2017年11月01日
アイデアよもやま話 No.3849 安倍政権の進める「人づくり革命」とは!

少子高齢化が進む日本においては、国民一人一人のアイデア力や生産性向上が増々求められる状況になります。

そうした中、8月8日(火)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で安倍政権が進める「人づくり革命」について取り上げていたのでご紹介します。

 

「人づくり革命」を新たな政策の柱に据えると表明した安倍総理、「人づくり革命」に盛り込まれる主な具体策は以下の通りです。

・高等教育の無償化を含む教育機会の確保

・社会人の学び直し

・高齢者の活用を含む採用の多元化

・全世代型の社会保障改革

 

今回の内閣改造で茂木 敏充経済再生担当大臣はアベノミクスの司令塔として政府が目指すデフレ脱却や新たな看板政策である「人づくり革命」を担当します。

番組では、茂木大臣に単独インタービューをしました。

以下は、その内容です。

「(「人づくり革命」とは何なのかという問いに対して、)だんだん日本でも平均寿命が延びていくと、まさに人生100年時代を迎えますと、それに向けて国の仕組みや制度を変えていかなきゃならない、こういったことを担当することになります。」

「チャンスだと皆さんに思ってもらえるような改革をしっかり進めていきたい。」

「「自分にもチャンスが来た」、「自分にも活躍の舞台が出てきた」、「自分にもスポットが当たっている」、こういう社会をつくっていきたいと思っています。」

 

「(なぜ今「人づくり革命」が必要なのかという問いに対して、)例えば日本で今10歳の子どもたちは平均寿命でいいますとだいたい半分の子どもたちが107歳まで生きるということであります。」

「22歳から65歳まで43年間働いて、65歳から107歳までの42年間老後を過ごすと。」

「恐らくそういうライフプランでは成り立たないのではないかな・・・」

 

「(人生設計も変わるのかという問いに対して、)例えば新卒で一括採用して終身雇用で60歳代までその人にだけ働いてもらう、こういうリクルーティングだったりとか人事システムそのものがこういった時代の流れについていけない。」

 

「(解雇にも切り込むのかという問いに対して、)望まざる解雇はあってはいけないと思っておりまして、ただ人材が新しい分野に行けるような、いろんなスムーズな人材の移動が可能になるような仕組みはつくっていきたい。」

 

「(「人づくり革命」に必要な教育に関する支援、保障はどのような財源を考えているのかという問いに対して、)教育無償化などの財源については、一つは財政の効率化、二つ目に税、そして三つ目には新しい保険方式、これらを含めて安定的な財源を確保して進めていくということでありますから・・・」

 

「(「人づくり革命」は突き詰めると社会保障改革なのかという問いに対して、)人への投資というのは最終的に経済のパフォーマンスも上げることになりますから税収増にもつながっていくと。」

「「経済再生なくして財政健全化なし」、これが政府の基本的な方針でありますから。」

 

「(「人づくり革命」は何が結果でどこがゴールなのかという問いに対して、)いい質問なのですが、半年後にもう一度聞いてもらえたらいいお答えが出来るんじゃないかなと思います。」

 

なお、以前より人生100年時代を見据えた議論を進めてきた茂木大臣は、8月8日「人づくり革命」の具体策を検討する会議の名称を「人生100年時代構想会議」にすると発表しました。

 

番組コメンテーターでA.T.カーニー日本法人会長の梅澤 高明さんは、次のようにおっしゃっています。

「大臣がおっしゃっているとおり、これ(「人づくり革命」)は社会保障改革であると同時に、実は最大の経済成長戦略だと思います。」

「というのは、潜在成長性が低い中で人の生産性を上げていくというのは経済に対してのインパクトは大変大きいので、多くの人がいったい何歳まで働けるのか、それがどのくらい大きな価値をそれぞれの仕事でもたらせるのかっていうのは本当に大事なポイントだと思います。」

「一方、統計を見ると30歳以上(の社会人)で通学をしている人の率をOECD(経済協力開発機構)の踏査でみると、日本はなんと最低なんですね。」

「学位取得のために通学している人の率が1.6%で、これはOECD最低。」

「だからこそリカレント教育(学校を終え就職した後も、必要に応じて教育を受けること)を一気に盛り上げなければいけないということだと思います。」

「で、もう一つ気になるデータが同じ調査の中にあって、「新しいことを学ぶことが好きですか」という問いに対して、これは知的好奇心に対しての質問ですね、日本は韓国と並んで最低の回答なんです。」

「学ぶ意欲はあまりない。」

「実は数学的な思考力に関しては日本人は世界最高レベルなので現在の成績はいいんだが、でも新しいことを学ぶ意欲はとても低いと。」

「(この理由について、)恐らく新卒一括採用で終身雇用が「そういう社会だよね」って思っていた人が多いし、それから学校の教育もどちらかというと正解を求める詰め込み式の教育を小さい頃からやっているから、多分その影響なんじゃないかなと思います。」

「(そうすると国が「学び直しましょう」と言っても“故吹けど踊らず”にならないかという問いに対して、)そうなんです。」

「で、今回のリカレント教育は大人に対しての教育に見えるんですけど、実は学び直す意欲、知的好奇心ていつ養成されるかっていうと8歳くらいまでの幼児期が一番大事だって言われているんですね。」

「なので今回の施策は勿論大事なんだけれども、それと同時に国の教育全体を見直して子どもの頃から知的好奇心をもっともっと高めて一生学び続けられるような人を増やしていく教育を作ることも同じくらい大事なのかなというふうに考えます。」

「(そう考えると「人づくり革命」は人生後半の話だけではなく、人生全般にまたがる話なのではという問いに対して、)その通りです。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

まず、安倍政権の掲げる「人づくり革命」に盛り込まれる主な具体策について異論はありません。

しかし、番組を通して日本においては現実的にはリカレント教育を受ける人の割合、および知的好奇心がとても少ないことが分かりました。

そして、梅澤さんのコメントされた、知的好奇心を養成するうえで一番大事な時期は8歳くらいまでの幼児期であることもとても気になるところです。

ですから少子高齢化を見据えたうえで、梅澤さんのおっしゃるように国の教育全体を見直して子どもの頃から知的好奇心を高めて一生学び続けられるような人を増やしていく教育を作ることも意識した具体策の検討がとても重要だと思います。

番組を通して、「人づくり革命」は人生後半の話だけではなく、人生全般にまたがる話だということが理解出来ました。


 
TrackBackURL : ボットからトラックバックURLを保護しています