2018年03月18日
No.3966 ちょっと一休み その638 『トランプ大統領の本質は”アメリカファースト”ではなく”トランプファースト”!?』

3月5日(月)放送の「時論公論」(NHK総合テレビ)は「アメリカの保護主義措置と自由貿易の危機」について取り上げていました。

なお、今回の論者は短凖 章博解説委員でした。

 

番組の中で、特に気になったのは以下の青字の箇所です。

トランプ大統領は、中国で過剰生産された鉄鋼製品がアメリカに不当に安く輸入されているのは、安全保障上の脅威だとして、鉄鋼製品に25%,アルミ製品に10%の関税を課すと表明しました。

なぜ安全保障が理由になるかというと、海外からの安い製品の輸入で鉄鋼メーカーの存立が脅かされている、そして鉄鋼製品は戦闘機や軍艦の製造に使われており、こうした兵器の原材料を自国で調達出来なくなるのは問題だという理屈です。

 

今回の措置は、50年あまり前につくられたアメリカ通商拡大法232条にもとづいていますが、歴代政権は「外部から検証が難しい安全保障を理由に輸入を制限すれば、相手国も安全保障への脅威を理由に対抗措置をとる可能性がある」として、発動に慎重な姿勢をとってきました。

しかしトランプ大統領は、この秋の議会の中間選挙を控えて、中西部の鉄鋼産業などの労働者を海外製品から守る政策を打ち出すことで、与党・共和党への支持を固めたいという思惑があるものと見られます。

 

トランプ大統領は、秋の中間選挙だけを意識した極めて短期的な視点で、重大な決断をくだそうとしているようです。

今回の措置の主なターゲットは中国ですが、実際には日本など、鉄やアルミニウムをアメリカに輸出する全ての国が対象となる見通しです。

実はアメリカが輸入する鉄鋼製品に占める中国産の割合は、数量ベースで全体の2%程度に過ぎません。

しかしアメリカ政府は、鉄鋼メーカーなどの工場の稼働率を80%まで引き上げることを目指していて、この数字を達成するには、海外からの輸入の3分の1を止める必要があるからだといいます。

 

アメリカの一方的な措置に、各国が報復関税で対抗すれば、世界の貿易は縮小し、各国の景気を悪化させることになります。

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

トランプ大統領を大衆迎合主義、ポピュリズムの象徴として見る見方もあるようです。

しかし、番組を通して感じるのは、ポピュリズムに沿った“アメリカファースト(アメリカ第一主義)”と言いながら、実はアメリカ大統領として居続けることを狙いとした“トランプファースト”ではないかという疑念です。

 

政治家は誰しも自身の掲げる政策を実行に移そうと、大統領や総理大臣という国の最高指導者を目指していると思います。

しかし、トランプ大統領は、鉄鋼メーカーなどの工場の稼働率を80%まで引き上げることを目指しており、そのために海外からの輸入の3分の1を止める必要があるからという理由で、中国からの安い輸入品を言い訳に他国に対しても同様に高い関税をかけるというのです。

こうした方策は、自国の産業保護は表向きの狙いであり、真の狙いは中間選挙対策なのです。

このままトランプ大統領が突き進んでいけば、世界的な貿易戦争が勃発しかねません。

もし、実際に勃発すれば、世界的に貿易が縮小し、世界経済は混乱し、巡り巡ってアメリカ国民の暮らしにその影響が跳ね返ってきます。

 

ということで、“トランプファースト”はいずれ破たんしてしまうことは明らかです。

特に世界をリードすべき世界最大の大国、アメリカの大統領には、“アメリカファースト”ではなく“世界各国との共存共栄”を目指すことが求められるのです。

アメリカのような大国が自国ファーストでは、世界は弱肉強食状態になってしまいます。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています