昨年12月21日(木)放送の「アイデアの方程式」(テレビ東京)でスタッドレスタイヤについて取り上げていたのでご紹介します。
氷を指でつまむと氷の表面が体温で次第に溶け出し、自動車のタイヤが雪道で滑るのもこちらと同じ原理です。
どうやってタイヤを滑らないようにするか、今回はスタッドレスタイヤの方程式です。
1980年代、スパイクタイヤに代わるアスファルトを削らないタイヤとして開発されたスタッドレスタイヤですが、雪道で滑る原因は雪や氷が摩擦熱で溶け、水の膜が路面とタイヤの間に入り込むため、路面をつかんで止めるのではなく、水の膜を吸い取れるか、その時意外なアイデアが閃きました。
液体を吸い上げるものと言えば万年筆だと思い付いたのです。
毛細管現象の原理でインクを吸い上げる万年筆、そのペン先の構造パターンをタイヤの表面に無数に刻むことで水の吸い上げに成功したのです。
更なるグリップ性能を求める開発チームは発泡ゴムに着目しました。
発泡ゴムは、スポンジの原理で気泡の窪みが路面の水を吸い込み、タイヤと路面との密着性を高めます。
こうして苦節7年の末に誕生したスタッドレスタイヤ、その陰にあったのは万年筆の閃きでした。
継続と飽くなき探求心が新しい突破口を生み出す、これぞアイデアの醍醐味です。
ということで、今回のアイデア方程式はタイヤ×万年筆=スタッドレスタイヤでした。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
今や冬用タイヤと言えばスタッドレスタイヤが定番ですが、このタイヤの溝が万年筆のペン先の構造パターンからの応用であるとは意外でした。
思わず、自分のクルマのスタッドレスタイヤの溝をじっくり眺めてしまいました。
今回のアイデアは、更に発泡ゴムの原理も取り入れているのです。
ですから、今回ご紹介したアイデアのように、アイデアは必ずしも他の何か一つとの組み合わせではなく、既存の複数の要素との組み合わせである場合もあるのです。
さて、現在は夏用タイヤと冬用タイヤとを季節に応じて取り換えていますが、冬用タイヤを購入する際の出費はバカになりません。
また、タイヤ交換の際に、交換してもらうお店まで交換するタイヤを運ぶ際のクルマへの詰め込み作業も年齢とともにきつくなってきます。
そこで、ユーザーとしては、是非、季節に関係なく使用可能のオールシーズン用タイヤをタイヤメーカーに開発していただきたいと思います。