2017年11月22日
アイデアよもやま話 No.3867 黒潮を利用した海流発電!

8月20日(日)放送のニュース(NHK総合テレビ)で黒潮を利用した海流発電について取り上げていたのでご紹介します。

 

今までにない新しいエネルギー源になる可能性のある実験に成功しました。

それは、黒潮、日本の近海の海流が新たなエネルギー源になるのではないかというのです。

専門家は国内の全電力の5%分、現在の水力発電の約70%に匹敵する発電を行うことも可能ではないかと試算しています。

 

この黒潮を利用する発電の世界初の本格的な実証実験が8月に鹿児島県のトカラ列島沖で行われ、発電に成功しました。

この海流発電の実験機は国立の研究機関や大手機械メーカーなどで作るグループが開発しました。

これを実際の黒潮の流れに入れて発電出来るか挑戦する実験が8月に鹿児島県の沖合で行われました。

 

なぜ海流での発電に挑戦するのか、それは安定して発電を続けられる可能性があるからです。

東日本大震災以降、大きな関心が集まった再生可能エネルギーですが、太陽光や風力は日が沈んだり、風が止んだりすれば発電が止まり、安定した発電が出来ないことが普及を進めるうえでの課題となっています。

 

そこで、目が向けられたのが黒潮です。

流れの向きや速さが一定で安定して電力を生み出すと期待されています。

海流発電は、実験機を海中で凧揚げのように浮遊させて発電します。

しかし、速い水の流れの中では機体がバランスを崩しやすくなります。

そこで、グループでは実験機の真ん中にもう1本空気を入れた筒を取り付けました。

この筒が浮き輪の役割を果たし、機体がバランスを保てるようにしています。

なお、実験機の開発には6年を要しました。

 

こうして8月の世界初の黒潮を利用した本格的な実証実験には成功しましたが、一方で課題も浮かびました。

今回発電出来たのは30kwと、発電能力のおよそ3分の1に止まりました。

発電機を入れた海域の潮の流れが時速2kmほどと比較的遅かったことが原因と見られています。

グループでは今後さらに実験を重ねてどの海域に投入すればより多くの発電量を得られるか、研究していきたいとしています。

今回の発電機を発明した東京大学大学院の高木 健教授は、黒潮のエネルギーをうまく活用すれば、国内の全電力量の約5%を発電出来ると試算しています。

高木教授は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「海にはいろんなものがあるぞと。」

「利用されていないものがあると。」

「それを利用していくということが日本の一つの生き方かなと思っています。」

 

期待が高まる海流発電、研究グループでは3年後の2020年には実用化を目指しています。

今回の実験機には実験費用なども含め、およそ40億円かかっていますが、グループでは今後の普及につなげるために、1機当たりの発電力を今の20倍ほどに高めたうえで費用をおよそ10億円に下げることを目標にしているということです。

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

東日本大震災に伴う福島第一原発事故以来、太陽光や風力を利用した再生可能エネルギーによる発電へのシフト、すなわち“脱原発”を目指す動きが注目されるようになりました。

今回ご紹介した海流発電もその一環と言えます。

 

さて、こうした再生可能エネルギーによる発電は持続可能ですが、石炭や石油などの化石燃料による火力発電は持続可能ではありません。

なぜならば、化石燃料はいずれ枯渇してしまうからです。

ところが、現在はまだまだ化石燃料による火力発電が大きな比重を占めています。

そこで望むべきは、アイデアよもやま話 No.2025 私のイメージする究極の発電装置とは・・・の要件を満たすような発電装置の実用化ですが、残念ながら今のところこうした発電装置は“夢物語”のようです。

ですから、個々の化石燃料の枯渇時期をにらみながら、太陽光、風力、海流、あるいは地熱などの再生可能エネルギーを組み合わせた発電で全ての電力を賄うという計画を進めることが求められるのです。


 
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