2018年02月27日
アイデアよもやま話 No.3950 人工衛星の活用により大きく変わる農業!

昨年11月19日(日)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で人工衛星の活用により大きく変わる農業について取り上げていたのでご紹介します。

 

日本でも農業の大規模化が進みつつあります。

しかし農地が広がると作物の育ち具合を管理するのに手間と時間がかかってしまいます。

それを解決するのが人工衛星です。

宇宙から水田の様子を瞬時に捉えます。

例えば稲がどの程度育っているのか、いないのか、その成長具合まで分かるといいます。

 

この技術を使って、山形県で新たな農業への挑戦が始まっています。

山形県舟形町で5年前、実家の農業を継いだ叶内 公直さんは、高齢化で担い手のいなくなった農地を次々に引き受けるようになり、今では山間にある12ヵ所の農地を管理しています。

生育状況を一通り見て回るのに3日以上かかるといいます。

叶内さんは次のようにおっしゃっています。

「個人で経営する面積としてはちょっと限界に近いかなという感じでやっています。」

 

そこで叶内さんが活用を始めたのが人工衛星のデータです。

昨年3月にEU(ヨーロッパ連合)が打ち上げた地球観測衛星です。

この衛星が高度700kmの宇宙から叶内さんの農地を見守っています。

撮影した画像を特殊なプログラムで処理すると、稲の育ち具合が色の濃淡で表示されます。

緑が濃いほど成長が進み、色が薄いところは育ちが比較的悪いことを示しています。

なぜ育ち具合まで分かるのか、光合成が活発で成長が進んでいる稲は光を多く吸収します。

光を多く吸収すると光の反射が減ります。

つまり光の反射量の違いを宇宙から調べると、育ち具合が分かるのです。

叶内さんは色が薄い場所を重点的に見回って、成長を阻むような病気が発生していないか確認しています。

叶内さんは次のようにおっしゃっています。

「優先順位をつけて見回る場所を選べるので、見回る回数を減らしたりとか出来て効率が上がると思う・・・」

 

叶内さんにデータを提供しているのは国際宇宙ステーションの運用にも携わっている有人宇宙システム株式会社(東京都千代田区)です。

無償で公開されているEUの衛星の画像を使って、依頼があった農家向けにデータの解析を行っています。

今後1ヘクタール当たり年間数千円程度でデータを販売する計画です。

このビジネスが本格化すれば、農業の敷居は一気に低くなると考えています。

有人宇宙システム・宇宙事業部の若森 弘二課長は次のようにおっしゃっています。

「今まで(農業とは)全く関係ないことをやっていた人でも就農してある程度自分の収入を確保出来るような世界が見えてくるんじゃないかなとは思います。」

 

一方、人工衛星を使ってコメの品質を高めようとしている農家もいます。

コメ作りを始めて30年のベテラン農家、佐藤 勇さんは農地の大規模化を進めていて、一つの区画の面積を20倍に拡大、1辺の長さは200m以上にもなりました。

佐藤さんは次のようにおっしゃっています。

「1枚の田んぼの面積が広くなったので、イネの生育を均一にするのがすごく難しいと今感じています。」

 

農地を大規模化しながらもどうコメの品質を高めていくのか、佐藤さんが人工衛星で調べているのがコメに含まれるたんぱく質の量です。

稲穂が実った後も光合成が活発だと肥料を取り込み過ぎてたんぱく質が増え、味が落ちてしまいます。

 

光合成の活発さからコメに含まれるたんぱく質の量を推定した画像があります。

黄色い部分はたんぱく質が多くなっている場所です。

佐藤さんはこうした場所では肥料を減らす対策を行い、今シーズン全てのコメが味の基準を満たしました。

佐藤さんは次のようにおっしゃっています。

「データに基づいた適切な均一な管理をすることによって、うまいコメ作りをすることがブランド米の戦略につながっていくと思います。」

 

コメの生産をめぐっては今年(2018年)国の減反政策が廃止されるなど、日本の農業は今後次第に自由競争の度合いが増していくと見られています。

どうしたら生産性や品質を高めていけるのか、こうした新たな技術の活用も一つのカギとなりそうです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

番組を通して、人工衛星の活用により、コメの生産にあたり、稲の育ち具合を把握出来たり、コメの味の管理が容易になることが分かりました。

この基本的な考え方は、コメ以外の農作物の生産にも適用出来そうです。

ですから、農業のあり方はこうしたテクノロジーの活用により手作業依存型からテクノロジー依存型へと今後劇的に変化していくと期待出来ます。

 

ということで、こうしたテクノロジー依存型の農業を今後とも進化させて、少子高齢化による農業の衰退の問題を解決するだけでなく、農業を新たな産業として復活させ、食料自給率を高めるだけでなく、国内外に向けて、美味しくて安い農作物を提供出来るような農業への転換を図っていただきたいと思います。


 
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