がん検査については、以前アイデアよもやま話 No.3202 研究が進むがん検査法!やアイデアよもやま話 No.3689 尿一滴で10種類のがん発見!などでご紹介したことがあります。
そうした中、9月27日(水)放送の「あさチャン!」(TBSテレビ)で世界最先端のがん検査について取り上げていたのでご紹介します。
今年1年間でがんと診断される患者は推計101万4000人に上るといいます。(国立がんセンター予測)
生涯のうちに2人に1人がかかるとされ、日本人の死因の第1位になっているがんですが、たった1滴の血液、たった1滴の尿、あるいはたった数滴の唾液の検査で診断出来る世界最先端の検査方法があるといいます。
痛みを伴い、費用も高額で1日がかりと時間もかかる、そんながん検査のイメージががらりと変わるような画期的ながん検査技術が次々と開発されています。
13種類のがんを早期発見出来る世界最先端のがん検査ですが、必要なのはたった1滴の血液です。
健康診断や人間ドッグで採血したついでに、その余ったわずかな血液で13種類のがんを早期発見出来る、そんな夢のようながん検査方法が開発されました。
開発拠点となっているのが国立がん研究センターです。
国立がん研究センター分子細胞治療研究の落谷 孝広分野長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「それぞれのがんが分泌するマイクロRNA(詳細はこちらを参照)の種類が異なっているということが分かりました。」
注目したのは、血液中に含まれるマイクロRNAという物質です。
がん細胞から出る特有のマイクロRNAの有無によって、がんであるかいなかを診断出来る他、検出されるマイクロRNAのタイプによって、どの臓器に出来たがんであるかを見分けることが出来るといいます。
診断可能ながんの種類は以下の13種類です。
・胃がん
・食道がん
・肺がん
・大腸がん
・乳がん
・卵巣がん
・前立腺がん
・肝臓がん
・すい臓がん
・胆道がん
・膀胱がん
・肉腫
・神経膠腫(しんけいこうしゅ)
これら全てのがんを95%以上の高い確率で発見出来るといいます。
落谷さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「数日内には(検査を)受けた方に結果を返せるという、非常に簡単でなおかつ迅速なシステムとなります。」
「費用は大体1回で13種類のがん全て検査するということにおいても2万円前後ではないかと。」
3年後の実用化を目指している血液1滴がん検査ですが、診断可能になるのはがんだけではありません。
8年後の2022年には5人に1人はかかるといわれる認知症の早期発見にもこの検査が有効だというのです。
落谷さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「認知症に特有のマイクロRNAが認知症の患者さんの血液中にも流れている。」
「認知症を血液で判断することが出来るということになります。」
続いてはたった1滴の尿でがんを発見、診断確率ほぼ100%、20種類のがんの有無が分かる画期的ながん検査です。(詳細はこちらを参照)
山形県金山町で全国初めて試験的に導入されたがん探知犬ががん特有のにおいをかぎ分ける検査です。
がん探知犬は、良性の腫瘍(しゅよう)には反応せずに、がん患者が出す呼気や尿からがんの有無をかぎ分け、振り返ったりして知らせるといいます。
がんの発見率はほぼ100%に近い実績があるといい、今年度は40歳以上の町民1千人を対象に実施する予定です。
しかし、がんの早期発見が出来ても、体のどこにがんがあるかが分からないため、探知犬ががんの疑いがあると発見した場合は、本人の話を聞き、家族の病歴もチェックして、内視鏡やCTスキャンなどの精密検査を実施するといいます。
続いては今年2月から既に導入されている簡単で手軽な検査がほんの数滴の唾液だけのがん検査です。
太めのストローで採取したら終了です。
この1分ほどの検査で以下の5種類のがん検査が出来るのです。
・すい臓がん
・大腸がん
・乳がん
・肺がん
・口腔がん
大泉中央クリニックの砂村 眞琴院長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。
「唾液は血液から出来ています。」
「ですので、血液中にあるホルモンや代謝酵素やアミノ酸、そういうものが含まれています。」
「すなわち、唾液は“体の鏡”となるような物質を含んでいます。」
採取した唾液をマイナス80℃に冷凍して検査所へ送り、結果が出るまで1〜2週間、料金は2万〜3万5000円ほどです。
将来的には病院に出向かなくても家庭で唾液を取って検査所に送るだけの郵送検査が出来る検査キットの開発を目指しているといいます。
以上、番組の内容をご紹介してきました。
日本人の平均寿命は男性81歳、女性87歳と、男女とも香港に次いで世界第2位ですが、今問われているのは単なる長寿命ではなく、健康で長生き出来る、俗にいう“ピンピンころり”、すなわち健康寿命です。
そして日本人の死因の第1位はがんなのですから、がんの撲滅こそ日本人の健康寿命達成の大きな一つの要因となるのです。
そうした中、1滴の血液検査でどの臓器に出来たがんであるかを見分けることが出来るという研究はとても画期的です。
そのポイントを以下にまとめてみました。
・血液中にはマイクロRNAという物質が含まれていること
・がん細胞から出る特有のマイクロRNAの有無によって、13種類の中のがんであるかいなかを診断出来ること
・検出されるマイクロRNAのタイプによって、どの臓器に出来たがんであるかを見分けることが出来ること
・数日内に検査結果知ることが出来ること
・費用は1回につき2万円前後であること
・3年後の実用化を目指していること
・認知症に特有のマイクロRNAが認知症の患者の血液中にも流れていること
・従って認知症の早期発見にもこの検査が有効であること
こうしてまとめてみると、まず思うことは是非3年後の実用化を目指していただきたいということです。
もし、この1滴の血液検査で13種の中のどのがんがどの臓器で発病しているかまで早期発見が出来るようになれば、国内のみならず世界的ながんの早期治療が出来るようになります。
ですから、間違いなく世界的にノーベル賞級の発明として評価されるはずです。
また、この研究のキーポイントであるマイクロRNAが特定のがんや認知症と対応していることから、今後13種類以外のがんや認知症以外の病気についても同様の検査で早期発見が可能になると見込まれます。
更に、唾液は血液から出来ているというのですから、もし唾液にもマイクロRNAが含まれているのであれば、病院に行かなくてもこうした検査が自宅でも簡単に出来ることになります。
なお、探知犬によるがんの早期発見については、体のどこにがんがあるかが分からないため、探知犬ががんの疑いがあると発見した場合は、更に内視鏡やCTスキャンなどの精密検査を実施する必要があるといいますから、やはり1滴の血液検査、あるいは数滴の唾液検査の方がお勧めだと思います。