2018年03月16日
アイデアよもやま話 No.3965 北欧の豊かな暮らしを参考にすべき「働き方改革」 その4 日本でも始まっている“ヒュッゲ”を取り込む動き!

今、ご存知のように安倍政権による「働き方改革」が進められております。

そうした中、2月19日(月)放送の「未来世紀ジパング」(テレビ東京)で「働き方改革」を進めるうえで参考にすべき北欧の豊かな暮らしについて取り上げていたので7回にわたってご紹介します。

4回目は日本でも始まっている“ヒュッゲ”を取り込む動きについてです。

 

前回まで、国内では“フラリーマン”が増殖していること、そうした中で参考にすべきデンマークのライフスタイル”ヒュッゲ(Hygge)“、そして長すぎる日本の労働時間、でもその分豊かでない暮らしについてお伝えしてきました。

 

こうした中で、デンマークの“ヒュッゲ”を取り込もうという動きが日本でも始まっていました。

流行の兆しを見せる“ヒュッゲ”に注目する企業が日本でもあります。

まずユニクロ(東京・有明)では“ヒュッゲ”を意識したデザインの服に着目しています。

表にはそれほど出ていないものの、ユニクロは2017年の秋冬コレクションから“ヒュッゲ”をテーマにした商品開発を行っています。

 

“ヒュッゲ”を意識したビジネス展開は山中湖(山梨県)でも見られます。

山中湖畔にある、東急シェアリングが手掛ける会員制宿泊施設は暖炉のあるデンマークの家のような作りになっています。

暖かい火の温もりが忙しい日常を忘れさせてくれます。

確かにこの時間と空間は“ヒュッゲ”です。

東急シェアリングは“ヒュッゲ”体験が出来る施設を今後更に増やそうとしています。

 

一方、この“ヒュッゲ”は主婦たちの間で意外な広がりを見せています。

あるお宅を訪問すると、そこではママ友が集まってホームパーティです。

別に誕生会でもクリスマスパーティでもない、2ヵ月に1回定期的にこうした会を開いているといいます。

飾り付けもされており、気分も盛り上がります。

撮った写真はSNS、インスタグラムに投稿されます。

こうした若い夫婦がただ今急増中だといいます。

流行っている理由の一つが1人600円程度と、安く手軽に“ヒュッゲ”な時間を過ごせることです。

 

日本のホームパーティ・ブームを仕掛けたというのがデンマークに本社を置く雑貨店、フライングタイガー コペンハーゲンです。

今から6年前の2012年に日本初上陸、開店前に長蛇の列が出来るなど、大ブームを巻き起こしました。

そんなフライングタイガーが昨年から“ヒュッゲ”を全面的に打ち出し、再び大きな脚光を浴びるようになったのです。

フライングタイガー コペンハーゲンの山本 浩丈さんは次のようにおっしゃっています。

「“ヒュッゲ”といっても中々ストレートに伝えられないので、(“ヒュッゲ”は)人と人との温もりということでいれば、一番解釈し易いのはホームパーティかなと。」

 

“ヒュッゲ”をテーマにしたホームパーティコーナーを新設、200種類ものパーティグッズを取り揃えました。

一番人気はカラフルなペーパーナプキン、これだけで20種類もあります。

どれも20枚で108円(税込み)です。

6人分のお皿や紙コップの入ったバースディパーティセットは648円(税込み)です。

この値頃感が受け、パーティグッズの売り上げは前年比で30%もアップしました。

 

更に“ヒュッゲ”を日常生活に取り入れている人たちもいます。

北欧家具のお店、アルト(群馬県高崎市)では店内で“ヒュッゲ”教室が行われています。

参加しているのは近所の働く女性や専業主婦たちです。

ある日の教室では、花や植物の壁飾り、「スワッグ」づくりです。

色とりどりの植物を自分で選び、壁掛け用の紐に付けていきます。

デンマークではこの「スワッグ」を家に飾ります。

“ヒュッゲ”な生活に必要な癒しのアイテムなのです。

この教室を主宰しているのは芳子 ビューエルさんで、北欧家具の輸入を手掛けてきましたが、デンマークで“ヒュッゲ”に魅了され、日本で普及活動を始めました。

ビューエルさんは次のようにおっしゃっています。

「暖かさ、潤いがあるのが私は“ヒュッゲ”だと思うんですよ。」

 

家族や友達との時間をより豊かに、大切に、日本でも徐々に“ヒュッゲ”が浸透しています。

こうした状況について、立教大学の山口 義行名誉教授は次のようにおっしゃっています。

「今のところやはり女性がこういう流行って先に進んでいきますよね。」

「その時のポイントはあまりお金をかけないで楽しむということ。」

「男がやるとやたらカネかけたがるんですよね。」

「そこにカネかけないから、そこに工夫とかコミュニケーションとか、参加するということが出てきますからね。」

 

また、在日デンマーク商工会議所の専務理事、レオン・エスベン・太田さんは次のようにおっしゃっています。

「そういう意味では、長く居心地よくいられるようなところをつくって、前向きに進めるような場所、環境をつくることが非常に重要ということで、やっぱり家のことを非常に大事にします。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

デンマーク発の心地よい“ヒュッゲ”な暮らしを私たち日本人の暮らしの中に取り入れることはとても良いことだと思います。

そして、今回ご紹介したように、ファッション、宿泊施設、ホームパーティ、家具や室内の飾り付けといった様々な暮らしの中に“ヒュッゲ”を取り入れようとする動きが始まっているといいます。

 

そういう意味で、日本人の“働き過ぎ”を是正してワークライフバランスを高めていこうという狙いを外さなければ、「働き方改革」はプライベートな時間を重視する“ヒュッゲ”な暮らしを志向するうえで理に適っていると思います。


 
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