2018年01月16日
アイデアよもやま話 No.3914 急速に広がるカーシェアリング!

昨年10月28日(土)放送の「おはよう日本」(NHKテレビ)で急速に広がるカーシェアリングについて取り上げていたのでご紹介します。 

 

今、自動車メーカー各社にとって目が離せない動きはカーシェアリングです。

1台のクルマを複数の個人などで共同で利用する仕組みで急速に広がりつつあります。

新車を販売するメーカーにとっては逆風にもなりかねない状況ですが、カーシェアリングをチャンスと捉えて新たな戦略販売に乗り出すメーカーも出てきています。

 

カーシェアリング最大手のタイムズ24では、会員になると24時間自由に利用することが出来ます。

料金は15分206円からで、ガソリン代や保険料も含まれています。

この会社は本業の駐車場経営の強みを生かし、全国およそ1万ヵ所に拠点を設けています。

今後も利用者は増え続けると見込んでいます。

タイムズカープラスの渡邉 倫也広報担当は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「気軽に使えるというところで、今まで歩いていた方たちが新たに車を利用するようになっていると考えておりますので、新たな需要を掘り起こしているのではないかなと思います。」

 

カーシェアリングの利用は企業にも広がっています。

神奈川県青葉区の不動産会社、東急リバブルでは、一昨年12月から全国の営業現場でカーシェアリングの利用を始めました。

社員が仕事に応じて、自由に車種や場所を選んでインターネットで予約します。

ある営業担当員の方は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ネットで全部管理されているので、使う時におっくうになることもないですし、すごく使い易いシステムで良いと思います。」

 

最大の狙いはコスト削減です。

現在、営業車が全国に600台ありますが、1ヵ月の維持費は1台当たり7万円に上ります。

営業が増える週末は車が足りなくなりますが、これに営業車を増やすのではなく、カーシェアリングを活用することで対応しています。

東急リバブル総務課の鈴木 大吾課長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「カーシェアリングの料金は、実際に使った時間だけの請求になりますので、コストメリットがあると考えております。」

 

こうしたカーシェアリングの本格的な普及は、自動車メーカーにとって新車の販売低迷につながりかねません。

ところが、ホンダはあえて都内で独自にカーシェアリングに参入しています。

ホンダカーシェアリング事業部の妹尾 高史課長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「“ホンダの車の使い勝手ってこうなんだ”とか“新進性ってこういう機能があるのか”だとかそういうものにまず触れて体験していただくというのが必要かなというふうに考えております。」

「ホンダのファンになっていただくというのが一番の狙いになります。」

 

現在、会員はおよそ1万人に上ります。

“ファンづくり”のために2つの特徴を打ち出しました。

貸し出す車は全て新車とし、いずれもその車種の中で最高グレードのものにしました。

更にまとまった時間乗車して魅力を知ってもらうため、利用は一般的な15分刻みではなく、最低8時間からとしました。

その分、料金は3780円からと安くしました。

 

カーシェアリングの利用をきっかけに、実際にホンダの車を購入した人もいます。

購入した男性(42歳)は、他社のサービスも使い、比較したうえで購入を決断したといい、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「まず驚いたのは、(借りた車が)ほぼ新車。」

「乗っていて車の楽しさは一番いい。」

 

国内の自動車市場が頭打ちになる中、いかに販売を伸ばしていくか、自動車メーカーの模索が始まっています。

ホンダカーシェアリング事業部の妹尾課長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「「車離れ」は進んでいる。」

「車に関心を持っていただくということがまず一番大事かと思いますので、お客様が車を買いたいと思われた時に、“あっホンダ”っていうところを想起していただければ、そこが一番いいかなと思います。」

 

なお、カーシェアリングを巡っては、トヨタ自動車や日産自動車も試験的に東京や横浜などでサービスに乗り出しているということです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

そもそもカーシェアリングを利用する際には、自家用車と違って利用の際には一般的に借りるクルマの置いてある場所まで行き、使い終えたら元の場所に戻しに行く必要があります。

ですから、毎日のように子どもの送り迎えや買い物に使う場合には自家用車の保有が一般的だと思います。

一方、ドライブなどでめったにクルマを必要としない人にとってはカーシェアリングやレンタカーを使う方が多少不便でもコスト的に見合うと思います。

 

さて、遅くとも数年後という近い将来には完全自動運転車が登場してきます。

そうなると、カーシェアリングでもスマホの操作によって予約が出来るだけでなく、決まった場所で、決まった時間から完全自動運転車を利用出来るようになり、どこで乗り終えて駐車してもクルマは勝手に必要な場所に移動してくれるようになります。

ですから、完全自動運転車と駐車場経営を本業とカーシェアリングのタイムズ24のような企業はとても相性がよくなります。

一方、クルマの利用者は、こうした環境でクルマを気軽に利用出来るようになると用途に応じてスポーツタイプやファミリータイプなどシェアするクルマの車種を選ぶことも出来るようになります。

ですから、個人や企業などを問わず、自家用車を所有している既存のクルマユーザーもこうした環境でクルマを気軽に利用出来るようになると高いお金を払ってまでクルマを所有する必要がなくなります。

ですから、完全自動運転車の到来により、クルマはこれまでとは全く異なる新たな時代を迎えるようになるのです。

クルマを提供する側とユーザーとの間を介在する人手が一切不要になるので、カーシェアリングとレンタカー、あるいはタクシーの垣根もなくなってしまうかもしれません。

更には、完全自動運転車は自分の乗りたい場所から行きたい目的地まで運んでくれるのですから、バスの乗客も取り込んでしまう可能性を秘めています。

 

ということで、カーシェアリングが急速に広がりつつあるといいますが、完全自動運転車の到来により、自動車はこれまでとは全く異次元の新たな時代を迎えるようになると思うのです。


 
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