1月7日(日)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で急速に進む自動翻訳技術について取り上げていたのでご紹介します。
新しい年を迎え、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまであと2年に迫りました。
東京を訪れる外国人観光客が更に増えると期待されていますが、立ちはだかるのは言葉の壁です。
これを打ち破る自動翻訳の技術が今急速に進んでいます。
今年はそうした自動翻訳の活用が私たちの生活の中で一気に進む年になるそうです。
自動翻訳の技術は今世界で急速に発達しています。
グーグルが昨年世界のIT関係者に向けて発表したのはスマホのカメラを使う新たな技術です。
日本語で書かれたメニューにこのカメラをかざすだけで英語に翻訳してくれます。
一方、日本でも非常に精度の高い自動翻訳の技術が開発されています。
情報通信研究機構(京都府精華町)は日本版自動翻訳アプリを開発しました。
このアプリをスマホで立ち上げて、日本語で話しかけると少し難しい内容でもすぐに正確に英語に翻訳して音声で伝えてくれます。
私たちがスマホのアプリで入力した言葉は全てこちらの施設のサーバーで翻訳されます。
翻訳の精度を高めるために今取り組んでいるのが実際の街中の会話で使われる単語や例文の蓄積です。
例えば「豚肉の味噌焼き」、「白子のソテー」などは対応する英語などと紐づけて登録します。
来年、2019年の秋までに1億例の登録を目標にしています。
情報通信研究機構の隅田
英一郎フェローは次のようにおっしゃっています。
「2020年の東京オリンピック・パラリンピックというゴールがあるので、そこに向けて精度を上げていくと。」
この翻訳技術の活用が今沖縄で実験的に始まっています。
通信大手のKDDIなどが昨年12月から沖縄のタクシー50台に自動翻訳の端末を導入しました。
更に、沖縄での実験で取り組んでいるのが「方言」や「地域独特の言葉」への対応です。
そのカギを握るのがGPSの活用です。
その仕組みですが、基本となるのは情報通信研究機構がつくった全国共通の辞書です。
そこに企業独自に各地の方言などを集めて作った、言わば地域の辞書を追加します。
そして、GPSで今沖縄にいることを把握し、全国共通の辞書と沖縄辞書とを組み合わせながら、正確な翻訳につなげるのです。
KDDI技術統括本部の宇佐見
正士理事は次のようにおっしゃっています。
「コミュニケーションが豊かになることで、(日本観光の)リピーターになっていただいて、どんどん訪日外国人を増す、そういった効果につなげていければと思っております。」
なお、情報通信研究機構が開発した翻訳アプリは無料で誰でも使うことが出来ます。
アプリの名前は「ボイストラ(VoiceTra)」(音声翻訳)です。
スマホのアプリストアで「ボイストラ」で検索すれば誰でも入手出来ます。
外国人の方に道を聞かれたりした時にも活用出来そうです。
以上、番組の内容をご紹介してきました
確かに東京オリンピック・パラリンピックに向けて、訪日外国人は急増し、そうした方々にとって自動翻訳アプリはとても役立つと思います。
更に、特に観光で訪れる海外の方々に日本での滞在をより一層満喫していただくうえで、各地の方言なども翻訳出来れば、とても感謝されると思います。
しかし、今回ご紹介したような、全国共通の辞書と各企業による方言の辞書との組み合わせによる翻訳では、複数の投資になり全体としての効率がよくありません。
しかも、特に若い世代の間では次々に新しい言葉が誕生してきています。
また、誰にとっても海外旅行先での“言葉の壁”は大なり小なり存在します。
更に、同じ国の人の間でも方言という“言葉の壁”があります。
そこで閃いたのは、世界各国の方言も含めた「言葉」のウィキペディア版「翻訳辞書」の作成です。
そして翻訳アプリがこの辞書を活用すれば、世界中で二重、三重の手間をかけなくても世界的に“言葉の壁”から私たちは解放されるのです。
ということで、是非どこかの企業や団体でこのウィキペディア版「翻訳辞書」の作成システムにチャレンジしていただきたいと思います。
とりあえず、東京オリンピック・パラリンピックの時期に合わせて、情報通信研究機構の協力を得てある程度の言葉がカバーされれば、世界規模での宣伝になると期待出来ます。