2018年02月18日
No.3942 ちょっと一休み その634 『医療機関の選び方!』

何か病気になった時、私たちはどこの病院に行こうかと悩むことがあります。

そうした中、昨年11月14日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で医療機関の選び方について取り上げていたのでご紹介します。

 

病院などの医療機関選びで、どのように情報を集めるかという以下のアンケート調査結果(調査 メディアコンテンツファクトリー)があります。

1.家族・知人の口コミ 54%

2.病院のHP     47%

3.口コミサイト    30%

4.かかりつけ医に聞く 17%

5.本・雑誌       7%

 

中でも利用者が急増している3位の口コミサイトですが、加藤厚生労働大臣は昨年11月14日に患者を病院に誘導したり、効果を誇張したりする口コミを規制すると明らかにしました。

口コミサイトとは、病院の評価を自由に書き込むことが出来るサイトで、近年病院選びの参考になると利用者が急増しています。

政府は、利用者が金銭などを受け取り、虚偽や誇大な表現を書き込んだ場合、行政指導などを行うことを検討、今年6月を目途に規制に乗り出す考えで美容整形などを中心に近年トラブルが増えている虚偽の口コミから消費者を守る狙いだといいます。

政府は既に以前から規制の対象となっているバナー広告などの虚偽の表現に対して昨年8月から監視をスタートしています。

医療機関ネットパトロールという団体は政府の委託で監視を行っていて、広告に記載された「プチ整形で悩み解消」や「免疫を最大限に高める」などの表現が虚偽や誇大に当たらないか調べています。

「お肌の若返りに効果」と書いたある病院の広告については“虚偽”と認定、違反を見つけるとサイトの運営者への通知や自治体による行政指導を行っています。

病院の口コミのパトロールを実施するかはまだ決まっていませんが、一般の人からの“情報提供”によって違反を見つける方法が柱となるもようです。

 

一方、今回の規制に対して、病院の情報発信の場が口コミサイトだけなので不透明になってしまうという否定的な意見もあります。

 

さて、医療情報サイトを運営している株式会社アートブルー(東京都渋谷区)では今回の規制にかなり注目しています。

こちらの会社の運営しているのは東京23区のおよそ2万4000件の医療機関の情報を掲載する「東京ドクターズ」です。

このサイトの最大の特徴は、口コミの動画です。

どのように口コミを取りにいくのかですが、街中の通行人にインタビューした結果を編集して口コミをサイトに掲載しています。

社長の青山 隆行さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「私自身、お医者さんを探す際にあまり信用出来ない口コミ情報が多かったので、やっぱりしっかり出元の分かるような動画や顔写真付きで出来るような口コミをかたちにしてと思って・・・」

 

「東京ドクターズ」は病院情報や病院の求人情報などをサイトに掲載し、広告費を取ることで運営しています。

口コミは広告とは切り分けて掲載していますが、規制の対象になる可能性もあります。

更に青山社長はどのレベルの口コミが広告と判定されるのか、線引きが曖昧だと指摘しています。

青山社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「捉え方が人それぞれだと思うので、これを誘導と言ってしまうと、全ていろいろなことが誘導になってしまうので誘導ではないと思います。」

 

民間の事業者が委縮する可能性もある今回の規制ですが、政府は口コミも含めたインターネット上の情報はある程度自由を残すと主張しています。

加藤厚生労働大臣は、会見の場で次のようにおっしゃっています。

「自由診療に関する治療内容、費用、リスク、副作用などを記載している場合には、他の広告とは異なって広告出来る事項の限定は行わない。」

「虚偽、誇大などの不適切な広告がなされないような規制は一方で必要になると思っていますから、そこのバランスをどう図っていくのか・・・」

 

「東京ドクターズ」は自分たちで口コミを集めに行っていますが、医療系のポータルサイトの中には、口コミがあることでホームページの閲覧数が増えることから、膨大な口コミのデータベースを扱っている会社から口コミを買って複数のサイトで同じ口コミが使い回しされていたりとか、口コミの出所があやふやなものが数多くあるということが番組の取材で分かったといいます。

こうした状況においては、どの口コミが本物かどうか見分けることがとても難しくなっていると指摘しています。

また、番組コメンテーターで早稲田大学ビジネススクールの入山 章栄准教授は次のようにおっしゃっています。

「私は、問題の本質は別のところにあるんじゃないかなと思っていまして、そもそも論というのはそもそも病院が我々が本当に欲しい情報を十分開示出来ていないというところにあるわけですね。」

「我々が本当に欲しい情報というのは、例えばこういう病気になった時に、この病院に行った患者さんがどのくらいの割合で良くなって、どのくらいの割合でならなくなったのか。」

「あるいはもっと言えば、この病院に行ったらどのくらいの方が命が助かって、助からなかったのかっていう、いわゆる数字の情報が本当は知りたいわけですよね。」

「で、当然病院はそれを持っているわけです。」

「で、実際に政府なんかもいろんなかたちで病院の情報開示を促す流れがあるようなんですけど、中々いろんな理由でそれが出てこない。」

「だから、結果的にこういう口コミサイトに頼るわけですね。」

「ですから本当に我々が望んでいる情報は何で、そこに政府がもう少し後押ししていくということがより重要なんじゃないかなと思いますね。」

「(病院側の姿勢も問われているのではという指摘に対して、)思いますね。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

医療機関に限らず、旅行の際にどの宿泊施設にしようかと決める際などにネット上の口コミはとても参考になります。

しかし、一方で番組でも指摘されているようにどの口コミが本物かどうか見分けることはとても難しいです。

 

そうした中、入山准教授のおっしゃっている以下の2点はとても理に適っていると思います。

・病院は私たちにとって本当に欲しい正確な情報を十分に開示すること

・こうした情報の提供に対して、政府が後押しすること

 

しかし、残念ながらどの商品やサービスにおいても、提供する側の医療機関やメーカーが成功事例など宣伝に利用出来るような情報は積極的に公表しても、評判を悪くするような自らの失敗談を公表することはまり期待出来ません。

企業による不正の隠ぺい行為などはその最たるものです。

 

そこで私たちはどうしても口コミに頼ることになってしまうのです。

しかし、先ほどもお伝えしたように私たちは口コミが本物かどうかを見分けることは難しいのです。

そこでAI(人工知能)を活用して、せめて怪しい口コミには“?”マークを付けること、一方で政府に対しては医療機関やメーカーが私たちユーザーに対して公表すべき情報のガイドラインを提供することを期待したいと思います。


 
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