前回、前々回と電気自動車(EV)関連についてお伝えしてきました。
そうした中、10月25日(水)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)の中で、番組コメンテーターで日経ビジネス編集委員の山川
龍雄さんが自動車業界で流行っているキーワードについておっしゃっていたのでご紹介します。
今、世界の自動車業界で“CASE”という言葉が流行っているといいます。
この言葉は、ドイツのメルセデスのCEOが最初に語った言葉で、以下の通りです。
C:Connected(つながるクルマ IoT)
A:Autonomous(自動運転)
S:Sharing(共有)
E:Electric(電動化)
これについて、山川さんは、もう一つ付け加えるべきだと考え、以下のようにおっしゃっています。
「(それは、)H:Humanity(人間らしさ)です。」
「先ほど、トヨタの事例なんか典型的ですよね。」
「非常に今回は、ソフトウェアを使って、乗っている人たちに快適さを与えるだとか、あるいはリラクゼーションを与えるだとか、そういう提案が非常に目立ちました。」
「多かったんですね。」
「いかにクルマが電気自動車(EV)になっても無機質なものではなくて、人に寄り添うものだという提案が非常に目立った。」
「そして、HをCASEにくっ付けたらどういう言葉になると思いますか?」
「CHASE(追撃する)なんですよ。」
「つまり、ここに私は日本の自動車メーカーに少し電動化で遅れているなんて一部で言われていますけども、対抗策があるんじゃないかなと思います。」
「今日、日産やトヨタの新しいバッテリーを見ていると、もう航続距離などでフラストレーションが溜まる時代はやがて解消すると思います。」
「そうすると、モノよりもコト、ソフトウェア、つまりH(人間らしさ)というところが勝敗を決めるようになるんじゃないかと予想します。」
以上、番組の内容をご紹介してきました。
山川さんのおっしゃったH(人間らしさ)に触発されて、私なりに更にもう一つのキーワードが思い浮かびました。
それはS、すなわちEVは充電するものという考え方だけでなく、電気を供給(Supply)する手段としても位置づけるというものです。
すると、“CHASE”は更に“CHASES”というキーワードになります。
EVの世界的な普及とともにEV用のバッテリーは、今後どんどん低価格化、小型化、および充電容量の増加が期待出来ます。
すると、個々のEVが充電されるだけでは、長時間駐車中のEVは電気という“宝の持ち腐れ”に陥り、一方で発電所の電力供給不足をもたらすリスクが高まります。
こうしたリスクを防ぐうえで、個々のEVが駐車中に電力供給装置、すなわちミニ発電所のような機能を備えるようになれば、EVは電力供給における言わばダムのような役割を果たすことが出来るのです。
こうしてみると、このような機能も電力におけるIoTの一環と言えなくもありません。
そればかりではありません。
EVの普及が進めば、災害時などによる停電の場合の緊急用電源としてもEVのバッテリーは欠かせない存在となります。
更に、世界中にはまだ電気がつながっていない地域が沢山あるといいます。
こうした地域に、このような機能を持たせたEV、および電力供給装置を普及させれば、再生可能エネルギーによる発電設備や最小限の既存の火力発電所の建設とEVの普及により、途上国の電力問題を早期に解決することが出来るのです。
ということで、EVには世界的な電力事情を大きく変える起爆剤としての側面があるのです。
ですから、これからの自動車業界のキーワードは“CHASES”がいいと思うのです。