2018年04月13日
アイデアよもやま話 No.3989 ”働き方改革”での残業の問題!

前回は1月22日(月)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)を通して、3%の賃上げの妥当性に焦点を当ててお伝えしましたが、今回は”働き方改革”での残業に係わる問題に焦点を当ててご紹介します。

 

今年の春闘は昨年に引き続いて“働き方改革”も非常に重要なテーマになりますが、注目したいのは“残業代”の問題です。

確かに“働き方改革”で長時間労働の是正については取り組みが進んできましたが、その分残業が減って、受け取る時間外手当、手取りの収入が少なくなってしまったという声もあります。

経団連は、時間外手当が減少すると個人消費に悪影響を与える恐れがあるということで、実際に対策に乗り出す企業も出て来ています。

 

広島や岡山で57店舗を展開しているスーパーのFRESTAで、昨年秋から始めたのが残業が少ない社員にボーナスを上乗せするという制度です。

ほとんど残業しない場合は20万円がボーナスに加算されます。

この結果、社員の労働時間は以前に比べて最大で3割削減されたといいます。

残業を減らした人にボーナスを上乗せすることで“やる気”を高めて、生産性向上につなげようというわけです。

 

なお、多くの企業で賃上げがここ数年実施されてきましたが、年金や医療に充てる社会保険料の負担も増えており、実際の手取り収入は思うように増えていないと状況があります。

ですから、“働き方改革”によって生産性をアップして、なおかつ収入が上がったと思えるような賃上げが出来るのかどうか、それが今年の春闘で問われると思います。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

特に日本企業の場合、能率よく自分の与えられた業務を就業時間内にこなしても、周りの人たちが残業していると何となく帰りづらい雰囲気があるようです。

また、与えられた業務を素早くこなすと、更に他の業務を与えられるという傾向もあるようです。

こうした状況から、どうせ早く自分の担当分を早く終わらせても帰宅出来ないのならばという想いからダラダラとスローペースで仕事に取り組みがちになるのは否めません。

一方、能力的にこなしきれない人の場合は、どうしても業務を完了するまでの時間がかかり、残業が多くなってしまう傾向があります。

ですから、そもそも個々の従業員の能力やスキルレベルに応じた業務の割り当てが必要なのです。

そのためには、客観的な観点での個々の従業員の定量的な能力やスキルレベルを把握することがとても重要になります。

こうした精度が向上するにつれて、個々の従業員に対するより適切な業務の割り当てが出来るようになるのです。

同時にAIやロボット、IoTなどITの活用によって生産性の向上が図られ、その分従業員の労働時間を削減出来るようになり、その結果として残業時間も削減出来ます。

 

さて、アイデアよもやま話 No.3963 北欧の豊かな暮らしを参考にすべき「働き方改革」 その2 参考にすべきデンマークのライフスタイル”ヒュッゲ(Hygge)“!で、人は前向きな気持ちの方が生産性が2割アップするという研究データもあり、労働時間が減っても生産性が上がるとお伝えしました。

ですから、働く意義や自社の活動がどのように、あるいはどれだけ社会に貢献出来るかを従業員に理解してもらえるか、あるいは誰にでも自由に意見が言えるような開かれた企業風土の度合いによって、従業員はやりがいを感じて前向きに与えられた業務に取り組むことが出来るようになります。

こうしたことからも全体の生産性は向上するのです。

 

一方、中には残業代に関係なく、与えられた業務が自分の趣味のようになるほど大好きで残業が少しも苦にならない従業員がいたり、あるいは家庭の事情などで少しでも残業代を稼ぎたいという従業員もいると思います。

逆に、幼児の面倒を看るために、正規の就業時間以下の労働時間を希望される従業員もいると思います。

ですから、個々の従業員の立場を尊重した業務の割り当てこそが理想的な労働につながると思うのです。

 

ということで、残業に関する問題に真正面から取り組むのではなく、こうしたトータルな枠組みの中で、個々の企業による“働き方改革”は勧められるべきだと思うのです。


 
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