2017年12月15日
アイデアよもやま話 No.3887 中国で進む物流革命!

11月11日(土)放送の「おはよう日本」(NHK総合テレビ)で中国で進む物流革命 について取り上げていたのでご紹介します。

 

中国で11月11日は独身を意味する1が4つ並ぶことから“独身の日”と呼ばれ、インターネット通販各社の大規模な値引きセールが国民的なイベントとして定着しています。

このセールでは冬物の衣料品、食料品、携帯電話の他、日本製商品、日本への旅行に人気が集まっています。

“独身の日”のセールは年々注文が増え続けていて、今年は昨年より35%多い荷物が発送される見込みといいます。

 

このセールでは合わせて15億個の荷物が発送されるといいます。

これらの大量の荷物をいかに効率的に発送出来るか、今中国では物流革命ともいわれる動きが起きています。

以下はネット通販会社「京東」を紹介するビデオの内容です。

新たに打ち出したのは“物流の無人化”です。

大量の荷物を短時間で出荷出来、従来の手作業に比べて4倍の荷物をさばくことが出来るといいます。

荷物は配送先ごとに自動で振り分けられます。

振り分けられると、自動運転のフォークリフト18台が一斉に稼働、荷物の入ったケースをトラックの積み出し口まで運びます。

このシステムを監視する従業員は一人だけです。

手作業によるミスもなくなり、人件費も大幅に削減出来ました。

 

“無人化”の試みは配送の現場でも行われています。

ドローンを導入し、位置情報をもとに自動で目的地に向かいます。

陸路に比べて配送時間は6分の1程度に短縮出来ました。

荷物を運んだドローンが目的地の集落にやってくると、決められた箇所に荷物を置きます。

すると、地元の配達員が配送先のお宅に電話でこれから荷物を配達すると連絡します。

こうして荷物は配達員により直接手渡しされます。

この会社では今、半径100kmまで荷物を届けられるドローンや1トンの荷物を運べるドローンなどを開発しています。

この会社の技術責任者は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ドローンやAIを活用することが将来の物流のカギを握っています。」

「これからもっと多くのドローンを飛ばしますよ。」

 

独身の日の商戦が過熱する中、思わぬ影響も出ています。

ネット通販の拡大で、商品を梱包する段ボールが不足しているのです。

ある段ボールメーカーでは独身の日に向けて1000万個のダンボールを受注しました。

ところが、原料となる紙が不足し、段ボールの生産が危ぶまれる事態に直面しました。

こちらの段ボールメーカーの社長は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「中国では今紙が足りません。」

「今後もこの苦しい状況が続くでしょう。」

 

深刻な段ボールの原料不足、そこには環境汚染に対する規制強化の動きがあります。

中国では環境汚染を招くとして多くの製紙工場が閉鎖されています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

11月11日、すなわち中国の“独身の日”は中国のインターネット通販市場において最大の商戦日で大規模な値引きセールが国民的なイベントとなっていますが、その売り上げがいかに凄まじいものであるかご紹介します。

ネットニュース(こちらを参照)によれば、11月11日、インターネット通販最大手のアリババグループが年次イベント「11.11 GLOBAL SHOPPING FESTIVAL 2017」を上海市内で開催し、午前0時のセール開始から過去最速となる3分1秒で流通総額は100億元(約1700億円)を超えたといいます。

これほど大量の注文をこれほどのスピードでこなすことが出来るのは、まさにインターネットの威力です。

 

こうした大量の注文を受けて、その荷物を仕分けし、配送するというプロセスが物流なのです。

日本では既に仕分け作業の自動化による“物流の無人化”がかなり進んでいますが、中国においても番組で取り上げていたネット通販会社「京東」の動きをみると、“物流の無人化”がかなりのレベルで進んでいると思われます。

 

一方、日本ではようやくドローンを使った配送の実証実験が始まっていると報道されていますが、こちらについては中国の方が既に一歩先を行っているようです。

この会社では今、半径100kmまで荷物を届けられるドローンや1トンの荷物を運べるドローンなどを開発しているといいますが、こうしたドローンが実際に稼働するようになれば、配送の自動化をもたらし、配送コストの削減につながり、まさに“ドローンによる物流革命”をもたらします。

 

しかし、課題もあります。

一つは、ドローンの落下事故や建物などとの衝突事故のリスクをいかに減らすかという事故対応です。

もう一つは、番組でも取り上げていたように、荷物の配達量の急増に伴う段ボールなどの原料不足への対応です。

ですから、段ボールの再利用やリサイクル、あるいは段ボールの代用となる資材の開発が求められます。

更に、以前もお伝えしたように、ドローンは耳障りなかなりの騒音を発生します。

1トンの荷物を運べるドローンなどは、間違いなく騒音公害をもたらします。

ですから、ドローンの騒音対策も欠かせません。

 

いずれにしても、無人飛行機であるドローンは配送先にとっても配送時間の指定や再配達などきめ細かな対応をしてもらうことが出来ます。

また、配送車の運転手不足の解消策、交通渋滞の緩和策、あるいはガソリン車のCO2排出量の削減策としてもとても有効です。

ですから、こうしたメリットのあるドローンについては、今後世界的に開発競争が激化し、やがて徐々に普及していくと思われます。


 
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