昨年11月1日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で”現金NG”レストランについて取り上げていたのでご紹介します。
ファミリーレストラン(ファミレス)のロイヤルホストなどを運営するロイヤルホールディングスが現金を一切扱わないキャッシュレスのレストランを試験的にオープンします。
GATHERING TABLE PANTRY 馬喰町店(東京・日本橋)の看板は「CASHLESS」、「× 現金」と書かれています。
入り口にも店の奥にもレジはありません。
このキャッシュレスレストランをオープンするロイヤルホールディングスの狙いについて、黒須社長は番組の中で次のようにおっしゃっています。
「労働力の低下、こういったものが非常に厳しくなってきております我々の業界でございます。」
「従いまして、そんな中からどういうふうに従業員の働き方改革をしていくのか、また同時に生産性を上げていけるのか・・・」
この店ではピーク時でも店員2人で賄うといいます。
メニューはアイパッド、お客がそこから注文すると注文票は直に厨房へいくという仕組みです。
厨房も狭くしてオール電化、調理時間を効率よく短縮出来るように設計しているといいます。
料理は前菜からメインディッシュ、デザートまでおよそ30種類を揃えています。
食事が終わると、お客は「支払い実行」をタップします。
すると店員のアップルウォッチが鳴ります。
テーブル番号が表示されるので、スマホでそのテーブルの注文一覧を確認し、お客にどのクレジットカードで決済するのか選んでもらいます。
実は、閉店後のレジ締め作業には40分以上かかるといいます。
ところが、このキャッシュレスシステムだとその時間は省かれるのです。
決済サービスに使用された楽天の小林 重信執行役員は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「中国、北欧というのが非常にキャッシュレス化が先行していた国だと思います、」
「いよいよ日本も東京オリンピックに向けてその流れが来ていると思いまして、この店舗に来て間違いなく普及すると確信しました。」
ロイヤルホールディングスはこの実験店舗でテストを重ね、労働不足などに対応するシステムを作り上げていく方針です。
黒須社長は番組の中で次のようにおっしゃっています。
「まだこれからどんどん人口も労働人も減少してきます。」
「今のうちにこういった実験を始めていかないと対応遅れになってしまう。」
「働き方改革にもつながっていかない、まさにその危機感(から始めた実験)でございます。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
キャッシュレス化は生産性向上の一つの手段に過ぎません。
勿論、お客にとっても現金を持ち歩く必要がないので便利ですが。
ですから、ファミレスなどのお店全体の生産性向上を徹底的に追求するのであれば、少なくとも注文だけでなく支払い時もアイパッド、あるいはスマホなど店員を介さずに済ませるようなシステムが求められます。
また、こうしたお客とのやりとりは既に導入が進みつつあるソフトバンクの「ペッパー」のようなロボットの活用がお客に親しみを感じさせるように思います。
更に番組でも触れているように、東京オリンピック・パラリンピックに向けて海外からの訪日客が増えます。
ですから多言語対応の自動通訳機能や自動翻訳機能も求められます。
こうした観点から、お客の急増が見込まれる東京オリンピック・パラリンピックは生産性向上、あるいは訪日客へのサービス向上を進めるうえで、千載一遇のチャンスと言えます。
ということで、ロイヤルホールディングスはこの実験店舗でテストを今後重ねていくといいますが、生産性向上とともにお客の快適さも同時に満たすようなシステムの構築を目指していただきたいと思います。