2018年03月03日
プロジェクト管理と日常生活 No.530 『世界のビジネス界で影響を増す地球温暖化対策 その1 各企業の取り組み!』

これまで何度となく地球温暖化問題についてお伝えしてきましたが、その最新状況について2回にわたってご紹介します。

1回目は各企業の取り組みについてです。

 

昨年12月22日(金)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で世界のビジネス界で影響を増す地球温暖化対策について取り上げていました。

そこで番組を通して各企業の取り組みを中心にご紹介します。 

 

異常気象による災害のリスクの高まりと2015年12月に採択されたパリ協定によって、企業が投資を呼び込むために温暖化対策に取り組むことが不可欠な要素となっています。

日本企業も今様々な対応を迫られています。

 

昨年10月、温暖化対策で企業を格付けする団体が式典を開きました。

最も高いA評価には富士通、キリン、リコーなど日本を代表する企業、13社が名を連ねました。

世界の800を超える投資家がこの格付けをもとに投資を判断しています。

 

今回A評価を得た大手電機メーカーの富士通で環境担当の本部長、金光 英之さんは、過去2度にわたってA評価を逃してきたため、得意の省エネ技術で巻き返しを図ってきました。

その柱になったのが、サーバー設備の消費電力の削減です。

これまで熱を逃すため、冷房やファンを24時間稼働させて大量の電力を消費していました。

開発した最新技術は、サーバーを直接特殊な液体に沈めて冷却する“液浸”と呼ばれる技術です。

これで消費電力を3割削減します。

金光さんは経営会議でも省エネ技術の開発が評価されたことを報告しました。

この場で、田中 達也社長は次のようにおっしゃっています。

「これ(温暖化対策)をやらなければ、企業として取り組まなければ生き残れないと。」

「世界をリードしていきたいと。」

 

温暖化対策で世界をリードするにはどうしたらいいのか、金光さんは昨年11月、ドイツで開かれた温暖化対策の会議、COP23(気候変動枠組条約第23回締約国会議)を訪れていました。

そこで目の当たりにしたのは、再生可能エネルギーの電力を使って製品の製造過程で排出されるCO2までゼロにするという大胆な温暖化対策をアピールするグローバル企業の姿でした。

コカ・コーラの出席者は次のようにおっしゃっています。

「私たちはこの飲み物(コカ・コーラ)を作る過程で排出されるCO2を2020年までに25%削減し、最終的に排出量ゼロを目指します。」

 

また、ウォルマートの出席者も次のようにおっしゃっています。

「私たちも使用電力を100%再生可能エネルギーにすることを打ち出しました。」

 

各国で1万店舗以上を展開する世界最大のスーパーマーケットチェーン、ウォルマートでは店舗の屋上に太陽光パネルの設置を進め、2025年までに消費電力の半分を賄う計画です

しかし、現在富士通が使う再生可能エネルギーの電力は全体のわずか6%、世界の投資家にアドバイスするコンサルタントからは省エネ技術の開発だけでなく、再生可能エネルギーの割合を少しでも引き上げなければ、今後投資を呼び込めないと指摘されました。

あるコンサルタントは次のようにおっしゃっています。

「私たちは今新しい世界への転換を目の当たりにしているのです。」

「変わらなければ取り残されます。」

 

こうした状況について、富士通の金光さんは次のようにおっしゃっています。

「肌感覚で何が今世の中で起こっていて、何が企業に求められているのか、それで我々が何を責務としてやらなくちゃいけないのかを痛感出来た・・・」

 

帰国後、早速動き出した金光さんは世界の再生可能エネルギーの事情に詳しいコンサルタントを訪問しました。

アメリカにある3ヵ所の拠点では使用する電力を全て再生可能エネルギーに切り替えられる可能性があると聞き、具体的な検討を始めることにしました。

金光さんは次のようにおっしゃっています。

「高い評価をいただいて我々も非常に満足しているのですが、中身を見てみると、(世界と)スピード感が違って国内だけのスキームや事情だけを考えるのではなくて、グローバルに物事を見て、何が起こっているのかをよくアンテナを高くして理解するということが必要だと思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

地球温暖化を阻止する対策としてCO2排出量ゼロを目指す観点は、再生可能エネルギーのみでの発電、および省エネ技術の開発の2つです。

こうした観点から、世界のグローバル企業の中には、コカ・コーラやウォルマートのように生産工程におけるCO2排出量ゼロを目指しているところもあります。

しかし一方で、こうした課題を解決しようとしても、そのためのコストが負担になっては一部の企業や個人が取り組むだけで全体としての課題解決にはつながりません。

そこで、冒頭にご紹介したように、地球温暖化対策で企業を格付けする団体、およびこうした格付けをもとに投資を判断する世界の800を超える機関投資家の存在は、地球温暖化対策を促進するうえでとても有効だと思います。

こうした地球温暖化対策は一企業や一国の課題ではなく、世界各国共通の大きな課題だからです。

 

ということで、次回は地球温暖化対策における国際的な取り組みについてご紹介します。


 
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