以前から、地球温暖化と異常気象との関連が取りざたされてきました。
そうした中、2月4日(日)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で今冬の寒さの原因は地球温暖化にあると伝えていたのでご紹介します。
凍った噴水、1月25日、東京都心は−4℃まで気温が低下、1970年(昭和45年)以来の気温となりました。
この記録的な寒さで暮らしにも影響が出て、各地で住宅の水道管が凍結し、破裂被害が相次ぎました。
こうした今冬、各地に影響を及ぼしている強い寒気、その背景には地球温暖化があると指摘する専門家がいます。
北極の気象などを研究している国立極地研究所の猪上 淳准教授は次のようにおっしゃっています。
「温暖化の一部として寒い天候が出てきているのだと思います。」
日本に強い冷え込みをもたらしているシベリア高気圧の下にある寒気、そこに温暖化が密接に関係しているといいます。
その源は遠く大西洋です。
メキシコ湾流と呼ばれる暖流が流れています。
通常、この暖流がもたらす暖かく湿った空気は偏西風に乗ってヨーロッパを暖め、ユーラシア大陸を横断してシベリア付近に到達します。
このためシベリア付近の寒気の発達が抑えられています。
ところがこの冬は温暖化の影響でより水温が高くなったメキシコ湾流が例年より北に向けて流れています。
この暖流によって偏西風は北に蛇行し、北大西洋で発達した低気圧に伴って暖かく湿った空気が北極海に向かいます。
このため暖かく湿った空気はヨーロッパやシベリア付近に向かわず、大陸では寒気が蓄積され易いのです。
更に偏西風はユーラシア大陸の東側でも蛇行します。
これに伴い、日本にも寒気が来やすくなるのです。
猪上さんは寒さの背景を分析すると、温暖化の進行していることがうかがえると指摘し、次のようにおっしゃっています。
「温暖化と言いつつ、寒い冬がここ10年間でも何年か起きました。」
「温暖化なのにこういった現象が続いているから「温暖化が止まったんじゃないか」とは思ってはいけなくて、そういう寒冷な現象が起きてきた他のところでは極端に暖かい現象が起きている。」
「夏だけではなく冬でも温暖化のシグナルが見えてきていると解釈するべきだと思います。」
日本を冷え込ませる寒気と地球温暖化が連動していたというのは意外ですが、この寒さの背景については、他にも南米の沖の東太平洋で海面水温が低くなるラニーニャ現象やロシアでの積雪など様々なメカニズムが考えられているということです。
地球温暖化を巡っては人工衛星による観測で、今年1月に北半球の海に浮かぶ氷の面積はこの40年ほどで1月としては最も小さくなっているということです。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
専門家はそれぞれの観点から地球温暖化と異常気象との因果関係について研究されておりますが、私たち素人にも理解出来るのは、人間の様々な活動から排出されるCO2などの温室効果ガスの排出量が増えれば、その分地球全体の気温上昇をもたらすということです。
そして、その気温上昇によって、海流の流れが変わったり、北極などの氷河が溶け出だしたり、あるいは海面の気温上昇により巨大台風の発生をもたらしたりという地球上に更なる様々な影響をもたらすという悪循環です。
このように考えていくと、異常に気温の高い夏や気温の低い冬は異常気象と表現されていますが、異常気象とはたまたまある年だけ特別に暑かったり寒かったりする場合に使う言葉であって、正確には今進行している温暖化による地球上のあちこちの気象の変化は、徐々に進む気温上昇に伴ってまだまだ変化していくもので異常気象と言えるような状況ではないと思います。
ですから、CO2排出量を減らす方向で私たちのライフスタイルそのものを変えない限り、CO2排出量の増加と地球温暖化による巨大台風などの甚大な被害との悪循環は終わることがないのです。