2017年10月30日
アイデアよもやま話 No.3847 ”物流版ウーバー”が”宅配の危機”を救う!?

配車サービスのアメリカのウーバー(UBER)についてはこれまで何度となくお伝えしてきました。

そうした中、7月31日(月)放送の「ワールドビジネスサテライト」(テレビ東京)で”物流版ウーバー”について取り上げていたのでご紹介します。

 

宅配便の急増で人手不足にあえぎ、このままでは国内の物流業界が立ち行かなくなる不安も出てきました。

現状の物流業界では配送の依頼が入ると大手物流会社から複数の運送会社を経由して空いているドライバーに仕事が割り当てられます。

各運送会社は下請け会社に仕事を紹介する時に中間マージンを取っていて、下に行くほど受け取る額も小さくなるのです。

ですから個人事業主は多くの数をこなさなければ生活していけないといいます。

 

こうした状況に一石を投じるサービス、”物流版ウーバー”と言われる“ピックゴー(PickGo)”が始まっています。

このサービスは、荷主と個人事業主を直接つなぐマッチングサービスです。

このサービスに登録している宅配ドライバーの浦和 友明さん(41歳)は、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「(“ピックゴー“は)自分の空いている時間で自分で仕事を選んで自分で仕事が出来る・・・」

 

自分の好きな時間で好きな仕事を選べる、それが”物流版ウーバー”と言われる理由です。

“ピックゴー“のシステムを開発したのは、ベンチャー企業のCBクラウド(CBcloud)株式会社(横浜市泉区)です。

CEOの松本 隆一さんは、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「我々が荷主様と契約させていただきまして、そこで二重受け、三重受けを防いでおります。」

 

配達を依頼した荷主側はエントリーしてきたドライバーの顔写真やPRコメントが閲覧出来ます。

この中から荷主側はドライバーの経験や評価を含めて選定します。

当選通知を受け取った宅配ドライバーには、依頼額から“ピックゴー“への手数料一律10%が引かれた収入が得られます。

この収入は実労働に見合ったものといいます。

浦和さんは、このサービスについて番組の中で次のようにおっしゃっています。

「自分の空いている時間に合わせて仕事を獲得出来るので、売り上げが約2倍ほどに伸びました。」

 

更に、この“ピックゴー“のサービスでは荷物のバーコードを読み取るとドライバーが効率よく回れるように配達の道順を地図で表示してくれます。

昨年6月から始めた“ピックゴー“、現在登録ドライバーは全国で約1500人といいます。

松本さんは、荷主側にも営業していて、現在およそ100社と契約、ドライバーの地位向上を目指しており、番組の中で次のようにおっしゃっています。

「ドライバーの仕事を魅力的に変えていくのが私たちのミッション。」

「(ドライバーの)収入アップにつながる道筋を私たちは作ってあげたいと思います。」

 

こうした状況について、番組コメンテーターで大和総研チーフエコノミスト、熊谷 亮丸さんは次のようにおっしゃっています。

「(物流業界は)まだ効率化の余地が残っていますね。」

「例えば、営業用車両の貨物の積載率が最大の積載量に対して何割ぐらい積んでいるかということでいうとだいたい4割ぐらいなんですね。」

「ですから、100%にするのは無理だと思いますが、5割、6割に伸ばすことは十分可能であって、例えば荷主さんがドライバーを見つける時にだいたい30回くらい電話が行きかって、そのことで場合によれば1時間もかかるケースが多い。」

「それから物流拠点で車両が行ったんだけど3時間くらい待たされるケースが多いわけですね。」

「ですから、そこを効率化していけばまだまだプラスの効果が出てくると思います。」

 

以上、番組の内容をご紹介してきました。

 

今回ご紹介した”物流版ウーバー”の“ピックゴー“のサービスを知り、必要とされる企業と企業、企業と人、あるいは人と人とを時間や空間の制約なく直接結びつけてしまうインターネットのビジネス上のインフラとしての重要性をあらためて感じました。

こうした流れの中でみていくと、いずれほとんどのビジネスはメーカーやサービス業者とアマゾンなどのネット販売サイト、そして購入者が中心の単純な構図に収れんしていくと思われます。

 

更に、今回のテーマでいうと、熊谷さんのおっしゃるようにまだまだ物流業界は貨物の積載率の少なさ、あるいは配送先の物流拠点での長い待ち時間などの課題を抱えています。

こうした課題もAI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)、あるいは将来的な自動運転車などの活用によりまだまだ改善の余地は沢山ありそうです。

 

ということで、最新テクノロジーをベースとした社会の実現はまだまだスタート地点近くであり、今後とても速いスピードで改善されていくものと期待出来ます。

ですから、日本の企業にはこうした大きな流れに沿って、果断に自らの事業内容を変化させていく勇気を持ってチャレンジしていただきたいと思います。


 
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