2018年03月12日
アイデアよもやま話 No.3961 世界一集中出来るシェアオフィス!

昨年11月30日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で世界一集中出来るシェアオフィスについて取り上げていたのでご紹介します。

 

マイクロソフト創業者のビル・ゲイツさん、アップル創業者のスティーブ・ジョブズさん、この二人に共通しているのは集中する時間をつくるのを非常に重要視していたことです。

日本では今労働時間の削減が「働き方改革」の柱になっていますが、労働時間が短くなってくると、その分オフィスでいかに集中して仕事をするのかが大切になってきます。

そこで新たなビジネスも生まれてきています。

 

普通のオフィスビル(東京都千代田区)の一画に新しいタイプのシェアオフィス「Think Lab」があります。

このビルについて、JINS MEMEグループ マネージャーの井上 一鷹さんは次のようにおっしゃっています。

「“世界で一番集中出来る空間”をつくろうと思って、禅寺的な様子をどう取り込むかっていうのがコンセプトで・・・」

 

実際にこの空間に番組キャスターが入ってみると、照明をグッと落とした長い黒い石が敷き詰められた廊下になっており、自分の足音がよく耳に入ってきます。

その先は窓が広がっていて一気に開放的な空間になっています。

こうした空間づくりについて、井上さんは次のようにおっしゃっています。

「(暗い廊下を歩くことで)ストレスをグーッとかけてから、ぱっとリラックスをすると、脳の中で集中し易いルーティーンが出来るという研究があって・・・」

 

実はこのシェアオフィスを手掛けたのはメガネ販売大手のJINS(ジンズ)です。

JINSは2年前に集中力が計測出来るメガネ「MEME(ミーム)」を開発、社員が実際に職場で計測してみたところ、実はあまり集中出来ていないことが分かり、世界一集中出来る空間を作る計画が始まったといいます。

作業スペースは他人の目線が気にならないように席は全て窓向きになっています。

椅子にもこだわりがあります。

井上さんは次のようにおっしゃっています。

「座るだけで勝手に腰が立って姿勢が絶対に良くなってしまうような・・・」

「視線が水平よりも下に向くと、人はロジカル(論理的)になり易いという研究結果があって、何かロジカルに物事を考えようと思うと、この椅子のかたちが我々の提案になります。」

 

一方、座ると目線が水平よりも上になる椅子では発想力を豊かにする効果があるといい、クリエーティブな仕事に向いています。

井上さんは次のようにおっしゃっています。

「今向き合っている仕事やミッションに対して、どっちの働き方、どっちの脳みその使い方がいいかによって席を選ぶという・・・」

 

「働き方改革」で労働時間の削減が求められる中、JINSは“集中力を高め、生産性を上げる”というニーズが今後も拡大すると捉えています。

また、このプロジェクトはこうした考えに賛同する18社が協力してします。

レコード会社、ビクターエンタテインメントが提供したのは“空間の音”です。

ビクターエンタテインメントの榎本 誠也さんは次のようにおっしゃっています。

「川の音は基本的に水ですから足元(のあたりのスピーカー)から(音が聞こえるようにしています)。」

 

天井からは鳥のさえずりが聞こえます。

オフィスでも自然界に近い音を再現することで集中力を上げる効果があるといいます。

利用料は月額7万円(1回利用7000円)と強気です。

JINSの田中 仁社長は次のようにおっしゃっています。

「海外でもこういう場所が欲しいという声はあるんですね。」

「(シェアアオフィス以外にもオフィスのコーディネーター的な事業もある得るのではという問いに対して、)そういった要望もいただいているんです。」

「「MEME」から生まれた事業ですけども、発展性のある事業になっていくような気がしますね。」

 

一方、オフィスでの生産性を高める提案は、アウトドアメーカー、スノウピークが展開するオフィス(横浜市中区)でもなされています。

室内には、たき火台にチェア、そしてテントまで置かれています。

その名もズバリ「キャンピングオフィス」です。

 

昨年11月30日、ソフトバンクや富士ゼロックスなど8つの企業の担当者が見学に訪れていました。

実際にテントの中で会議を行うと、どんな効果が現れるのか体験です。

議題は「働き方改革」、自分の会社が抱える課題を出し合っていきます。

出会って1時間もしないうちに参加者どうしは議論を深めていきました。

非日常の空間を演出することで、五感を刺激し、自由な発想やコミュニケーションを促す効果があるといいます。

参加者からは気分的にリラックスした雰囲気で真面目な話を出来た、あるいは打ち解けるまでが早かったという感想がありました。

 

昨年から始めたこの事業、「働き方改革」が注目を集める中、引き合いは多く、これまでおよそ60社がキャンピングオフィスを導入しています。

スノーピークビジネスソリューションズの村瀬 亮社長は次のようにおっしゃっています。

「オフィスの中にキャンプのしつらえをするとか、アウトドアや自然の力を企業の人材問題の解決に使うという新しいマーケットはチャレンジなんですけど、マーケットは逆に無限にあるんじゃないかなと。」

 

番組の最後に、番組サブキャスターの大浜 平太郎さんは次のようにおっしゃっています。

「JINSのオフィスはとっても気持ちが良かったんですけど、ここ数年理想的なオフィスはすごく日頃からコミュニケーションが取り易くて解放的なオフィスだと言われてきたんですけど、最近日頃じっくりモノを考えていない、アイデアを持っていない人がいくら集まってもあまりいいものにならないね、ってことが分かってきたそうなんですよ。」

「そうすると、やっぱり会社としても集中出来る環境をどうやって作るかっていうのが大事になってきていて、集中したアイデアを持った人がまた集まってきて話をすると、この流れがどうも重要らしいっていうことになっているらしいです。」

 

また、番組キャスターの大江 麻理子さんは次のようにおっしゃっています。

「やはり効率、生産性を上げるというのも重要ですし、やはり快適に働けるかどうかも重要ですよね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

これまで何度となくお伝えしてきたように、今後ともAI(人工知能)やロボットの進化とともに、これまで人手を要していた仕事はどんどんAIやロボットに置き換わっていくと見込まれています。

そうした中、従業員の役割、あるいは存在価値は“何をするか”から“何をすべきか”という、AIやロボットを活用することによってどんなビジネスを展開していくかというような考える業務にどんどんシフトしていくと思われます。

そうした中、従業員が働くうえで大きく以下の3つの要件を満たすことが重要になってくると思われます。

1.業務に取り組むうえでの“やる気”や使命感を持つこと

2.必要とする情報を素早く入手出来ること

3.集中してものを考えることが出来ること

 

ということで、今回ご紹介した“世界一集中出来るシェアオフィス”は3番目の要件を満たす対応策ですが、他の2つも満たすことによって、会社全体として的確な目標を掲げ、その目標を効率よく達成出来る可能性を高めることが出来ると思うのです。


 
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