2018年04月18日
アイデアよもやま話 No.3993 企業で進むAIの活用!

1月22日(月)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で企業で進むAIの活用について取り上げていたのでご紹介します。 

 

そもそもAI(人工知能)とは何かについて、専門家によると明確な定義はないといいます。

ただ、大きくはコンピューターを使って作られた人間のような知能のことだそうです。

 

春闘で大きなテーマとなりそうな“働き方改革”ですが、仕事を効率的なものにするために、今企業が次々と活用に乗り出しているのがAIです。

AIを活用し、次々と人間の代わりをする技術が生まれています。

 

そこで今、金融や製造業を中心に、これまで人間が行ってきた仕事をAIが代わりに行い始めています。

大手生命保険会社、富国生命(千葉県印西)の保険の支払いを査定する部署では、医師が書いた診断書を読み込み、給付金の支払いの可否やその額を審査しています。

オフィスから離れ、厳重に管理されたフロアに昨年導入したAIが搭載されたコンピューターがあります。

アメリカのIBMが開発したAI、複雑な文章や難解な単語を瞬時に読み込む高い能力を備えています。

富国生命では、過去の診断書データ5年分、およそ40万件を読み込ませ、学習させました。

そして今、人間に代わって診断書など給付金の申請データを分析し、査定する業務を行っています。

その結果、部署で行う業務の3割をAIが担うまでになりました。

八田 高保険金部長は次のようにおっしゃっています。

「コンピューターが優秀な「人間」として働いている。」

「単調な作業、単調な判断業務が徐々にAIに置き換わっていくのかなと思います。」

 

更に今、中小企業の現場でもAIの活用が広がっています。

シタラ興産(埼玉県深谷)では産業廃棄物の中間処理を行っています。

昨年2月から本格稼働しているのがAIとつながった自動選別ロボットです。

フィンランドの企業が開発したものです。

ロボットがカメラとセンサーで廃材のかたち、大きさ、色などの情報を読み込みます。

肝となるのがロボットとつながったAIです。

読み込んだ廃材を木材、コンクリート、そしてプラスチックなどに分類します。

そして、アームが自動で動き、廃材が振り分けられていきます。

この作業はこれまではかなりの人手をかけて行ってきました。

一つ一つ同じものがない廃材の中から素材を瞬時に認識して振り分けなければならず、機械化は不可能と見られていました。

会社では3ヵ月にわたり、様々な素材の廃材をベルトコンベヤーに流して観察させ、AI自らがそれぞれの素材の特徴をつかめるように学習させました。

学習の結果、認識や分析の精度はみるみる上昇し、ミスは大幅に少なくなりました。

シタラ興産・技術部リーダーの松崎 大地さんは次のようにおっしゃっています。

「産業廃棄物は、流れている種類が一つとして同じものはないので、(従来の機械ではなく)AIじゃないと出来ないのかなと思います。」

 

人手不足が深刻にある中、AIの導入により当初18人と考えていた作業員の数は2人に減らすことが出来ました。

シタラ興産の設楽 竜也社長は次のようにおっしゃっています。

「人と機械とAIが融合して一つのものをやり遂げられるのか、AI化導入はこれからの世の中で必須じゃないかなと。」

 

番組ゲストでAI研究のスペシャリスト、東京大学大学院特任准教授の松尾 豊さんは次のようにおっしゃっています。

「(なぜAIの活用が急激に広がってきたのかについて、)1990年代からコンピューターの能力がだんだん上がってきて、同時に企業の中、あるいはインターネット上でのデータが増えてきたということが背景にあります。」

「同時に2012年にディープラーニング(深層学習)と呼ばれる、特に画像認識で非常に力を発揮する技術が出てきた。」

「で、日本の中では少子高齢化、人手不足ということでニーズも大きいですから、ここ数年急激にAIという技術が注目されて来たということになります。」

「(技術の進歩と需要がマッチしたことなのかという問いに対して、)そうですね。」

 

こうしたAIの広がりによって、実際に私たちの仕事がどうなるのかについて、“AIなどの技術の発達により2030年までに国内の雇用が240万人減少する”と言われています。(三菱総合研究所 試算)

そしてアナウンサーの仕事でもAIの活用が始まっています。

NHKの放送技術研究所が開発した、AIを活用したアイスホッケーの実況中継では、いつ誰が得点したかなど配信されるデータを瞬時に解析して音声を自動生成して実況しています。

今年2月開催の平壌オリンピックでこうした実況による動画がインターネットで配信する予定になっていました。

こうした状況について、松尾さんは次のようにおっしゃっています。

「(アナウンサーの仕事はなくなってしまうのかという問いに対して、)今のAIですと、人の気持ちを汲み取って読むとか、そういったことは出来ませんから、そこは人の重要な仕事だと思います。」

「そういう仕事は例えて言うと、自動車が出来て、これから自動車産業が広がって来るという時に、人には歩く素晴らしさがあるっていうのを一生懸命言っているような気がするんですね。」

「やっぱり自動車は一大産業になるということを受け止めて、その中でグローバルな戦いに勝っていかないといけないと。」

「勿論、人の良さはあるわけですけども、AIをいかに活用していくかも同時に非常に重要ではないかと思います。」

「(私たちは今後AIとどう向き合っていけばいいのかという問いに対して、)先ほどの廃材をうまく選別するようなロボットは非常に良い例だったと思いますけども、ああいった活用が進み、人がやっていた仕事が楽になる一方で、それをサポートする人も必要なわけですね。」

「この人と機械、ロボット、AIというのがうまく連携しながら仕事をしていくというふうになっていくんじゃないかと思います。」

「あと、先ほどVTRの中にもありましたけども、アメリカ、あるいはフィンランドの技術が紹介されていましたけども、同時に日本企業にも頑張って欲しいなという想いもあります。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

最近よく人の仕事はAIによって取って代わられるという悲観的な見方が見受けられますが、確かに単純作業など比較的簡単な判断のもとに進められる作業においては、ロボットやAIに取って代わられていくと思われます。

しかし、完全にロボットやAIに任せられない業務については、当分これまで通り人の手が必要なのです。

ですから、これまで人が行ってきた作業が一挙にロボットやAIに取って代わられることはありません。

しかし、ロボットやAIの技術が進化していくとともに、やがてほとんどの作業は人の手を離れていくという大きな流れを止めることは出来ません。

 

そうした果てに残される私たち人類のやるべきことは何でしょうか。

それは何をすべきかを最終判断すること、あるいは文化や芸術など創造的な活動だと思います。

言葉を変えれば、いよいよ人類は自由と創造性に満ちた“自己実現”を実現しやすい時代を迎えられるということなのです。

そうした時代を迎えるにあたって、これから増々重要になってくるのは子どもの頃からの創造力の育成を重視した教育です。

そして、創造性の世界は無限で尽きることはないのです。


 
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