたいことですね。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

番組では、資本主義経済の矛盾の一つとして世界的な格差社会を指摘していますが、富の集中は必然だと私も思います。

前回、No.4002 ちょっと一休み その644 『揺らぐ世界 その4 資本主義経済の抱える矛盾!』でもお伝えしたように、そもそも資本主義経済は常に更なる利潤を追求していくために新たな市場、すなわちフロンティアを探し求めています。

そうした中、インターネットの普及により世界中の多くの人たちはネット経由でいつでもどこでも欲しいものを手に入れることが出来るようになっています。

更にテクノロジーの進歩により、フィンテックと呼ばれる金融とテクノロジーの融合により、金融資本主義の肥大化をもたらしつつあります。

更に、IoTという新たな動きは、あらゆるモノやサービスをネットでつなぎ、地球上の利潤追求のフロンティアの究極の状況を作り出そうとしています。

勿論、こうした成果は、私たちに便利さや豊かさをもたらしてくれる側面もありますが、こうした一連の経済活動は、インターネットがインフラであるがゆえに、“FAGA”に代表されるように、様々なプロバイダーの集約、集中をもたらしています。

その結果、国や企業、あるいは私たち一般人という社会の全ての階層において“格差”という弊害をもたらしているのです。

こうした格差は現状を放置していれば、今後ともテクノロジーの進歩に伴い増々拡がっていきます。

そして、格差が極端に広がっていけば、社会不安が高まり、これまでの歴史が示しているように紛争や戦争の原因となります。

 

そして、寺島さんの指摘されているように、リーマンショックの教訓は未だに生かされていないといいますから、今後とも価値の変動の激しい仮想通貨など新たなフロンティアの持つリスクが顕在化する可能性は残ります。

 

このような格差拡大による社会不安や不満、あるいはリーマンショックのような資本主義の本来的に持つリスクは、国家による十分な対応策なしには繰り返し顕在化するのです。

 

ということで、世界中の国家、中でも先進国においては、経済の専門家とともに知恵を絞って健全な資本主義を維持し続けるための対応策を検討していただきたいと思います。


 
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