日本電産株式会社(京都市南区)の創業者、永守重信会長(73歳)については、これまでNo.3744 ちょっと一休み その601 『ある日本の資産家に見る望ましいお金の使い方』などでお伝えしてきました。
そうした中、昨年の10月18日(水)付け読売新聞の朝刊記事で売り上げ10兆円を目指す日本電産の取り組みについて取り上げていました。
記事では、永守重信会長がご自身の想いを語られておりましたので3回にわたってご紹介します。
3回目は、買収に成功する3つの条件についてです。
日本電産は高性能モーターを開発する一方、経営不振の企業を買収して再建し、成長してきた。
日本では企業買収は全体の2%しか成功していない。
10%がまあまあ、88%は失敗です。
うちは56回買収して56連勝中ですけどね。
当然、秘密はある。
買収には成功する条件が3つある。
まず安く買うこと。
高く買うから、減損処理で苦しめられる。
2番目は、買収は作業全体の2割に過ぎない。
それを認識すること。
再建や事業再編を、誰がどう進めるのか。
見通しがないまま買って、部下任せにするから失敗する。
最後は、社風。
どんなにいい会社でも、水と油の会社を買ってはいけない。
買収は時間がかかるんですよ。
長いのは狙ってから16年かけた。
平均でも5年かけている。
倒産しそうな会社は原因がある。
職場が汚いとか、社員同士あいさつしないとか、資材を高く買っているとか、役員が平日にゴルフしているとか、共通点がある。
それを改善することが大事です。
以上、記事の内容の一部をご紹介してきました。
永守会長の考える買収に成功する3つの条件は以下通りです。
1.安く買うこと
2.買収は作業全体の2割に過ぎないことを認識すること
3.社風の違いを認識すること
日本では企業買収は全体の2%しか成功していない状況下において、日本電産がこれまで56回買収して56連勝中という成果に裏打ちされた買収の3つの条件はとても重みを感じます。
安く買うことや社風の違いの認識は一般的ですが、特に買収にはとても期間や労力がかかることについては見落としがちだと思います。
なお、永守会長は倒産しそうな会社の原因についても触れられておりますが、買収において倒産しそうでも独創的な技術を持った会社に目をつけて安く買収し、その後に倒産しそうな原因の排除は出来ると考えられているのではないでしょうか。