2018年03月06日
アイデアよもやま話 No.3956 人間の脳とAIがつながったら・・・ その2 「知能」とは何か!

昨年12月29日(金)放送の「人間てナンだ? 超AI入門 特別編」(NHK総合テレビ)で人間の脳とAI(人工知能)がつながったらという衝撃的な内容について取り上げていたので5回にわたってご紹介します。

2回目は「知能」とは何かについてです。 

 

なお、番組の出演者は、東京大学大学院 特任准教授で進行役の松尾 豊さん、サイエンスライターでインタビューアーの吉成 真由美さん、そしてインタビューを受けるのはシンギュラリティという言葉の生みの親で発明家であり世界のAI研究の最前線を走る未来学者、レイ・カーツワイルさん、世界的な言語哲学者、ノーム・チョムスキーさん、そして理論物理学者、リーマン・ダイソンでした。

 

未来学者のレイ・カーツワイルさんは吉成 真由美さんによるインタビューの中で次のようにおっしゃっています。

「(脳の研究はまだ初期段階にあるのか、そして人間の脳を真似て作り直すにはもっと知識が必要なのでは、そうでないとゴールが分からないままやみくもに突き進むことになるのではという問いに対して、)必ずしも同意しないね。」

「確かに分からないことも多いが、脳の基本的な機能についてはかなり分かってきているよ。」

「50年前、私が研究を始めた頃、その頃の脳科学は未熟だった。」

「当時、人々は脳は領域ごとに異なる構造をしていると考えていた。」

「だが、ある人が脳を解剖してみたら思考を担う領域の構造は一様に見えた。」

「まあ当時はそんなことぐらいしか分かってなかったんだ。」

「見方の違いでもあるね。」

「森に入って木を一本一本見ると枝ぶりや葉の付き方、樹皮のパターン、限りなく複雑だと思ってしまうが、“木を見て森を見ず”だね。」

「でも森は木の集合だ。」

「木の成長にはパターンがある。」

「確かに木は一本一本違うが見方によっては同じでもある。」

「つまり脳についても既に十分な情報があるとも言えるよ。」

「(そうかも知れないが、脳科学者や心理学者はまだ「知能とは何か」定義出来ていないので、あなたは『知能』」をどのように定義しているのか、あるいは脳を分子レベルまで真似て作ることが出来たとして「知能」というものが自然に立ち現れるとあなたは考えているのか、「感情」、「官能性」、「愛着」、「悲哀」、そういったものも自然に立ち現れると考えているのかという問いに対して、)私は「知能」を「限られた資源を用いて問題を解決する能力」だと定義する。」

「人間にとっての限られた資源、その一つは「時間」だ。」

「最適なチェスの指し手を100万年後に見つけても、それは知能とは言えないよね。」

「短時間で問題を解決出来る能力こそ「知能」と言えるでしょう。」

「既に存在するAIは碁を打つことも出来ます。」

「碁に関する全てのデータを入力しても強くならなかったが、「自分で自分と戦わせてみたら?」と自己学習を試したところ、どんどん腕を上げ、最終的には碁の名人を破った。」

「他にも画像を認識したり、クルマの運転をしたり。」

「まだ初期段階だけど、人間にしか出来なかったことを次々にこなしている。」

「タスクの幅がどんどん広がっているんだ。」

「クルマの運転だってかなり広い予測能力が必要なんだよ。」

「まだ事故があったりもするが、人間よりましだろう。」

 

以上、番組の内容の一部をご紹介してきました。

 

未来学者のレイ・カーツワイルさんは、「知能」とは限られた資源を用いて問題を解決する能力と定義されていますが、ここで思い出されるのは人間の脳における活動エネルギーのとてつもない高効率です。(アイデアよもやま話 No.2732 人間の脳の消費電力はたったの20w!を参照)

もし、人間の脳の活動エネルギーが低効率であれば、私たちはその分エネルギーを余計に消費する必要があるわけです。

ですから、今以上に沢山のカロリーを体内に取り入れることが求められます。

また、普段の暮らしにおいて、一つ一つの活動をするうえでの様々な判断に時間がかかれば、その分私たちのやりたいことは制約されてしまいます。

ですから、私たち人間の「知能」は日常生活を送るうえでは時間的な制約の中でそれなりのレベルにあるわけです。

しかし、例えば私たちは碁や将棋に関する過去の全てのデータをなぞってみるようなことはとても時間がかかるので非現実的だし、自分の脳の中で客観的な観点で自分で自分と戦わせてみるような芸当はあまり得意ではなさそうです。

こうした面において、AIは人間に比べてとても得意だと思います。

そして、こうしたAIと人間との能力の差は、将来的なデータの蓄積量の増加とともに増々差が広がっていくと思われます。

一方、人間の脳はまだそのごく一部しか使われていないとも言われています。

ですから、人間の脳がAIとつながることによって、これまで使われてこなかった脳の部分が使われるようになり、人類の次なる進化につながるのではという期待も出てきます。

 

ということで1回目でもお伝えしたように、人類はシンギュラリティ(技術的特異点)の入り口に向かっているのかも知れません。


 
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