前回からEV(電気自動車)の普及に向けて充電インフラに焦点を当てて3つの課題とその対応策についてお伝えしております。
2回目は、充電時間の短縮についてです。
そもそも現行のEVの充電時間ですが、日産「リーフ」を例にとると、急速充電器を利用する際には初期「リーフ」では急速充電器で30分で80%、新型「リーフ」では40分で80%です。
一方、普通充電器を利用する際には初期「リーフ」では8時間でフル充電(航続距離のカタログ値200km)、新型「リーフ」では16時間でフル充電(航続距離のカタログ値400km)です。
こうした充電時間の長さがEV購入を決定する際の大きなハードルで、EV普及の大きなネックになっているのです。
ですから、充電時間の短縮はEVを普及させるうえでとても大きな課題なのです。
既にこうした課題解決に取り組んでいる急速充電器のメーカーもあるようですが、こうした急速充電器が普及するとまた新たな課題が発生してきます。
それは、電力需要のピークを押し上げてしまうことです。
EVを短時間で充電させればさせるほど、それだけ充電時間中に急速充電器の出力が増えることになり、多くの電力を消費することになります。
ですから、EVの普及とともに、特に夏場の電力消費ピーク時には弊害として無視出来なくなります。
ですから、こうした電力消費ピークには急速充電器の出力を落とすというような対応策が求められます。
あるいは、より多くのEVオーナーによる電力需要の少ない深夜の時間帯での普通充電を普及させ、電力消費ピーク時には充電を極力控えさせるような対策が求められます。
ということで、世界的にEVの普及に向けての取り組みが急速に進められていますが、より短時間で充電が完了するような急速充電器の開発、およびその弊害のリスク対応策も同時に取り組んでいかなければ、EVの普及は思うほどには進まないと思われます。