2017年11月23日
アイデアよもやま話 No.3868 5分100円の御用聞き!

8月21日(月)放送の「Nスタ」(TBSテレビ)で5分100円の御用聞きについて取り上げていたのでご紹介します。

 

粗大ごみの移動、家具の移動、家電・PC(パソコン)サポート、お片付け、掃除など専門的な技術が必要なサービスを5分300円からという料金で提供している「たすかるサービス」があります。

一方、水やり、生活ごみ処理、フタ開け、郵便物回収、電球交換、宛名書き、日常の掃除などちょっとした困りごとを5分100円で解決する御用聞き「100円家事代行」があります。

なお、料金にはこの他に出張費(1人分)200円がかかります。

 

このサービスを始めた株式会社御用聞きの社長、古市 盛久さんは6年前に「買い物代行サービス」の事業に失敗、迷惑をかけた会員に謝罪して回る中、ある高齢女性のお宅を訪ねた際に、「おばあさん、なんでインターホン鳴んなかったの」と聞いたら、「こわれちゃってる、頼み先が無くて」と言われました。

そこでインターホンの電池を交換したところ、鳴った瞬間におばあさんが手を合わせて号泣されて、拝み倒すみたいに感謝の意思表示をされたのです。

その時の代金としてもらったのが古銭でした。

今でもお守りとして持ち歩いているといいます。

 

現在、御用聞きのサービス提供エリアは団地の多い板橋区や練馬区を中心におよそ7つの地域です。

中でも最も注文が多いのが高島平団地です。

かつては入居の応募が殺到し、“東洋一のマンモス団地”と呼ばれました。

総戸数は1万戸、およそ3万5000人が暮らしていました。

しかし、現在入居者の半数以上は65歳以上の中高年だといいます。

そこで住民たちの救世主となってくれているのが、“ちょっとした困った”を解決してくれる御用聞きなのです。

古市さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「“生活のささくれ”って言ってるんですけど、業界のサービスのはざまに落ちているような、ほんのささいなことを特化してやっていこうというのがコンセプトですね。」

 

月に平均100件の依頼内容の主なものは、電球の交換、瓶のふた開け、宛名書きなど些細なものが多いといいます。

中でも、特に多いのは重いモノを運ぶ依頼だといいます。

エレベーターが無い5階建ての団地に住む人にとってはありがたいサービスだといいます。

更に意外な依頼もあります。

ある日の夜、小学生の女の子がやって来て、100円玉をテーブルに置いて、「お父さんとお母さんのケンカを止めて下さい」と言われました。

古市さんはビックリして、「お父さん、お母さんの目を見て「ケンカを止めて」と言って、それでもダメだったら、もう1回おじさんの所においで」と言ったら、走って行って、その後その女の子は来ませんでした。

 

夏の団地ならではの依頼もあります。

団地の掃除当番から「廊下に落ちているセミを取って」というものです。

8月は毎朝この依頼が続くそうです。

 

そして、最近中高年に増えている依頼がスマホの操作です。

社会に置いていかれたくない、だからスマホを使いこなしたい、そう思う人も最近は増えているといいます。

ある60代の女性は、留守番電話機能の設定やお気に入りの保存方法、あるいは音声入力機能を使いこなせるようになりたいという要望が御用聞きのサービスにより適いました。

古市さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「そのご家庭、その方の悩み相談、何でも1回は受け止めるという。」

「これだけの社会課題がまだあることにどう対応していくかが大事。」

 

「“暮らしに寄り添う”と言ってるんですけど、住んでいる人の問題を解決することが最初だと思ってるんです。」

「自分たちのミッションですね。」

 

近所づき合いが少なくなってきている中で、御用聞きの皆さんは「まず会話をすること、会話で生活を豊かにしたい」とおっしゃっています。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

古市さんのおっしゃる“暮らしに寄り添う”という言葉は、とても温かみのある優しさに溢れた言葉だと思います。

そして、今回ご紹介した“御用聞き”は、まさに“暮らしに寄り添う”サービスだと思います。

このサービスが5分100円からというリーズナブルな料金で提供されるのですから、高齢化社会の本格化とともに特に独り住まいの高齢者からの依頼が今後増えていくと思います。

また、このサービスには目に見えないメリットがあります。

それは会話です。

以前、独り住まいの高齢者の中には1週間くらい誰とも話す機会のない方もいらっしゃるという状況が報道されていました。

会話することは脳のトレーニングになりますから、認知症などの予防にも効果的だと思います。

また、こうした“御用聞き”ビジネスが全国的に展開されれば、多少なりとも高齢者の“暮らしに寄り添う”ことが出来るだけでなく、雇用の創出にもつながると思います。

 

ということで、是非古市さんには“御用聞き”ビジネスの全国展開、更には世界進出を図っていただきたいと思います。


 
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