毎週木曜日に放送される「アイデアの方程式」(テレビ東京)は、これまで何度となくお伝えしてきたアイデアは既存の要素の組み合わせである、あるいはアイデアは存在し、発見するものであるという考え方をアイデアの方程式という言葉で置き換えたと思われる表現で、様々な素晴らしいアイデアを取り上げています。
そこで、このブログでもこれから折に触れてこのいくつかをご紹介していきたいと思います。
まず、最初にご紹介するのは昨年11月9日(木)放送分からで、汚れにくい外壁についてです。
雨風にさらされ、汚れてしまう家の外壁ですが、その雨を利用して汚れを洗い流してしまう外壁があります。
その誕生の瞬間は開発メンバーのある一言でした。
「そういえばカタツムリの殻も家だよね?」
その瞬間、場の空気は変わりました。
「確かにカタツムリの殻って汚れているのを見たことがないね。」
「よし、調べてみよう。」
調べてみると、カタツムリの殻には無数の細かな溝があることが分かりました。
溝に雨が入り込むと、膜に薄い水の膜が出来て、その膜が汚れの付着を防ぎ、すぐに洗い流せる状態になっていました。
カタツムリの殻に秘められた驚きのメカニズム、開発チームはナノテクノロジーを用い、外壁タイルに小さな溝を作ることで汚れにくい外壁が誕生しました。
まさに自然が作り上げた自動洗浄装置、それを教えてくれたのはカタツムリだったのです。
ないものを見つけるのではなく、あるモノを見つめる、自然を敬愛していた建築家、アントニオ・ガウディは次のようにおっしゃっています。
「全ては自然が描いた偉大な書物を学ぶことから生まれる。」
ということで、今回のアイデア方程式はタイル×カタツムリ=汚れにくい外壁でした。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
これまでアイデアよもやま話 No.1726 ネイチャー・テクノロジーで究極のエコ社会が実現!?などでご紹介してきたように、私たちの周りに生存している生物は進化の過程で様々な独自の戦略により素晴らしいアイデアを発揮しています。
その生物の生態にヒントを得て私たちの暮らしの便利さに応用出来ることが分かり、これまで様々な分野に応用されてきました。
その一つが今回ご紹介した、カタツムリの殻にヒントを得た汚れにくい外壁です。
そもそも何もないところでアイデアは閃くものではありません。
何か問題意識があって、それを何とか解決しようという強い想いがあってこそ、すなわち“藁をもつかむ想い”の中でこそ身の回りの景色や誰かとのちょっとした会話の中、あるいは夢の中などでアイデアは閃くのです。
ですから、何か問題解決にあたって、行き詰った時には一人で悶々とするのではなく、いろいろな人と会話をしたり、気分転換にどこかに出かけたりするとかが必要なのです。
その際、アイデアは存在し、発見するものであるということを常に意識して前向きな気持ちを持って問題解決に取り組むことがとても大切だと思うのです。