昨年11月24日(金)放送の「ニュース7」(NHK総合テレビ)でAIによる体操の判定について取り上げていたのでご紹介します。
体操の跳馬での技ですが、テレビで見ていても速すぎて何回ひねったか分かりにくいです。
このように人間の目による判定が難しくなる中、AI(人工知能)と赤外線レーザーを使って選手の演技を正確に判定しようというシステムの開発が進められていて、昨年11月24日にこのシステムが公開されました。
3年後の東京オリンピック・パラリンピックを見据えて、競技の世界に新しい技術が開発されています。
昨年11月25日に群馬県高崎市で開幕した体操の全日本団体選手権ですが、この会場の一画で前日に大手電機メーカーの富士通が開発を進めているAIと赤外線レーザーで選手の演技を判定するシステムが公開されました。
なぜこうしたシステムの開発が進められているのか、背景には体操競技で新しい技が次々と開発され、判定が難しくなっている現状があります。
メダルラッシュに沸いた2016年のリオデジャネイロオリンピック、例えば男子種目別の跳馬で、白井
健三選手が成功させた技、バク転から後ろ向きに踏み切って身体を3回転半ひねっています。
スローで見ても中々分かりません。
人間の目による正確な判定が難しい場合にシステムで正確に判定し、審判の採点を支援するのが狙いです。
ではどうやって判定が行われるのでしょうか。
その秘密ですが、選手の身体全体を含む一定の範囲に赤外線レーザーを当てます。
その数230万ヵ所、選手の動きを捉えて3次元の画像にリアルタイムで変換し、モニターに映し出します。
その画像をもとにAIが身体の向きやひねりの回数などを技の採点基準と照らし合わせて演技の完成度を判定するのです。
昨年11月24日は、跳馬の演技を判定するデモが公開され、選手が飛んだ高さが瞬時に計算されていました。
3軸撮れるので、立体的に映像を撮ることも出来るのです。
日本体操協会の遠藤 幸一常務理事は次のようにおっしゃっています。
「審判員として判定をしていた精度が実際の数字とはギャップがあるのだろうかというのは非常に興味深い。」
一方で演技のエレガンスさなど、数字に表れない部分をどう判定していけるのか懸念もあるとも話していました。
富士通ではシステムの精度を高めて東京オリンピック・パラリンピックでの実用化を目指したいとしています。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
2月9日から25日まで開催されていた冬季オリンピックでも、テレビで見ていても何回転しているのか分からないような選手たちの演技が多く見られました。
そして、こうした演技は今後とも進化していくと思われます。
そうした中においても審判員の厳正な判定が求められます。
そこで、今回ご紹介したようなAIの活用による審判支援システムはこうした判定においてとても有効だと思います。
更にこうしたテクノロジーは、体操の演技に限らず、人の目では識別出来ないような素早い動きを識別するツールとしても利用出来そうです。