2018年04月22日
No.3996 ちょっと一休み その643『揺らぐ世界 その3 現在に至る経済システムの歩み!』

これまで世界の富の集中については、以下のように何度となくお伝えしてきました。

アイデアよもやま話 No.2696 世界の富裕層の上位1%の総資産が全世界の下位半分の資産を占めている!

アイデアよもやま話 No.3614 格差社会アメリカの実態 その2 アメリカは格差社会先進国!?

アイデアよもやま話 No.3616 格差社会アメリカの実態 その4 富裕層への富の集中による弊害!

 

そうした中、1月7日(日)放送の「サンデーモーニング」(TBSテレビ)で「揺らぐ世界 〜この時代の変わり目に〜」をテーマに取り上げていました。

そこで7回にわたってご紹介します。

3回目は現在に至る経済システムの歩みについてです。

 

1回目、2回目と世界、および日本における富の集中についてお伝えしてきましたが、なぜこれほどまでに富が偏ってしまったのでしょうか。

現在に至る経済システムの歩みを遡ると、そのスタートは18世紀にイギリスから始まった大転換、産業革命です。

蒸気機関という画期的なエネルギーを推進力に織物業などの機械化が進み、それまでの手工業から産業の姿が一変しました。

大量に生み出される製品は、機関車でより速く、より遠くへ運ばれ、日常生活の利便性や快適さが格段に向上、豊かな税収で道路やダムが整備されるなど、恩恵を人々にもたらしました。

 

この産業革命の動きはフランス、ドイツ、そしてアメリカなどに波及し、19世紀後半にはロシア、更に明治維新で姿を大きく変えた日本にも及びました。

その明治維新から150年、日本は着々と近代化の歩みを進めてきました。

富の拡大を望む先進国は、安い原料や労働力、そして新たな市場を求め、植民地獲得を目指し、海外に触手を伸ばしました。

アジアでは、イギリス、フランスなどヨーロッパの列強やアメリカが植民地化を進め、後を追うように日本もまた朝鮮半島などに進出しました。

また、アフリカ大陸でも列強による植民地支配が過熱、国家間の激しい対立を招きました。

20世紀初頭、モロッコでの権益を巡って始まったドイツとフランスの対立がヨーロッパ諸国を巻き込み、オーストリア皇位継承者の暗殺を契機に未曾有の大戦争を引き起こしました。

第一次世界大戦です。

史上初の世界規模で行われた第一次世界大戦は一般市民が戦線に駆り出される総力戦となったうえに、毒ガスなどの新兵器も使用され、約9百万人という膨大な戦死者を出しました。

かつてない犠牲者を出した世界戦争、その反省から1920年に設立されたのが戦争回避の仕組み、国際連盟です。

しかし、世界は突如思わぬ危機に見舞われます。

ニューヨーク市場の株価大暴落をきっかけに起きた世界大恐慌、多くの国の人々がその日の食事さえ事欠く事態になったのです。

 

そうした中、第一次世界大戦の敗戦による、莫大な賠償金と激しいインフレに見舞われたドイツでは、ヒットラー率いるナチスが誕生、ナチスドイツは国民の不満のはけ口を求め、ユダヤ人を迫害し、他国への侵略を開始しました。

一方、世界恐慌で苦境に立たされた日本も1931年に満州事変を引き起こし、満州国を建国しました。

その後、ドイツ、イタリヤと軍事同盟を結びました。

日独伊三国同盟です。

こうした動きに対し、欧米の連合国は武力で対抗、世界は再び世界大戦の泥沼に踏み込んだのです。

戦闘機、航空母艦など、近代的武力を使った第二次世界大戦では、市民を巻き込む無差別攻撃の応酬で世界の多くの都市が壊滅、遂には日本への二度の原子爆弾投下という最悪の悲劇までもたらしました。

この戦争による死者は約6000万人に上りました。

二度の大戦がもたらした戦争の悲惨さから平和の尊さを学んだ世界各国は1945年にあらためて国際連合を設立しました。

国連憲章には次のような理念が掲げられています。

・基本的人権

・自由

・寛容

・平和

・武力を用いない

 

世界はこうした理念を共有し、新たな時代に向け再び歩み出したのです。

しかし、対立は消え去ったわけではありませんでした。

戦後、世界は“鉄のカーテン”により、ソ連をリーダーとする東側共産圏が作られる一方で、アメリカを中心とする西側資本主義圏とに分断、一触即発の緊張を伴う東西冷戦に入りました。

その後、ソ連は政治システムの矛盾や経済の不振などにより衰退、1989年12月開催のマルタ会議でソ連のゴルバチョフ書記長(当時)は冷戦時代の終わりを告げ、やがて1991年12月にはソ連が崩壊しました。

ソ連が解体されたことにより、世界はアメリカを中心にした資本主義、民主主義を基本とする体制でまとまっていくかに見えました。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

こうして18世紀の産業革命から20世紀までの世界の経済システムを俯瞰してきましたが、以下のようにまとめてみました。

・人類は生産技術の進歩による商品の供給力の増加に伴い、それに見合う市場を世界的な規模で常に求めてきたこと

・その過程で、人類は豊かさを手に入れてきたが、一方で市場の奪い合いが起こり、それが時には戦争につながったこと

・技術の発達は兵器の殺傷能力を高め、今や人類はおろか、地球を崩壊させてしまうほどの核兵器を人類は手に入れてしまったこと

・こうした戦争を回避するべく、国際的な機関、国際連盟、あるいは国際連合が設立されたこと

・東西冷戦を経て、ソ連の解体により、世界はアメリカを中心にした資本主義、民主主義を基本とする体制が主流になる流れが出来たかに見えたこと

 

ところが、今このシステムが様々な矛盾を生み出し、厳しく問われ始めたのです。


 
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