今、ご存知のように安倍政権による「働き方改革」が進められております。
そうした中、2月19日(月)放送の「未来世紀ジパング」(テレビ東京)で「働き方改革」を進めるうえで参考にすべき北欧の豊かな暮らしについて取り上げていたので7回にわたってご紹介します。
5回目は半数以上は不満に感じている「働き方改革」についてです。
安倍政権の進める「働き方改革」を導入した企業に勤めるサラリーマンへのアンケート(リクルートワークス研究所「働き方改革に関する調査」より)では以下のような意外な結果になりました。
満足+やや満足 43.7%
不満+やや不満 56.3%
不満の方が半数以上を占めていますが、その理由のトップ3は以下の通りです。
1.(仕事)量は変わらないので、仕事が終わらない
2.残業代が減った
3.一律にルールで縛ること自体が納得出来ない
この結果について、山口名誉教授は次のように補足しております。
1.について
仕事の量が変わっていないのに「早く帰れ」と言われると逆にストレスになる
2.について
日本は残業代が生活費の一部になっているので、これが減ると予定していた収入が落ちてしまう
一方、企業は「働き方改革」を進めると「コストダウン」出来るとなってしまう可能性もある
3.について
人それぞれ働くことの意味は違う
若くして仕事を始めた人たちはもっと早く仕事を覚えたいとか、もっと追求してみたいとか、どうしても遅くまで働いても、それは充実した時間だと思うんですけど、どうも今は上からの改革と称して、一定のルールでみんなが動いていくっていう、そこに対する違和感があるのではないか
以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。
今回ご紹介した「働き方改革」における調査結果では不満が半数以上を占めており、その1番の理由は仕事量は変わらないので、仕事が終わらないことだといいます。
一方、1回目にご紹介したように国内で“フラリーマン”が増殖中といいます。
要するに、仕事が終わらないのに早く帰れと言われ、一方では残業がなくなって早く会社を出ても何をしていいか分からない、というような日本のサラリーマンを取り巻くこの2つの側面こそ、日本人のワークライフバランス、あるいは“ヒュッゲ”な暮らしを考えるうえでの課題だと思うのです。
具体的には以下の3つにまとめられます。
1.業務の見直し、および生産性向上の取り組み
2.従業員に対する適正な仕事量の配分
3.プライベートライフの充実
上記の3つの課題が解決出来れば、「働き方改革」に対する不満は解消出来るはずです。
そして、「働き方改革」の最大の狙いは個人の暮らしの豊かさのはずです。
働く側からすれば、そもそも自分はどのような暮らしをしたいのかがそれぞれ異なります。
仕事を趣味のように、あるいは何らかの事情でより多くの収入を必要として働くことを重視する人は残業をしてでも働きたいと思います。
一方、趣味や子育て、あるいは家族の介護などでプライベートを重視する人は残業はおろか就業時間より早めの帰宅を望みます。
こうした人それぞれの状況に合わせた仕事のやり方が出来るようなシステムの構築こそが“ヒュッゲ”な暮らしにつながると思うのです。
一方で、こうしたシステムの要件には当然のことながら会社が存続・成長していくうえでの利益の確保も含まれます。
この要件を満たすことなくして、“ヒュッゲ”な暮らしはあり得ません。
そこで、全社をあげての生産性向上、および個々の従業員の要望に応じたる適正な仕事量の配分が求められるのです。
ですから、まず全社をあげて意見を出して議論し、どのような会社を目指すのか、その結果従業員の暮らしはどうなるのかを明確にすることから会社独自の「働き方改革」を進めることが重要だと思うのです。
国主導の「働き方改革」に頼っているだけでは「働き方改革」の成功を期待することは出来ないのです。
国主導の「働き方改革」はあくまでも労働時間や賃金など最低限守るべき規制やその規制を破った時の罰則など、働き方の共通の枠組みの規定に留まるのです。
ですから、具体的な「働き方改革」は個々の企業で考えて進めるしかないのです。
そこで、救いなのは2回目でご紹介したように、人は前向きな気持ちの方が生産性が2割アップするという研究データがあるということです。
先ほどもお伝えしたように、全社を挙げて独自の「働き方改革」に取り組み、その結果具体的に従業員にどのようなメリットがもたらされるかを実感出来れば、自ずと従業員は仕事に前向きになるはずです。
その結果だけでも生産性は2割アップが期待出来るのです。
更にAIやロボットの活用による業務プロセスの見直しをすれば更に何割かアップするはずです。
ということで、“ヒュッゲ”な暮らしと企業の収益性向上の両立を目指すうえで、日本の企業の“伸びしろ”はとても大きいと思うのです。