2017年11月05日
No.3852 ちょっと一休み その619 『高校生の開発したEVにみる発想の豊かさ!』

11月2日(木)に「東京モーターショー2017」に行ってきました。

そこで感じたことは、多くの自動車メーカーのEV(電気自動車)シフト、衝突防止などの安全機能を備えた自動運転車、そしてAI(人工知能)の活用です。

また、こうした自動車本体の機能とは別に、日本車のスタイルの進化が目に付きました。

特に、マツダのブースの展示車にはそのスタイルに魅了された多くの人たちが集まっていました。

勿論、私もこうした中の一人でした。

一方、ちょっと残念だったのは、国を挙げてEVの普及にまい進している中国のEVメーカー、およびアメリカのベンチャー企業でEVメーカーとしてとても熱心なテスラの自動車が展示されていなかったことです。

 

さて、今回ご紹介したいのは、こうした中にあって異彩を放っていた、愛知県立愛知総合工科高校(名古屋市千種区)の専攻科に在籍する5人の生徒が開発した超小型EVです。

この超小型EVは「折り畳む」という意味と従来の自動車の常識を壊す意味を込め「Collapse(コラプス)」と命名されました。

なお、このコンセプトは「私たちが思い描く未来の車社会」といいます。

具体的には、2050年を想像して今出来るものを詰め込んだのが「コラプス」なのです。

以下は、会場での開発メンバーの生徒からの説明、およびパンフレットや10月26日(木)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)の情報などから得た「コラプス」の特徴です。

・製品企画から製作まで材料調達や資金調達なども含め、生徒が主体的に進めたこと

・開発期間:約1年半

・開発費用:約50万円(モーターなど企業による無償提供、および人件費を除く)

・車両重量:150kg(炭素繊維強化プラスチック(CFRP)製の車両による軽量化)

・大きさ:全長 2340mm 幅 1550mm 高さ 1300mm

・駐車時などは前後輪の間を起点に折り畳める構造で、全長約1600mmまで小型化可能

・乗車定員:2人

・フル充電までの時間:4時間

・航続距離:時速30kmで約300km

・ゲーム機のコントローラーによる運転操作(ハンドル無し)

 

それにしても、10代の生徒たちが超小型EVの開発をゼロから始めて1年半ほどで完成させたという事実から生徒たちの強烈な熱意が伝わってきます。

また、折りたためる構造の自動車など、既存の自動車メーカーでは考えられないような発想だと思います。

こうして生徒たちが主体的に開発を進めたことで、通常の授業からは得られないとても貴重な経験になったと思います。

 

さて、運転操作にゲーム機のコントローラーを使用している理由についてですが、ゆくゆくは自動運転車の開発を目指しているので運転操作方法にはこだわっていなかったそうです。

ですから、愛知県立愛知総合工科高校専攻科の生徒たちには是非今後とも自動運転車の開発を目指して若者らしい独創的なアイデアを駆使して取り組んでいただきたいと思います。

 

なお、開発チームは単に「コラプス」の開発のみならず、そのビジネスプランも考えました。

それは、自動運転機能を搭載したタクシーです。

タクシーが自分で乗客を探し、会話も出来るというアイデアです。

クルマづくりだけでなく、その活用方法も提案することで、これまで20社以上から合わせて約200万円の支援を受けました。

遅くとも今後5年〜10年以内にはこうしたタクシーが登場してくると思います。

こうしたタクシーの開発に「コラプス」開発メンバーの何人かが携わっているのではないでしょうか。


 
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