2018年01月11日
アイデアよもやま話 No.3910 IoTの具体的なかたち ― ブロックチェーン!

昨年11月16日(木)付け読売新聞の朝刊一面記事で耳慣れない“ブロックチェーン”という言葉を目にしました。

記事を読んでみると、IoT(モノのインターネット)を基盤としたこれからの社会の構築にとても重要な考え方だと思ったのでご紹介します。

 

みずほ銀行、日本郵船、NTT東日本の3社は総務省と共同で、“ブロックチェーン”と呼ばれる新たなIT(情報技術)を使った情報共有の実験を2017年2月にも始めるといいます。

住所や電話番号など登録情報の変更を1ヵ所に届けると、全ての社のシステムに反映されるというのです。

ちなみに、“ブロックチェーン”の技術は既にビットコインなど仮想通貨で活用されているといいます。

1つの組織が集中して管理する仕組みに比べて情報が改ざんされにくい特徴があります。

 

“ブロックチェーン”の導入により、大手企業が情報を管理するシステム維持管理費用を軽減する効果もあり、利用者が支払う手数料やサービス料などの値下げが期待出来ます。

また、引越しなどの際の利用者の手続きが便利になるとも期待されています。

 

総務省は、“ブロックチェーン”の技術が様々な分野で活用出来るとみて、今後企業が導入し易いように情報共有の方法について課題を整理する方針だといいます。

住所などの個人情報だけでなく、自動車の分野でも応用出来ると考えています。

例えば、自動車の修理や点検の情報を、中古販売店や整備工場などが“ブロックチェーン”により共有出来ます。

一方、消費者は中古車を購入する際に、自動車の状態を確認し易くなります。

 

以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。

 

“ブロックチェーン”の基本的な考え方は、これまで何度となくお伝えしてきたIoTの具体的な姿、すなわちモノの情報の共有化です。

記事の内容を参考に、“ブロックチェーン”の基本要件を以下にまとめてみました。

・管理者やユーザーの利便性向上に必要な情報を各企業、あるいは国や自治体をまたいで共有すること

・多くのコンピューターがそれぞれ分散して情報管理すること

・こうした情報は相互に検証されたうえで、情報の整合性を維持すること

・一部のコンピューターが故障しても全体への影響を与えないこと

・サイバー攻撃からの防御力が非常に高いこと

 

なお、“ブロックチェーン”の基本的な考え方は、様々な分野に応用出来ます。

なぜならば、私たちの暮らしは全てモノや人とそれらに関連する情報によって成り立っているからです。

ですから、全てのモノや人に関連する情報が“ブロックチェーン”によってつながり、それらを縦横無尽に効果的に活用することによって、これまでの仕組みは簡素化され、国も企業や人も一段と生産性の高い活動が出来るようになると期待出来るのです。

 

しかし一方で、とても重要な課題もあります。

それは情報漏えいに伴う情報の不正使用に対する完璧な対応策の確立です。

この課題の十分な対応策を実施せずに“ブロックチェーン”を推し進めれば、社会は大混乱に陥ってしまうリスクを常にはらんでいるのです。


 
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